経済危機と構造改革のツボ
 藤原雄一郎のクルーズワールド

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

第三章 後世に語り継がなくては「官僚の無駄使い」

財政破綻をきたした元凶は既得権益を死守し、地元利益誘導のために跋扈する族議員と称する政治家です。そして背後では官僚が筋書きを書いています。筋書きを書くだけでなく官僚は税金や年金などの公費をムダ使いして財政破綻の一翼を担っています。このような実例を後世にまで語り継がなければなりません。本章にはそのムダ使いの数々を記します。

023 芸術的な骨抜き 道路公団

小泉政権最大の目玉である道路公団民営化法案が平成十六年には成立し、道路公団民営化が実現しました。法案成立までの過程で、道路公団の放漫経営ぶりを国民に知らせた功労者である民営化推進委員会が空中分解したことはご承知の通りです。

特に田中元委員は「小泉首相は民営化委員会の意向を八割は尊重しているというけれど、残りの二割が死命を制する」と叫んでいます。私も田中委員の意見に賛成です。「名を捨てて実を取る」官僚の芸術的とも言える骨抜きが成功しているからです。

田中委員は「民営化される新会社は発足後十年で道路資産を買い取り、高速道路の運営・管理・資産保有まで手がける上下一体方式を主張していたのに、上下分離案になったのが最大の問題点である」と主張しています。わかりやすく説明しましょう。

現在道路関係四公団のかかえている四十兆を超える借金を四十五年間で完全に返却することが民営化の大きな目的でした。民営化される新しい会社が道路を資産として保有するということは、同時に莫大な金額の借金も抱え込むことを意味します。

そうすると料金収入で借金の金利すら払うことの出来ない路線を抱えていては、本四公団のように大きな赤字を出すことになります。民間会社になった新しい道路公団には赤字は許されませんから、採算の取れない道路建設は当然建設しませんし、放漫経営の元凶であるファミリー企業にもメスを入れなければ赤字で倒産してしまいます。

ところが道路資産と莫大な借金を新しい会社からはずしてしまえば、新会社にとっては道路資産を保有することになる独立行政法人にリース料の名目で道路使用料を支払うだけで済みます。このリース料金を赤字路線について安く設定すれば、全く現在と何も変わりません。

民営化最大の目玉である日本道路公団を三分割して「東名・名神の豊かな収入を北海道の高速道路にプール出来ないようにした」と胸を張っても、リース料金を調整すれば見事に従来通りの大きなどんぶり勘定に持ち込めます。

皆さんおわかりでしょうか。僅か二割を譲歩したばかりに、見事なまでのドンデン返し。これが官僚の腕前です。ところがこのような肝心のポイントを田中元委員が必至になって力説してもマスコミは真剣に取り上げてくれません。内容が難しいので国民の怒りに火がつかないからです。問題を複雑にして焦点をぼかして、しっかりと骨抜きにするのが優秀な官僚として高く評価されるのです。


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