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この一冊で企業がよみがえる
第八章 いまなぜトヨタ方式
いまトヨタ方式が世の中を席巻しています。確かに目先の改善の特効薬としての効果があることも事実です。しかしトヨタ方式の神髄は「企業に永遠の生命を吹き込む」ことにあります。それだけにトヨタ方式を理解することは極めて難解です。難解なトヨタ方式の扉をこじ開けることに成功すれば企業は完全に蘇ります。
068 ジャストインタイムの解釈を正確に
「カンバン方式」「ジャストインタイム」はトヨタ生産方式の象徴として有名です。ともすればこのような表面上の理解で真似をするととんでもない結果を招くことは皆さんご承知かと思います。
米国のITバブルの時代、「SCM(サプライ・チェーン・マネージメント)は時代を変える新しい手法である」と米国のエコノミストが誇らしげに叫んでいました。SCMとは「必要な部品を、必要な時に、必要なだけ」提供するという夢のシステムでこの革命により在庫ゼロが実現したともてはやされたものです。まさに「ジャストインタイム」方式です。
しかし当時のSCMは幻想以外の何物でもありませんでした。時代はバブルですから、いくらでも売れました。そこで部品メーカが大増産をかけても、生産するとすぐに売れてしまったので、特段の工夫をせずともSCMは大成功のように見えました。俗に言う「色の白いのは百難隠す」でバブルは全ての問題を覆い隠して来ました。
部品メーカはいつでも供給出来るように膨大な在庫を持つことでSCMに対応したものですからITバブルが弾けた瞬間から在庫の山で地獄の苦しみを味わいました。
トヨタの「ジャストインタイム」は究極の混流生産です。セダンが来てもワンボックスが来てもあたかも同じ車種が流れているかのように整然と生産することに秘密があります。トヨタ生産方式の産みの親である大野耐一氏は「ジャストインタイムは連携プレー、チームプレー」であると言っています。
「野球に例えればグラウンドの各野手は必要なボールをタイミングよくキャッチし、連携プレーでランナーを刺す。全工程がシステマチックに見事なチームプレーを展開することが出来る。」このような状態をつくり出すのがトヨタ式「ジャストインタイム」です。
後工程が前工程に部品を必要な時に取りに行き後工程は引き取られた時点で部品を作るわけですから当然在庫はゼロに近くなります。トヨタ生産方式の場合、工程表は最終工程にしか示されません。前工程は後工程の要求に従って整然と作りますので工程表の必要がないのです。そのためには様々な工夫が必要になります。
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