八丈島・青ヶ島・鳥島 BOOK GUIDE
『八丈實記』(全七巻) 近藤富蔵/緑地社/定価各3500円
江戸末期終身流刑罪として23歳で八丈島に遠島となった近藤富蔵が遠島期間中に作り上げた全72巻の記録書、それが「八丈實記」だ。内容は気候や風土の特徴から特産、生活、はては各家の家族構成まで、島のありとあらゆることが活字と絵図によって記録されている。本書はその内容を現代風に再構成した全7巻の豪華本。かなり高価なこの本を最近管理人は何と無償で手に入れた。というのも管理人の住む某23区の中央図書館でリサイクル本として並んでいたのだ。どうやら貴重な本なのに図書館司書も一般市民も誰もその価値がわからず放置されてたらしい。ああもったいなや……。けっこう貴重な本だと思うので、伊豆諸島の図書室で保持してないところで希望されるのなら着払いでお送りいたします。気軽にメールください。ただし第七巻(総索引)欠如。1〜6巻函無)にはすべて某23区内の図書館蔵書印と廃棄印が入ってます(笑)。昭和40年第一巻刊行。以後数年かけて全七巻が刊行されている。

『日本細末端真実紀行』
 椎名誠/角川文庫/定価390円
 椎名誠が八丈島好きで年に2回はこの島を訪れていることは有名な話だが、そのきっかけとなったのが、ここに描かれている「八丈島フシギホテル物語」での八丈島への訪島だろう。八丈島で彼が過ごした妙なホテルが「Rホテル」として紹介されているが、内容もラストもフシギシーナワールド全開の作品で、管理人の伊豆七島お気に入り作品ベストワンだ(もっとも普通に読むとそれほど面白くないのであまり期待しすぎないように)。なおRホテルは、その後、何回か経営者が変わったが今も立派に営業中。八丈島、八重根にある一番でっかい規模のホテルといえば、もうおわかりでしょう。なおシーナ作品で八丈島は『岳物語』『続岳物語』『南国カツオまぐろ旅』など、ありとあらゆる作品に登場している。

『八丈島のロックンロール 木村晋介/ちくま文庫/定価500円
 椎名誠とともに八丈島では有名なのがキムラ弁護士事件帖シリーズでおなじみの木村晋介だ。八丈島に出張弁護をしている関係で八丈島についての話が多いのだが、その記念すべき第一号ともいえるのが、この本だ。八丈島の選挙や島にある簡易裁判所について面白おかしく書いているのだが、島の人には冗談が通じなかったとみえて、ページをめくると、書記官より訂正してください云々のお手紙が…といったような内容が付け加えられたりしている。しかし、最近、氏は、なぜかあの辻本清美センセイの弁護士として弁護しておられましたねー。親しい関係にあると、こういう時、断れないんだろうなー。有名弁護士っていうのも意外と大変ですね(^^;

『エビ・カニ ガイドブック 加藤昌一/奥野淳兒/TBSブリタニカ/定価2400円
 八丈島で「レグルス ダイビング」を営む加藤氏が千葉県海の博物館研究員の奥野氏との共著で著したガイドブック。副題に「伊豆諸島・八丈島の海から」とあるように八丈の海におけるエビ・カニをカラーで紹介している。普通特定の地域に片寄る本は売れないので、こういった副題をつけないものだが、読んで納得。八丈は沖縄や伊豆半島と異なる温帯域、亜熱帯、熱帯域の種が共存するという特性を有する甲殻類パラダイスだったのだ。著者や編者は、売れなくてもいいからこういった魅力をなんとしてでもサブタイトルに込めたかったのだろうと推察される。惜しむらくは表紙のフリソデエビの写真がマニアックすぎてイマイチなのと、経費削減のためか最後の一折(16P)を安い紙質で1色刷りにしている点が残念だ。私ならカラーページをもう少し詰め込んで全144Pオールカラーで美しく仕上げたけどなあ。

