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重役応援団 「重役は裸の王様」
第四章 乱世のリーダは人の心を読める人
乱世のリーダは「世の中が何を求めているか」を読める人です。そして「世の中」は人で成り立っています。結局「人の心を読める人」が乱世のリーダなのです。
「企業は人なり」を深く心に刻んで、経営の大切な基本である「人の心」について学びます。
033 美談のかげに責任回避
日本人は何事も「あいまい」にする名人です。無意識のうちに責任回避の行動を取ります。そして責任の所在が明確にならないために同じことが何度もくりかえされることになります。その具体例を次にご紹介しましょう。
私が大きな赤字を抱える事業所の再建のために赴任してまもなくのことです。状況を知ろうと思って、ある特定の大幅赤字工事をとりあげて、「このような大きな赤字になった理由を討議しよう」と持ちかけ、部長以下経営幹部と話し合いの場を持ちました。
ホワイトボードに原因を色々と書き出しました。
無理な予算の押し付け、技術検証不足、事前検討不足
仕様書の十分な理解をせずに工期が短いので製作に着手
など次々と書き出されて行きます。
正直言って私は怒り心頭のあまり、脳貧血を起こしそうでした。皆さんはその理由がわかりますか?
見事なまでに主語が抜けているのです。そのために内容が抽象的になり対策の打ちようがありません。絶望が走りました。
そこで私は「技術検証不足」の主語は一体誰か?と聞きました。すると部長も次長も課長も、設計も工作も皆口をそろえて「それは私です」と答えます。一見麗しい光景です。しかし全員が「私の責任です」と言った瞬間、全員無責任集団になっています。このような議論では「技術検証不足」の原因が全くわからないではありませんか。真の原因は闇から闇へと葬り去られることになってしまいます。
例えば「無理な予算の押し付け」の項では、本社が勝手に採算を無視して受注した、それを予算にしたのでは達成が難しいので、予算設定権限のある営業部長が十%さらに厳しい予算を設定した。その予算に対して、工作部長はさらに五%低めに設定した、などと事実を淡々と記載すれば、問題の所在がすぐに明らかになります。
そうすると営業部長は「予算設定の権限は営業にあると明文化されているのに、なぜ勝手に工作部長が予算をさらに厳しくするのか」と怒り「そもそも掛け値なしの真剣勝負の値段で受注をしたのに、実施部門の営業がさらに予算を厳しくして、予算の厳しさの責任を本社に転嫁するのか」と今度は本社が怒り出します。それを聞いていた関係者が「予算設定のような重要な問題を関係部門が情報を共有化することなく各自勝手に設定しているのか」など大喧嘩に発展します。このような論議の過程を経れば原因が随分と明確になるではありませんか。
一般に、いつ、どこで、だれが、何を、何時までに、どのように、の5W1Hを明確にせよと言います。そんなに難しく追求しなくても、主語だけでも明確にするだけで物事がはっきりとしてきます。日本人は主語を省略することで、無意識に責任回避の行動を取る人種です。あなたの職場では、せめて「必ず主語を確認する」習慣だけでもつけて下さい。
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