経済危機と構造改革のツボ
 藤原雄一郎のクルーズワールド

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

第三章 後世に語り継がなくては「官僚の無駄使い」

財政破綻をきたした元凶は既得権益を死守し、地元利益誘導のために跋扈する族議員と称する政治家です。そして背後では官僚が筋書きを書いています。筋書きを書くだけでなく官僚は税金や年金などの公費をムダ使いして財政破綻の一翼を担っています。このような実例を後世にまで語り継がなければなりません。本章にはそのムダ使いの数々を記します。

028 補助金をめぐる不正 福祉を食い物にするな

医療の分野では水増し請求が後を絶ちません。そして健康保険の財政を圧迫しています。まだ歴史が浅い介護の分野でも費用の急激な増加で保険料の不足に頭を悩ましています。制度に対する見通しの甘さもあるでしょうが、不心得者の存在も見逃すことは出来ません。

ここに紹介するのは日経ビジネス「タックスイーター」で掲載された特別養護老人ホーム建設にまつわる補助金の不正受給の一例です。このような事例は恐らく氷山の一角でしょう。お役人の放漫経営も問題ですが、官の仕事に食いつく業者側のお行儀の悪さを厳しく追及することも国家財政破綻を少しでも遅らせる大切な方策と言えます。

さて実例は関西地方の特別養護老人ホームの建設にかかわる水増し請求の事例です。建設には十三億円必要との申請に対し自治体と国は合計で八億円の補助金を出しました。設備は完成し老人ホームは無事運営を開始しましたが、この建設をめぐって訴訟事件が発生しました。

一社に発注したはずが、複数の建設会社が裏で組んで建設したそうです。そしてその分け前の配分を巡って争いが生じ、結局裁判沙汰になりました。そのおかげと言えばおかしいのですが、建設総額が十三億円でなくて十億であったことが露見してしまいました。

社会福祉法人と建設会社が共謀して三億円の水増し請求をしていました。訴訟のおかげで事実が暴露され、社会福祉法人の元理事長と建設会社の社長は逮捕されています。しかし水増し請求された金額は返還命令が出ていますが、ほとんど返却されないままになっています。

老人人口が増加の一途をたどる中、特養ホームの建設はとても大切なことです。この事業に対して、国や自治体が四分の三の補助金を出す仕組みのために「(水増し請求すれば)金がなくても老人ホームを経営出来る」と悪知恵を出して水増し請求をしている例は全国に無数にあると言います。そしてそこには政官業の癒着の構造が指摘されています。

民間で建設すれば六割の金額で老人ホームが建設運営出来ると主張している人たちもいます。東京都足立区などは「民設民営の老人ホーム特区」を申請しましたが認可されませんでした。官僚から認可の特権を剥奪するからです。官僚の裁量で認可が決定されるところにはかならず政官業の癒着が生まれ、結局のところ税金のムダ使いに結びつくのです。

公正な土俵での厳しい競争原理なくしては福祉の費用はいくらあっても足りません。


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