オンライン書店 ビジネス書のバイブル 藤原雄一郎の経営最前線シリーズこの一冊で企業がよみがえる二十一世紀は智恵で生きのびる時代 |
四 経済界の安全神話崩壊日本が戦後めざましい経済発展を遂げた理由の一つに「株式持ち合い」があります。銀行や親密企業を中心にお互いに株を持ち合うことによって、安定株主を構成し「株主とは物言わぬ株主のこと」という状態をつくりあげることに成功しました。「物言わぬ株主」に対しては配当も必要最低限にとどめ、利益は社内留保として蓄積することが出来ました。そして何よりも、欧米のように株主の意向に一喜一憂することなく、長期的視野に立って経営することが出来たのです。 ところが会計制度の改正(改悪と言いたい気持ちですが)により時価会計が導入され、株価の動向で企業の損益が大きく左右される事態になりました。欧米でさえ必ずしも全ての国で「長期保有で売る気のない株」まで時価会計にしているわけではありません。それを日本では時価会計に組み入れたものですから、日本経済は変調を来してしまいました。 持ち合い株の時価総額が大きいと、本業の利益よりも株の価格変動による影響のほうがより大きく企業の損益に影響を及ぼすことになります。そこで銀行の不良債権処理ともからんで猛烈な持ち合い解消が進み、気がついて見ると、外資等のあまりなじみのない株主が従来の安定株主に代わって多くの株を保有している状況になりました。 「ある日気がついたら外資に乗っ取られていた」という状況が危惧されていたところへ、実際にライブドア事件が発生したのです。「物言わぬ株主」から「もの申す株主」へ、そして油断すると乗っ取られる時代に突入しました。まさに経済界の安全神話が崩壊したのです。 ライブドア事件であらためて安定株主対策や敵対的買収への備えを開始し始めた企業が多いようですが、企業経営者がこの分野にも十分な関心を持って対応しなければならない時代になりました。 日本が躍進している時代に強固に構築された安定株主制度はすでにその役割を終了し、新しい時代に適応する新しいシステムをいち早く確立することが要求されています。ここはグローバルスタンダードなどという欧米の陰謀に加担するのではなく、日本の風土にあったシステム構築が急がれます。 政財界の一部に「竹中大臣は米国のハゲタカの手先」と非難する風潮がありますが、案外ポイントをうまく掴んでいると思います。日本は早く防衛策を打たなければなりません。 |