オンライン書店 ビジネス書のバイブル 藤原雄一郎の経営最前線シリーズこの一冊で企業がよみがえる二十一世紀は智恵で生きのびる時代 |
五 ダイエーの産業再生機構行きは古い時代との決別政府が世界に公約した不良債権処理の中でも、最初に抜本的対応をすべきであったのがダイエー問題であったはずです。ところがこの問題が「大きすぎてつぶせない」典型例であったために、銀行の不良債権問題が峠をこした平成16年になってやっと産業再生機構の支援を受けて抜本対策に乗り出すことになりました。ダイエーの課題は、リベートの先取りのように「誰もがわかっている問題に真っ正面から立ち向かうこと」「現場の最前線を奮い立たせること」につきると思います。ところが「過去の負の遺産」のあまりの大きさに手をこまねいて、その場その場の問題先送り対応をしているうちに、ズルズルと傷口を広げてゆきました。 なぜ抜本的な手を打つことが出来なかったかと言えば、抜本対策には巨額の費用が必要だからです。平成十四年に金融機関から5200億円の債権放棄を受け、さらに平成十六年には産業再生機構の支援を仰ぐにあたり、主力銀行は4000億円の債権放棄に応じています。 それにもかかわらず、平成十七年度三月期決算では一新された経営陣のもとで5000億円もの赤字決算です。抜本的対策をしないで、銀行の体力の範囲内で経営再建にあたった結果、これほど巨額の資金がドブに捨てられたのです。 この間、いくら損失が拡大してもダイエーはつぶれることはないという既成事実が出来てしまい、社員の間にはモラルハザード(倫理観の欠如)が蔓延したことは容易に想像できます。そして企業文化を変えることができないままに、ここまで来てしまいました。 ともあれ、このような不良債権問題の象徴とも言えるダイエー問題に抜本的対策が打たれるということは、日本経済もやっと古い時代との決別が可能になったことを意味します。 ダイエー中内王国や西武・堤王国の崩壊など過去一時代を築いたリーダが時代の前面から消えてしまいました。今後は資本主義の原点である自然淘汰が行われる時代になったと覚悟しなければなりません。 |