『致死海流 森村誠一/文庫/定価525円
潮流に運ばれ、犬吠埼沖に漂っていた女性死体。八丈富士登山中、行方不明になり、絞殺死体で発見された女性。二人の被害者は、いずれも八丈島航路「フリージア丸」に乗船していた。アリバイ、密室トリックを駆使した推理小説。

『流人』
 真木洋三/文芸春秋/定価1200円
 八丈島で53年間流人生活を過ごし、その間、膨大な島の資料となる『八丈実記』を記した近藤富蔵を小説化した物語。彼は明治13年、76歳で赦免され東京にもどることとなるのだが、再び八丈島にもどる決意を固め島に戻り83歳でその生涯を閉じる。小説とはいえ、罪人として流人となった人間が再び島を訪れるという数奇な運命をたどる彼の人生は当然実話をもとにしており、そのダイナミックな人生には驚かされずにはいられない。昭和58年10月刊。

『黒潮に吼える男』 上野登史郎/三彩社刊/定価800円
 八丈島出身の衆議院議員、菊池義郎の伝記小説。物語は彼が出生してから国会議員になるまでの間の話、そして当時の八丈島の様子が描かれている。まあ、悪くいえば、年寄りによる「昔はよかったなあ」的懐古趣味の強い伝記なのだが、島の資料は少ないので、これはこれで貴重かも。何と言ってもこのド演歌調のタイトルがいい。だって今どき「黒潮に吼える」ですよ(^^;でも俺もちょっとこういうタイトルの本作りたいかも…
※なお最近「黒潮に吠える」という本を見つけて中を見たら和歌山の政治家の本だった。政治家のセンスはこんなもん?


『おじゃれ女八丈島』 荒馬間/河出書房新社刊/定価760円
 八丈島流人の間では絶対不可能とされていた島抜けを唯一成功させたのが、吉原遊女、花鳥とされている。物語はその島抜けをベースにミステリー作。1988年5月刊行、1998年文庫化

『八丈流人帖』 早乙女貢/徳間文庫/定価500円
 『流人村預目録』『女流人銘々録』など江戸時代に書かれた八丈、流人関係の古文書をテーマに、当時の物語を構築していくという全7話よりなる短編集。当時島で生きる人々の生活の厳しさがうかがえます。古い本だが、八丈島では、町役場前に、島関係の本をキチンと整理、紹介している大きな本屋があるので買えるはず。オイラもここで購入した。夜の八丈、どこにもいかずに宿でのんびりという人はどうぞ。単行本1975年12月刊。1990年2月文庫化。

『海鳴りやまず 八丈流人群像』 藤井素介/講談社文庫/定価650円
 流人の島として有名な八丈島で、流罪となった父の付き添いとして渡島した斎藤守孝にスポットをあてた歴史小説。応募作品時には『流人群像・坩堝の島』という題名だったが、単行本発売時に改題された。確かにこんなタイトルでは売れません(笑)。流人をテーマにした作品というと、どうしても地味な作品になりがちではあるが、本作は地味ながらも丹念に当時の島の生活を描いた力作。第四回時代小説大賞受賞作。単行本平成6年1月刊。平成9年9月文庫化

『ひかりごけ』 武田泰淳/新潮文庫 
純文学作家の短編集。「ひかりごけ」は映画化もされた有名小説だが、この短編集に八丈小島が舞台となった作品「流人島にて」が収録されている。作品は石原慎太郎の脚本で「処刑の島」として1966年映画化もされた

『八丈島流人帳』 今川徳三/毎日新聞社/定価980円
 越後騒動あり、天一坊事件あり、大奥女中江島事件ありと江戸時代の実際の事件と八丈島史を巧みにからませストーリーを展開させり小説集。全22章が各話それぞれ独立した流人物語という内容にもなっている。

