重役応援団 「重役は裸の王様    藤原雄一郎のクルーズワールド

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重役応援団 「重役は裸の王様」

第六章 創業者の精神に学ぶ

「企業は人なり」とならんで企業経営の最重点事項に「顧客第一の精神」があります。世界同時デフレ時代には従来とは比較にならないほど「顧客第一の精神」が重要になってきています。創業者が今日の栄光を勝ち得るために艱難辛苦した時代の「創業の精神」に今こそ学ばなければなりません。

057  経営には理念が必要 

さらに社是の研究を進めましょう。

三菱グループは三菱創始者である岩崎弥太郎の子、岩崎小弥太が1920年に発した言葉である「所期奉公」「処事光明」「立業貿易」を三綱領として制定しています。そして現代の人々に明快に理解出来るように注釈を( )内のようにつけています。ご紹介しましょう。

所期奉公(事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する)
処事光明(公明正大で品格のある行動を旨とし、活動の公開性、透明性を堅持する)
立業貿易(全世界的、宇宙的視野に立脚した事業展開を図る)

このように解説してみると明治の人の夢とロマンが伝わってくる気持ちがします。

三菱グループの各企業はこの三綱領を自社の言葉で社是・社訓に展開しています。三菱グループの中核である三菱重工にかかわる面白い話を紹介します。

社是の一番は「顧客第一の信念に徹し、社業を通じて社会の進歩に貢献する」となっています。三綱領の最初である「所期奉公」の翻訳ですが、面白い話とは、この社是の制定で一旦は「社業の発展を通じて」と決定され公知されました。ところが「社業が発展しなければ社会に貢献しないのか」との反論が出て、現在のとおり「社業を通じて社会の進歩に貢献する」と直ちに訂正されました。このように一言一句にさえ神経を使うほど社是・社訓は大切なものです。

世間を騒がせた三菱自動車の経営陣の頭の中にはこのような先人の苦労と志の痕跡もなかったのかと残念でしかたがありません。

優れた企業理念があっても三菱自動車のようなことが発生します。一時アナリストが吹聴した「株式時価総額至上主義」だけでは米国の不正会計のような結果を招くのは当然です。企業は社会の公器であるとの自覚を従業員の一人一人に浸透させなければなりません。

「重役のあなた」は今一度あなたの経営理念を自らに問い直して下さい。


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