キャメロンハイランド旅行記
キャメロンハイランドへ行く
成田を飛び立って約8時間、機はようやく一面の油椰子の森を見ながら、黒川紀彰氏設計になるクアラルンプール空港に着陸した。広大な空港は成田空港を見慣れたものには、人影がまばらに見える。
空港の敷地内に金色に輝く大きなモスクが見え、イスラム教の国へ来たことを実感する。空港からバスに乗ってクアラルンプール市街地まで約1時間。タクシーだと10RM(約300円)といったところ。
ホテルに1泊して翌日いよいよ目的のキャメロンハイランドへ向かう。ツアー一行を乗せたバスはクアラルンプール市外を抜けると、よく整備された高速道路に入り、一路北上する。このまま真っ直ぐ進めば、タイまで続いているこの道は、側道を含め片側3車線もあり、交通量も少なく快適そのものだ。山へ登る分岐点タパーまで約2時間、ここから曲がりくねった山道を2時間半くらいかけてゆっくり登る。片道車1台がやっとという狭い道を熟練したマレー人運転手が巧にハンドルを捌く。急なカーブなどは直前まで対向車が見えないので、短くクラクションを鳴らしてハンドルを切る。日本のようにカーブミラーがあればどんなに安心なことだろうと、思う。次第に深い山の奥へ入っていくと、所々に高床式の原住民の住まいがあり、これが吹き矢で有名なサカイ族なのだろうか。子供たちが裸足でバスを見つめていた。
今はこの山道だけがキャメロンハイランドへ行く唯一の交通路だが、2001年の6月にはイポーからの高速道路が開通することになっており、キャメロンハイランドへの旅は格段に快適なものとなることは間違いないだろう。
午後1時半にクアラルンプールを出発したバスは、途中2回の休憩を挟んで、午後6時、この山中に突然のように現れた平地の町タナ・ラタへ滑り込んだ。

タナ・ラタの町
翌日ホテルで朝食を済ませると、早速タナ・ラタの町の散策に出かける。私たちのホテルからはぶらぶら歩いて6〜7分位の距離なので、気軽な散歩気分で行ける。
タナ・ラタの町約1キロメートル位のメインストリートの両側にあらゆる商店が立ち並んでいる。食堂、小さなスーパー、郵便局、警察署、銀行、クリーニング店、写真店、インターネットショップや綺麗な公園まであってロングステイするときは、この町で何でも間に合ってしまいそうだ。私たちはこの町で、写真のプリントをしてもらったり、クリーニング店(何でも一括4kgまで6RM)で溜まった衣類を出したり、インターネットショップ(1時間4〜5RM)から家族にメールを送り、郵便局から友人たちに絵葉書を出したりした。また銀行のATMから富士銀行の国際キャッシュカードを使ってマレーシアドルを引き出したりもした。その一軒一軒が大き過ぎず、顔を合わせれば人なつっこい笑顔を送ってくる。例えて言えばやはり旧軽井沢的雰囲気とでも云えようか。
日曜日の朝、広い空き地に忽然と朝市が出現した。果物や野菜、魚、お菓子など地元産らしい新鮮な食料品が山と積まれ、賑わっている。私たちはおぼつかない単語でのやりとりを楽しみながら、ほうれん草とブロッコリー、などを買った。
午前10時頃になるときまって、即席の台に果物を並べる店が出る。こちらも毎日のように通りかかって果物を買うので、店の中国人のおばさんとすっかり顔なじみになった。昨日買ったオレンジがおいしかったので、翌日又買いに行くと、品切れだと気の毒そうに云い、替わりにみかん位の小さなオレンジらしいものを5,6個くれて、お金は要らないという。このおばさんと家内もすっかり仲良くなり一緒に記念撮影し、よい思い出ができた。

お天気
事前に現地の気温などの情報を仕入れてきたものの、日頃日本にいて快適温度に慣れている私たちにとって高原の気温はやはり気になっていた。
温度計つき目覚まし時計を持参していたので測ってみると、滞在のホテル室内温度は昼は22〜3度、夜は19〜20度と安定していた。ただし屋外の日中は30度前後のようで、半袖でちょうど良い。ガイドブックなどに夜間は10度〜15度に下がるなどとあるのは、多分屋外の温度のようで、室内ではそれほど心配するような寒さではなかったが、就寝時には長袖の下着が重宝した。
ほとんどの午前中は気持ちのいい青空とまぶしい太陽から始まるが、午後になって急に暗くなり、雨になったりすることもあり、こんなときは気温が数度下がって、少し寒くなりセーターを着込んだ。標高1500メートルの高原は気圧が多少低いものの普段はほとんど気にならない。しかし天候が崩れるときは更に気圧が下がるらしく、敏感な家内は多少影響を感じたようだ。
しかしホテルのベランダから見上げる高原の晴れた夜の空は、大きく瞬く満天の星が印象に残る。