『八丈流人犯科帳』 今川徳三/毎日新聞社/定価980円 
 『八丈島流人帳』の翌年発行の続編。ちなみに装丁は同装丁の色違い。初めて目にすると、増刷版と勘違いすること請け合い。八丈島、女護ガ島伝説、為朝伝説、宇喜多秀家の流刑、近藤富蔵「八丈実記」など、ありとあらゆる流人記録を小説の中に巧みに取り入れて展開する小説集。

『宇喜多秀家 備前物語』 津本陽/文春文庫/定価880円 
 岡山浦上家の家老だった宇喜多家は、先見と奇策、時に謀術でのし上がり、豊臣秀吉の天下統一に貢献する。その中心人物である宇喜多秀家の物語。いわゆる五大老・五奉行で有名な宇喜多秀家だが、その最後は、徳川家との勢力争いに巻き込まれ八丈島への遠島という運命をたどることになる。作品そのものは文庫本とはいえ総ページ数700ページにもなるというボリュームだが、八丈遠島のお話は、わずか13ページしかありません。ここだけを読むために購入したオレっていったい……と書いてて思わず、ちびまるこちゃん風(^^; 単行本1997年12月刊。2001年4月文庫化

『サライ』1999年5月20日号
 サライ編集部/小学館/定価430円 
大人のための情報誌としてスーパープレミアムマガジンという大げさサブタイトルがつく「サライ」。その「サライ」に八丈島の島ずしが表紙を飾った号がある。それがこの第233号だ。特集「焼酎は器と肴に凝る」で八丈島酒造の「島流し」を紹介。その肴として選ばれた島ずしが表紙を飾っているというわけだ。島を紹介する特集としては他の雑誌より記事量が少ないが、島ずしの表紙があまりに際立っているので‥‥紹介。

『現代焼酎考』 稲垣真美/岩波新書/定価480円 
泡盛や琉磨焼酎などの作り手を訪問し、各種焼酎がどのような風土の中、生まれてきたか解き明かす書。1984年という年代と岩波新書という形式があいまって焼酎愛好家の間では、押さえておきたい書として評価が高い。中の一章に「焼酎八丈島と青ヶ島のカモン −焼酎の原点、その二−」という項目がある。まだ青酎がほとんど密造酒の域をでていない頃の話(青ヶ島酒造合資会社の設立は1984年)で非常に興味深い書だ。単行本1985年11月刊。

『島焼け』
 高田宏/新潮社/定価1,500円
 八丈島からさらに南にある絶海の孤島、青ヶ島が大噴火した話を小説にした歴史小説。噴火の際、奇跡的に脱出できた203名は八丈島に避難したものの、島に残された130名は全員死亡。物語は、この脱出時に青年だった若者が、その50年後、島民241名をとともに再び還住するまでの苦闘を描く。

『柳田國男全集1』 柳田國男/ちくま文庫
図書館などのデータベース検索で「青ヶ島」と検索すると必ず突き当たるのがこの本の中に収録されている「青ヶ島還往記」(初出:昭和8年8月〜10月「島」)だ。やはり江戸時代の大噴火がテーマになっている。なお八丈島〜青ヶ島航路の定期船は「環住丸」という。あまり聞きなれないことばだが、50年をへて、なおも島にもどりたいという強い意志が今も島を守り伝える原動力となったということを示す美しいエピソードといえよう。

『漂流』 吉村昭/新潮文庫
戦記物、歴史小説で有名な作家、吉村昭。だが、彼の小説では、もう一つ「逃避」「漂流」という別なテーマが作品の底辺を流れていることが多い。『漂流』は江戸、天明年間に遭難し伊豆諸島の南にある火山島、鳥島に流れ着いた男たちが12年という長い年月の苦闘の後、自作の船で島からの脱出を目指す物語。物語の大部分は鳥島での話だが、後半に、噴火当時の青ヶ島、その時期の八丈島の様子が描かれる。

