経済危機と構造改革のツボ
 藤原雄一郎のクルーズワールド

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

第三章 後世に語り継がなくては「官僚の無駄使い」

財政破綻をきたした元凶は既得権益を死守し、地元利益誘導のために跋扈する族議員と称する政治家です。そして背後では官僚が筋書きを書いています。筋書きを書くだけでなく官僚は税金や年金などの公費をムダ使いして財政破綻の一翼を担っています。このような実例を後世にまで語り継がなければなりません。本章にはそのムダ使いの数々を記します。

018 廃止したはずの石油公団が生き返る?

小泉特殊法人改革の目玉として真っ先に平成十七年三月に石油公団の廃止が決定しました。石油公団の残務は金属事業公団に引き継がれ、そして金属事業公団は独立行政法人に衣替えしました。石油公団の累積赤字は六千億円にも達し、国民の血税で穴埋めされることになりました。これで特殊法人石油公団も命を絶たれたと誰もが思いました。ところが興味深い記事を日経産業新聞で見つけました。

国内最大の石油開発会社で石油公団傘下のジャパン石油開発が三千億の負債をかかえて民事再生法を申請しました。これだけでは甘い見通しのナショナルプロジェクトの破綻にしか見えません。ところが第二の石油公団を狙った官僚の悪知恵だと言うのです。

石油公団の廃止で石油開発事業の縮小を恐れた経産省は石油公団傘下の国際石油開発、サハリンガス開発、ジャパン石油開発の三者を統合させ和製メジャーを目指す構想を描きました。その時にジャパン石油開発の負債が足を引っ張るので、事前に破綻させて身軽になろうとの意図が明白だと日経産業新聞は述べています。

それでも新しい統合会社が純粋に民間の競争原理に基づいて和製メジャーとして羽ばたけば、大変結構なことです。ところがここに仕掛けがありました。統合会社に対して、政府は役員選定とか権益売買と言った重要な経営条項に大きな影響力を持つ仕組みを計画し、さらに独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構を通じて公的資金が統合会社に流れ込む仕組みさえ整えようとしています。そうすれば統合会社は立派に人事と資金は官僚の意のままとなる石油公団として生き返ることになります。

一方民事再生法を申請されたジャパン石油開発の民間側株主は怒り心頭に達しています。なぜなら負債の大部分は石油公団融資の金利だからです。金利減免を受ければ破綻せずにすむと怒っています。

しかも破綻に至る原因は政府にあるのです。アブダビ政府との契約更改交渉で敗北し、今まで一バーレル十ドルのマージンが一挙に一ドルにまで引き下げられ、優良会社ジャパン石油会社を儲からない会社にしてしまいました。

しかもこのような大切な決定を民間側役員には事前に知らせることなく事後承諾ですませたのです。そして民間側役員を排除までして役員会で民事再生法提出の合意にこぎつけました。何という知恵でしょう。皆さんは官僚のしたたかさをこの事例で実感出来ると思います。(その後の経過は事前の思惑とは違った形で展開していますが省略します)


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