重役応援団 「重役は裸の王様    藤原雄一郎のクルーズワールド

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

重役応援団 「重役は裸の王様」

第六章 創業者の精神に学ぶ

「企業は人なり」とならんで企業経営の最重点事項に「顧客第一の精神」があります。世界同時デフレ時代には従来とは比較にならないほど「顧客第一の精神」が重要になってきています。創業者が今日の栄光を勝ち得るために艱難辛苦した時代の「創業の精神」に今こそ学ばなければなりません。

053  松下幸之助の「水道哲学」 

日本の高度成長期に最も効率の良い経営をした企業の一つに松下電器があります。創業者の松下幸之助は「経営の神様」と呼ばれました。その幸之助の経営理念の中心に昭和七年五月に発表した「水道哲学」があります。松下電器五十年の歴史からその内容をご紹介しましょう。

「昔から『四百四病より、貧乏ほどつらいものはない』という。貧乏をなくするために、刻苦勉励し、生産に次ぐ生産で物資を豊富に生み出し、無代価に等しい価格で供給するのが我々の仕事である。あらゆる人間の生活を富み栄えさせる生産こそ我々の尊い使命である」

これこそ日本経済を繁栄させた「大量生産による価格低減で爆発的に商品を売る」大量生産・大量販売方式にほかなりません。松下幸之助はこの理論を「水道から出る水のように、いつでも、誰でも安価に商品を手にすることが出来る」方式と説明したのです。この思想を戦前の昭和七年に会社の経営理念にしたところに幸之助の偉大さがあります。

このような経営理念に基づき、戦前にいち早く「事業部制」を確立し、大量生産をした商品を売りさばく、松下ご自慢の巨大な販売店網を築きあげました。

松下電器は良く「マネシタ電器」と呼ばれたものですが、それは大量生産・大量販売を可能にする圧倒的な力を構築しましたので、世の中に現れた新製品の動向をじっと眺めて、一般大衆に受け入れられると判断すると、一気呵成に進出すれば、瞬く間に市場において大きなシェアを獲得することが出来ました。「マネシタ電器」と揶揄されようが正しい経営戦略で大成功を収めたのです。

また松下幸之助は「あなたの会社は何を作る会社ですか」と人に問われれば「人間を作る会社ですと答えなさい」と指導してきたと言います。この言葉で代表されるように終身雇用・年功序列の日本型経営の典型として「松下電器は人を大切にする会社」とのイメージも定着しました。

このような高度成長期の目を見張るような大成功の結果、松下電器では「事業部制」「販売店網」「終身雇用」などが聖域として強く意識されるようになりました。


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