観光
今日は午後からホテルにタクシーを呼んで、付近の観光をすることにした。
まずタクシーに乗る前に値段の交渉だ。
「サイトスイーイングするが、値段はいくらか」
「1時間あたり18ドルです」
「待ち時間も含むか」
「イエス」
ではというわけで、人の好さそうなマレー人運転手の客となり古いベンツがスタートした。観光ガイドには慣れていると見えて丁寧に説明してくれる。最初に連れて行ってくれたのが三宝寺(SAN POH BUDDIST TEMPLE)無料。松本清張の小説「熱い絹」の大詰めの舞台となった場所。さすがに小説家松本清張の描写は精緻を極める。その一部をここに引用しましたので、しばし清張の描く山寺をご想像ください。

”正面は片牌楼で、屋根は二層になっている。「三宝萬仏寺」の扁額が紅色の地に白文字で横に浮き出してある。その下をくぐって入る門の左右に、朱地白字の聯が掘り込んである。四周をめぐる屋根つきの塀は紅の壁、「南無阿弥陀仏」と大文字が一字ずつならんでいる。<中略> 
正面の牌楼をくぐって入る。そこからは床面が大理石の広場になる。正面に三層の「大雄宝殿」。つまりは本堂である。建物は大理石材を用い、一部に玉を使用している。朱の垂木、朱の柱はその大理石材の上に色が施されている。<中略>
屋根の上には四羽の鳳凰が舞い、四隅の反り屋根には竜が匍匐する。入口の両脇に立つ太い白亜の代理石柱には朱色浮き彫りの竜が渦巻き形にからんで、昇っている。両側に座す唐獅子は藍色の玉、参詣人のための大香炉台は黒瑪瑙に金鍍金の飾り細工。まわりは深緑の密林に蔽われた山々。これがこの青丹の殿閣を浮き立たせるこよなき借景となっている”。

次は温室の中に色鮮やかに並ぶサボテン園(CACTUS VALLEY)入場料4RM。 次は山の南斜面に添って作ってある温室の中には品のいい香りを放つバラをはじめ、多くの花々がさきみだれ夢の国のようなバラ園(ROSE CENTRE)入場料4RM。 そして次の蝶々園(BUTTERFLY GARDEN)入場料3RM、には南国特有の大きな蝶や色鮮やかな蝶が温室の中を飛び回っていて、蝶の知識のない私でも充分楽しめた。一見の価値がると思う。 製茶工場(TEA PLANTATION)はキャメロンハイランドの突き当たり、プリンチャン山の山麓にあり、茶畑は何故か静岡のそれと同じ風景で、その広大さに目を見はらされる。工場では冷たい紅茶の接待を受け、私たち二人だけのために製造工程を丁寧に説明をしてくれて、カメラのシャッターまで押してくれるサービスのよさだった。
タクシーをホテルまで戻すと、2時間40分位かかっていたので、3時間と計算して54RM、プラスチップで60RMを支払った。

ゴルフ
今度のキャメロンハイランドの楽しみのひとつはゴルフだったので、はるばる日本からクラブを持参して、滞在中キャメロンハイランドゴルフコースへ3回プレーに出かけた。まずホテルにタクシーを呼ぶ。タナ・ラタのホテルからゴルフコースまで約10分、メーターはついていないが6RM+チップ1RMときまっているかのようだ。受付で1人42RMを支払い、キャでイを連れてコースへ出る。
高原の爽やかな空気を吸って静かなコースをゆっくりと歩くプレーは、、日本では味わえない余裕の一日だ。前にも後にも人はいないので、初日は家内の初ラウンドに付き合ったが人に迷惑をかける心配がない。
2回目のラウンドは、ツアーでご一緒のNさんと、ゴルフクラブ所属のA氏と三人で回ることになった。レンタルクラブを借りたNさんによると、これは一時代古いアメリカ製のもので、最近の日本製クラブに比べると重いらしく、氏は女性用のクラブを借りた。A氏はマレー人の33才、ハンデキャップ4だといくらか自慢げに云う好人物だ。飛距離はあきれるほど飛ばすので、ラウンド中「あなたのドライバーの距離はいくらか」と問うと、よく聞いてくれたとばかり「300メートルだ」と胸を張った。自らを「俺はマレーシアのタイガーウッズ」とユーモアもたっぷり。。日本人のように変に謙遜をしないところがかえって気持ちがいい。ナイスショットの替わりに「うまい!」を教えたらショットごとに連発していて楽しい雰囲気。ゴルフ場の受付に、丸い顔に口ひげを生やした浅黒い愛嬌のある男がいたら、「マレーシアのタイガーウッズは君か?」と聞けばたいていわかると思う。
キャデイフィ-は1ラウンド18RM、半ラウンドの時は10RMと決まっていて、プレー後、受付を通さず直接キャデイに支払う。ここでは日本のゴルフ場のような、広いロビーや食堂、風呂などは一切無く、余分な経費をかけないゴルフ場本来の形があるように思えた。

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