オンライン書店 ビジネス書のバイブル 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ
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七 労働貴族にもメスを何かと世間を騒がせる「年金を扱うお役所」の社会保険庁で、一時期、職員が興味本位で有名人の年金加入状況を調べて、外部にその情報を漏らすことが話題になりました。犯人を見つけようと思ってもパソコン端末を扱うための磁気カードが職員ごとに固定されていないので誰が操作したのかわかりません。なぜこのような杜撰な情報管理体制になっていたかと言えば「磁気カードを個人に固定すると個人の働き具合が一目瞭然となり、労働者の管理強化になる」と組合が強硬に反対していたために実施されなかったのだそうです。この組合は公務員組合である自治労の関係機関である「国費評議会」と言い、合理化反対でコンピュータ導入に徹底して反対闘争を繰り広げました。 その理由がふるっています。「コンピュータの導入で組合員の仕事が無くなると困る」「便利になると相談者が押しかけて労働強化になる」というものです。このような実例は氷山の一角でその詳細が「知られざる抵抗勢力 自治労」のタイトルで日経ビジネス8月30日号に紹介されています。 自治労は100万人の組合員を持つ大きな勢力で民主党の強力な支持団体です。日経ビジネスのタイトルを見ても『年金改革「反合理化」の砦』とか『トヨタの効率経営が日本をダメにする』『効率化の波を止めろ』と言った過激な言葉が自治労の理念として踊っています。民主党が彼らに牛耳られているかぎり改革など出来るはずもありません。 日経ビジネスによれば最近、自治労は公務員組合の枠から飛び出し、低賃金にあえぐ中小企業を精力的に取り込んで激しい賃上げ闘争を展開しています。 「経費節減で自治体の仕事を外部に発注する例が増加している。外注先である「低賃金が武器」の中小企業の賃金を上げて彼らの競争力を削がないと、仕事は取られ、公務員の賃金も下がってしまう」と必死になっているそうです。そこには国民の血税という認識はカケラもありません。 自治労について私は詳しいことは知りません。しかし放漫経営の官僚のもと、組合幹部もまた自分たちの権益ばかり主張して「親方日の丸」で税金の食い散らしに大きく加担していることもまた事実です。誤解のないように言っておきますが一般の公務員がそのように考えているのではなく、彼らに君臨する労働貴族の指導理念がそうであると言っているのです。 民間企業でも私の経験では四十年以上も前の組合は共産党や社会党に支配された「経営者は労働者を搾取する敵」として企業の存立を危うくするぐらい合理化に反対して来ました。私が入社した頃は春にはストライキが定例行事として定着しており、重要な仕事を担当していない私たち新入社員はストライキを心待ちにしていました。 彼らの基本理念には「企業の存続」はありません。あくまで資本家の搾取から労働者を守る視点で、過激な組合は徹底的にストを打ちました。当然のことながらこのような状態では経営が成り立たなくなりますので、組合内部で革命が起こり「企業の存続」を前提とする組合に変身して労使一体で日本の高度成長を支えました。 何度も申し上げていますように官の世界にも民間と同様に「放漫経営をしていては組織が壊滅する」「官僚も経営責任を取る」ようにシステムを改革させなければなりません。「合理化や効率化に反対していては財政が破綻して自分たちの組織が崩壊する」と思えば自治労の姿勢も変わって来ます。 かつて勢力を誇った旧国鉄の労働組合を思い起こせばすぐに理解出来ます。小泉改革の原点である「民で出来ることは民で」「地方で出来ることは地方で」を実現しないかぎり日本の再生は無いと思います。 |