オンライン書店 ビジネス書のバイブル 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ
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五 官僚のしたたかさ小泉首相の「特殊法人改革」の大号令で特殊法人の数は大幅に減少しました。ところが実態は「特殊法人」が「独立行政法人」に名前を変えただけで、注目度が少なくなっただけに、前より悪くなったとの評価も一部にはあります。2004年七月三日の朝日新聞に興味深い記事が出ていました。 「特殊法人」が名前をかえた「独立行政法人」の平均年収が国家公務員の年収を上回っているという記事です。2003年十月に「独立行政法人」に衣替えした「元特殊法人」三十三法人のうち二十一法人が二割以上も平均給与が高いのです。そしてそのうち三法人は三割も国家公務員の給与より高いことが明らかになりました。 「独立行政法人」は全部で九十五法人ありますが、上に述べた三十三法人以外の「独立行政法人」ではおおむね国家公務員並か一割程度低い給与水準です。中には二割も給与が低い「独立行政法人」もあります。かつては毎年五兆円もの税金を投入して赤字の尻ぬぐいをしてきた特殊法人がいかに厚遇されていたか改めて実感します。 これら「元特殊法人」は「独立行政法人」への衣替えに際して、民間企業で言えば役員にあたる幹部職の人数を大幅に増加させて「焼け太り」と一時は非難されましたが、今では誰もこの事実を訴える人はおりません。「人の噂も七十五日」の典型例です。 小泉首相が就任当時、真っ先に叫んだ「特殊法人は原則廃止か民営化」は誠に正しい選択でしたがその手法が間違っていたために「官僚の圧勝」に終わりました。小泉首相は「まず一番難しい道路公団民営化と郵政民営化を実施する。そうすれば他の特殊法人は必ず改革に成功する」と言いました。 松下の中村改革に見るごとく、民間企業なら「一番困難な聖域に真っ先に手をつける」ことは誠に正しい手法でしょう。しかし官僚の世界は違います。世間とマスコミの関心が道路公団民営化や郵政民営化に集中して関心が薄れている間に、見事に特殊法人改革を骨抜きにしてしまいました。 そして目玉の道路公団民営化も「官僚による芸術的な骨抜き」にあって改革は一向に進んでいません。官僚の得意技は「名を捨てて実を取る」ことに天才的手腕を発揮することです。 役人退任後、「天下りのハシゴ」で優雅な人生が待っている、この既得権益を政治の手で奪われることは生命を奪われるほど耐え難いことですから、死に物狂いになります。皆さんだって辛いことの多い現在の職場を卒業して、子会社、孫会社を優雅に渡り歩く人生が待っているのに、目の前でその特権を奪われるとなれば経営トップも一緒になって必死に抵抗するでしょう。 民間会社の場合はそのような甘い経営をしていたのでは会社が破綻しますので、おのずと歯止めがかかりますが、お役人の場合は税金や年金を投入すればお役所が消えてなくなることはありません。(社会保険庁関連の団体に見るように「問題が発生するとその団体を解散することによって税金により借金を清算し、身綺麗になって別の組織で全く同じ放漫経営を続ける」ことを繰り返す「目くらまし戦法」は官僚の最も得意な技です。)もしこのような環境におかれたら、恐らく皆さんだって強く抵抗すると思いませんか。 選挙のために「目に見える成果」を必死になって追い求める政治家に名誉を取らせ、その陰でがっちりと実益を取る。このような強烈なタッグを組んでいる官僚に国民はかないません。税金はいつまでたっても無駄使いされ続けます。 社会保険庁が私たちの年金を五兆円以上もかすめ取っていた事実を見るとき、お役人の徹底した情報公開とそれに対する厳しい国民の監視の目が絶対的に必要です。これからも公開された情報を皆さんに訴えて行きたいと思います。 |