| 大島・利島 BOOK GUIDE |
| 『NHKプロジェクトX 2』 NHKプロジェクトX取材班編/NHK出版/定価1700円 NHKの人気番組「プロジェクトX」には、伊豆大島が舞台となった放送回がある。それが2000年5月30日第10回に放送された「全島一万人 史上最大の脱出作戦〜三原山噴火・13時間のドラマ〜」。プロジェクトXは一部ビデオ化もされているが、この話はビデオ化されてないので、どうしてもという人にはこの書籍で出たシリーズの第2巻でおおまかなあらすじを追うことが出来る。三原山噴火の話が他4話とともに紹介されている。単行本2001年刊。なお最近(2004年)になってNHKブックスとして文庫化もされている。 『リング』 鈴木光司/角川ホラー文庫/定価560円 不勉強で申し訳なかったが、最近になってあの有名な「リング」に伊豆大島が登場するということを知り、さっそく読破。「どうせちょっと出てくるだけだろ」と思っていたのだが、驚愕の事実が判明した。なんと本のタイトルより有名となり、今やホラーの代名詞ともいえる「貞子」は大島の差木地出身だったのだ(笑)。本名山村貞子。1947年生まれ。小学校4年生のときに起きた三原山噴火を予知するなど、幼少のころから霊能力を発揮していたらしい(笑)。生家は同地にあった山村荘という民宿。もちろん架空の民宿です。小説には、他にも行者窟など、大島ゆかりの地がいくつかでてくる。単行本1991年6月刊。 『一九五二年日航機「撃墜」事件』 松本清張/角川書店/定価1400円 1952年に大島三原山近くにある白石山山頂近くに墜落し37名の死者をだした「もく星号」の原因追求をテーマにしたサスペンス。日本初の大型旅客機墜落をテーマにした小説だが、松本清張の特徴ともいうべき緻密な推理は影を潜め、読者をアッといわせるべく米軍機に撃墜されたという可能性を認めるべく推理が展開されていく。はっきりいってありえない話で読んでて退屈。作品初出は1972年だが、作品は「松本清張全集」(文藝春秋)に収録後、大幅改定され平成4年角川書店より発売された。 『伊豆大島 幽霊船の首縊り』 和久峻三/角川文庫/定価430円 伊豆大島に遭難したはずのヨットが漂着。そして中には不思議な縊死体が……。和久峻三の人気シリーズ「赤かぶ検事奮戦記」第24作は大島を舞台にしたミステリー。だが凡作である。こういっては何だがこの程度なら大島が特別舞台である必要はなかったと思われる。売れ行き的にもあまり良い結果を残せなかったのか、和久の文庫シリーズを再編した際に絶版の道をたどった。もっともこれは作品の良し悪しより、なじみの薄い大島が舞台というのが原因だろうか。 『波浮の平六』 来栖良夫作・北島新平画/ほるぷ出版/定価1236円 小学校高学年、中学生向けの「ほるぷ創作文庫」作品。だが伊豆七島好きなら大人が読んでも楽しめる。江戸時代、上総、市宿村の秋広平六が禁令を破り村を飛び出し商人となり、やがて掘割一式引受人となり波浮港を開港し、波浮村を開拓するまでの伝記である。昭和56年2月発行。なお定価は消費税が上乗せされ発行された平成版のもの。 『鎮西八郎為朝』 林房雄/学習研究社/定価980円 滝沢馬琴の「椿説弓張月」を元にした為朝伝。『保元物語』では大島で死んだことになっている為朝だが、ここでは保元の乱の前に琉球に足を踏み入れたことがあり、大島主となって伊東からの軍勢と闘った後、再び琉球へ行くことになっている。昔は、こういう荒唐無稽な歴史小説がうけたのだろうか?昭和44年2月刊 『鎮西八郎為朝』 津村陽/講談社文庫/定価580円 最初に紹介した林房雄の同題小説をより緻密にした歴史小説。英雄伝説に素を得たエンターテインメント作品だが、いかんせん司馬史観的発想の売れ線大河歴史小説しか読んだことのないオイラには、この辺の歴史小説の面白さがイマイチ理解できない。だってしょせん絵空事って感じがするんだもん。歴史小説マニアな方、すいません。平成元年4月発行。平成4年11月文庫化。 『黄金海流』 阿部龍太郎/新潮社/定価1700円 大島、波浮の築港工事を軸に、江戸、下田、大島に展開する事件を描く歴史サ小説。抜け荷船の遭難など江戸時代の実際に頻繁におこったであろう事件をモチーフに物語が展開されていく。それにしても波浮の港というのは、江戸時代半ばにおこった大島大噴火の直後にすすめられたものだから、さしたる大工事でもないような気がしてたのだが、これほどまでに作品に登場するのは何か歴史オタクをくすぐるような何らかの秘密がここにあるのだろうか?1991年11月発行。 『火山の休暇』 三島由紀夫・新潮文庫「岬にての物語」収録/定価514円 昭和24年発表の短編。