『加護亜依写真集』 関めぐみ/ワニブックス
伊豆諸島では伊豆大島の裏砂漠がロケ地として有名だが、実は八丈島もロケの多いことで知られている。なかでも多いのがアイドルの写真集。伊豆大島がTVや映画の舞台になるのとは対照的だ。これ以外でも『新垣里沙写真集』(塚田和徳)、『小松彩夏写真集 アヤカノナツ』(栗山秀作)、『矢吹春奈写真集』(西田幸樹)、『橋本甜歌(てんか)写真集』(くぼたあきひと)などでロケ地に選ばれている

『ジョン万次郎漂流記』 井伏鱒二/  文庫/定価  円
登山直木賞作家として有名な井伏鱒二の出世作ともいえる作品がこの「ジョン万次郎漂流記」。江戸時代に鳥島に漂流後、アメリカへと渡ったことで有名なジョン万次郎(中浜万次郎)の数奇な運命を題材にした物語だ。超有名なお話なので歴史教科書など何らかの形で知っている人も多いはず。なお彼の漂流の事情を記した原書も「漂客奇談」として今も残っている。

『火の島』 新田次郎/新潮文庫/定価320円
登山、山岳小説で有名な作家、新田次郎。直木賞受賞後も気象庁職員として十年間もの仕事をこなした彼ならではの小説がこの「火の島」。伊豆諸島鳥島で噴火の危機にさらされた気象観測所を舞台にしたこの小説は、いわゆる極限状況下を舞台にしたパニック小説。現在では、さほど注目されない鳥島もこの当時は、小笠原諸島がアメリカ領ということもあり、日本最南端の領土であり、気象観測所の存在意義も格段に高かったことがうかがい知れるなど興味深い事例がよくわかる。単行本昭和41年9月刊。昭和51年5月文庫化

『強力伝・孤島』 新田次郎/新潮文庫/定価  円
登山、山岳小説で有名な作家、新田次郎。直木賞受賞後も気象庁職員として十年間もの仕事をこなした彼の初期小説がこの「孤島」。彼がまだ気象庁職員として働いていた頃の作品で、その後の「火の島」などに影響を与えた作品と推察される。なお同収の「強力伝」が第34回直木賞作品受賞作。

『アホウドリ 愛のシンフォニー』 長谷川博/講談社/定価1500円
世界的にも貴重な絶滅危惧種アホウドリの営巣地として有名な伊豆諸島鳥島。そのアホウドリを紹介した長谷川の著作の中でもこれは唯一(?)の写真集。売らんがためか赤面もののタイトルがついているが、これは中身の内容とまったく符合していない。ちなみに帯にも「鳥島で奏でる愛のアルバム」だの「南の島のラブロマンスをあなたに贈る」だの相当に恥ずかしい語が並んでいる。構成は写真集というより写真を通してアホウドリの生態を解説した書という内容だ。筆者はこれを古書店で入手したが、その理由は著書のサインとともに、当時のアホウドリ基金のお願いの冊子や当時発行された「アホウドリ通信 第1号」がはさまっていたから。こういうことがあるから新書だけではなく古本屋のチャックは欠かせない(言い訳?)1994年11月発行

『50羽から5000羽へ アホウドリの完全復活を目指して』
 長谷川博/どうぶつ社/定価1500円
伊豆諸島最南端にある鳥島。あのジョン万次郎が漂白したことで知られ、かつては火山島としても有名だったこの島は、現在、世界的にも貴重な絶滅危惧種アホウドリの営巣地として有名な場所だ。乱獲によりかつて数十羽という数まで激減したアホウドリを著者である長谷川は25年という歳月をかけ、生物がかろうじて生存固体を維持できるといわれる1000羽にまで増やすことに成功する。アホウドリの数奇な運命とその保護活動の記録を紹介した本書は、大人だけでなく子供にもその内容がわかるよう写真や図を多数取り入れ、ルビを多くふった読みやすい形に仕上げているのが特徴だ。2003年2月発行

※購入本に示されている定価です。現在は紹介本のほとんどの本が絶版か値上げされています。