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重役応援団 「重役は裸の王様」
第六章 創業者の精神に学ぶ
「企業は人なり」とならんで企業経営の最重点事項に「顧客第一の精神」があります。世界同時デフレ時代には従来とは比較にならないほど「顧客第一の精神」が重要になってきています。創業者が今日の栄光を勝ち得るために艱難辛苦した時代の「創業の精神」に今こそ学ばなければなりません。
054 創業者の残した形式だけが残り聖域と化す
このように高度成長期に大成功を収めた松下電器が皆さんご承知のように2002年三月期の連結決算では経常利益で五千四百八十億円もの巨額の赤字を出しました。この原因はズバリ創業者の残した形式が聖域となり、時代の変化に追随出来なくなった結果に他なりません。
中村社長は「破壊と創造」を旗印に聖域にドンドン入り込んだ改革に必死です。その中村社長はしきりに「成功体験を持つ社員はいらない」と言っています。中村社長は「幸之助精神」からの離脱を叫んでいるわけでは全くありません。むしろ中村社長は熱心な「幸之助研究家」で「幸之助の創業の精神を現在に生かす」ことに強い力点を置いています。
松下電器をこのような悲惨な状況に追い込んだのは、過去の成功体験を忘れられない「改革への抵抗勢力」が「幸之助精神」を形式だけ遵守し、聖域化することにより、現状に安住し、変化に対応する努力を怠った結果と断言しても良いと思います。
いかに多くの企業が、艱難辛苦した創業の精神を忘れ、苦労から成功への過程で築き上げられた制度をあたかも聖域のように死守して、変化への対応を受け入れようとしていないことでしょう。
松下電器の元副社長の水野博之氏の言葉を紹介しますが良くかみ締めて下さい。
「松下の経営の本質は何かといえば、『経営は結果』であるということだ。松下幸之助さんは『利益を上げない経営者は罰するべきだ。監獄に入れろ』とまで言ったものだ。これからすると、今の松下の経営者は生ぬるい。まず責任をとって幹部が辞めればいい話だ。それが今は、幹部が責任をとる代わりに部下のクビを切っている。白分が辞めるのが最初だ。幸之助さんだったら絶対にそうする。」
「幸之助時代、松下の経営はトツブダウンできた。運良くそれがうまくいった。しかし、それによってその後の経営者は、極度に失敗を恐れるようになってしまった。これは幸之助さんの呪縛でもある。経営者は、どこへ戦争しにいくか決めないといけない。幸之助さんが『次にVTRをやる』と言ったら、物狂いしたかのようにそれに打ち込み、社員にもそうさせた。これが経営者だ。ところが、それは各事業部長に押しつけておいて緒局、鉄砲の撃ち方とか足並みの揃え方みたいな細かいことばかりに文句をつけるから、萎縮した。とくにこの十年間は、やるべきことをトップがやっていない。最大の問題はここだ。」
この言葉は現在業績不振に悩む全ての企業にまさにピッタリの言葉ではないでしょうか。「重役のあなた」は「鉄砲の撃ち方とか足並みの揃え方みたいな細かいことばかり」に文句をつけていませんか。
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