青年作家、菊田次郎が一人旅で大島を訪れる話をもとにした小説。無論、若き三島由紀夫が大島を訪れたときのことが素になっていることはいうまでもない。よくいえば好短編であり、悪くいえば、若きお坊ちゃん小説家の西洋かぶれ旅行記である。ただ、戦中から戦後にかけては、大島火口にダイブする自殺者が急増していて社会問題化していた時期でもあり、三島がこの現象に興味を抱いてこの地に立ち寄ったことは確かだろう。 『東京独立共和国』 水木楊/文芸春秋/定価2000円 大島は1946年(昭和21年)に独立を想定した暫定憲法を作った島である。もちろんこの構想は幻に終わったのであるが、そんな伊豆大島共和国を踏まえた小説がこの『東京独立共和国』。東京の自立を公約にして東京都知事となったオトコが「東京共和国」宣言をし、住民投票で圧倒的賛成を得て、一部自衛隊と警察庁を傘下に治め日本国に対峙する。いわゆる「吉里吉里人」などに代表される地方独立国家ものといえよう。1999年刊。 『人、旅に暮らす』 足立倫行/新潮文庫/定価440円 ノンフィクション作家、足立倫行が旅をテーマに12人の人を追いかけたルポ。この最後の話に生け花「小原流」指導員の大島での講習会を取材しながら指導員の実像に迫るという物語が収録されている。普段何気なく過ごしている大島の自然を巧みに扱いながら生け花の極意とともに自然のありがたさをはさりげなく伝える指導員の姿が記される。大島そのものが取り上げられているわけではないが、作品そのものが大島を効果的に使うことでその作品価値を高めている佳作である。1987年5月刊。 『笑いのモツ煮こみ』 東海林さだお/文春文庫/定価460円 ショージ君でおなじみの東海林さだおのエッセイ集「笑いの〜」収録の「大島はその後どうなったか」には彼が大島を訪ねて島のあちこちで島の人から大噴火当時の話やその後の様子を聞いて回るというエッセイが収録されている。藤田観光やくさや藤文といった大島ではおなじみの人たちが登場。なおショージ君は島の温泉のほとんどが沸かし湯であることを「味気ない」と語っているが、はっきりいってこれは彼の勉強不足であると申し上げておく。温泉で大切なのは湯の成分と湯量であって、過度に温度を問題にするのはその温泉に対し失礼というものだ。実際、現在では、成分が水とほとんど変わらない温泉を大々的にPRしたり、湯量があまりないためにお湯を何日も循環させる循環湯の方が非常に問題とされているしね。1993年5月文庫化 『AVE MARIA』 本田美奈子//定価 円 少し趣旨がズレるが2005年に38歳で急逝した本田美奈子のCD「AVE MARIA」のジャケット撮影が行われたのも伊豆大島裏砂漠だ。音を聴いたカメラマンの提案で選ばれた等の記述が撮影レポートに残されている。アイドル歌手であった彼女は、このクラシックへの挑戦から時を経ずして急性骨髄性白血病となり闘病生活後、帰らぬ人となったため、現在、このCDは彼女の代表作としてもっとも有名なものになっている。クラシック音楽としての完成度はともかく、クラシックを身近なものとしたということ、また訃報後、彼女の意志として関係者が難病に苦しむ患者を支援するために、各種イベントや募金活動を行っていることなども併せ含めて考えると、単なる一アルバムとはいえないほど社会的影響力を与えたアルバムという見方ができるだろう。 『伊豆諸島 利島の鳥 利島の植物』 利島村役場編/定価2000円 伊豆諸島で唯一まともな書籍がないと思われる利島(涙)。そんな島で現在唯一といってもいい入手可能な島関連書籍がこの本だ。島の鳥類、植物を一挙紹介したこの本はA4変形カラー版、発行部数から推測するに大赤字必至という超豪華本だ。発行からかなり時間が経過してるが、なかなかさばけないのか未だに「島じまん」などのイベントで入手できる。なかなかいい本だと思うのだが、どうせなら動植物まで手を広げて島の生物をすべて網羅して欲しかったというのが正直な感想。なお見るだけなら島の公民館や都立図書館などで閲覧できます。 『新 日本各地のくらし 7 島のくらし』 小学生以下の子供向けに日本各地の人の生活を紹介したシリーズ本。「島のくらし」として利島の農漁業や島での生活、悪天候での港湾作業や卒業式後の港でのお別れ風景など離島のお約束「お涙頂戴シーン」を軽く混ぜて構成された一冊だ。この本、一見すると新しい本のようでいて、実は以前「日本各地のくらし 9 島のくらし」として発売されたシリーズの焼き直しだ。発刊数を見ると、全シリーズから不評(?)な2冊が削られたことが推測されるが、利島はなんとか生き残ったらしい(笑)。いいぞ利島! この調子で今後もガンバだ!(意味不明)。 |