「あっ! おっかあ、 あれはなに?」 と 千代が さけびました。
大きな まつの木の てっぺんが、金色に かがやいています。
「観音さま・・・・?」 千代が つぶやきました。
「ほんとだ、観音さまだ」

「ありがたい ありがたい」
村人たちは 手を合わせて おがみました。
みんなが 顔を 上げた時には、 もう 観音さまの おすがたは ありませんでした。
「観音さまの おかげで ゆれが おさまった。」
「ああ よかった よかった」
「ここに おどうをたてて、これからも 村を まもってもらおう」
「そうだ、それがいい」
話は まとまりました。
村人たちは その 小さなおどうで、ぼうさまに 毎日 おきょうを 上げてもらうことにしました。
この おかからは、広びろとした 田んぼや はたけ、ゆったり流れる さがみ川が 見えました。 その むこうには、大山や 丹沢の 山なみが のぞめました。
そこに しずむ夕日は、それは それは みごとでした。
おかの ふもとの 池には、夜になると 月や 星が うつり、光の玉を ころがしたように うつくしく 見えました。
子どもたちは、夏には どじょうとりや ほたるがりを しました。
冬には、こおった 池の上を すべって あそびました。