|
重役応援団 「重役は裸の王様」
第五章 管理部門の総点検と意識改革
日本が世界有数の経済大国になる過程で、官僚機構は大活躍しました。しかし今、経済企画庁長官を務めた堺屋太一氏は「平成官僚は日本を滅ぼす」として官僚支配からの脱却を叫んでいます。企業における官僚機構は管理部門です。
企業の成長を支えた官僚機構である管理部門が時代の変革に際して改革の阻害要因になっていないか、管理部門の総点検が必要です。
042 知らぬ間に自己防衛の防壁が
管理部門について考える前に現状についての分析をさらに深めましょう。
まず長年の間に一般社員の心の中に築かれた自己防衛のための「心の扉」について認識しなければなりません。
私が全く知らない事業所に最高責任者として赴任して一年程度経過した時のことです。ある日、複数の課長と発生した問題の解決のための論議をしていました。その時、課の名前から当然その課がなすべき事がなされていなかったので「福丸君どうして君の課でそれをしなかったのかネ。そのためにこんな問題が発生したのに・・・」と私が若干非難めいた顔で言ったのでしょう、その課長は顔を真っ赤にしてあなたの三代前の所長が「その仕事はお前の課ではするな」と言われたのでそれ以後やっていませんと弁明しました。
言わばどの文書にも記載の無い口頭内規みたいな運用になっていたのです。そこでその種の内規を調べたところ、驚くべき事実が判明しました。この口頭内規は、当時、非常に多忙を極め、そのために不都合が生じた時の所長が「お前の課がそんな余計な仕事をしているから不都合が生じたのだ。今後そんな仕事はするな!」と叫んだだけであったのです。要するに「緊急避難的時限立法」であったのです。
それ以上に驚いたのは、この種の口頭指示は、これ以外にも多数、何も所長さんだけでなく、部長さんも発令したりしています。それをいくつか調べたら「自課にとって不都合な口頭内規はその指示をした人間が職責を去るとすぐに消えてなくなる。一方、自課にとって都合の良い口頭内規は、いつまでも組織に存続し続けようとする」ことが判明しました。
要するに近年の管理過剰体制で何かと言うと叱られることから、課長レベルにまで「自分の城に閉じこもり余計なことは一切やらない」と言う生活防衛がしみこんでいたのでした。いわば自己防衛のための庶民の知恵とでも言いましょうか、堅固な「心の扉」が築かれていたのです。
このような現象はあなたの職場でも必ず存在します。ご自身の目で確認して下さい。もしあなたの職場ではこのようなことは発生しないとの結論が出た場合は「裸の王様の目には見えないだけ」と心がけて下さい。
|