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この一冊で企業がよみがえる
第六章 他社が真似の出来ない技術や製品をもつことが生き残りの道
企業蘇生の正念場は破壊の後に「創造」を可能にすることです。誰もが願う「世界で一つ」の差別化はどのようにすれば実現出来るのでしょうか。本章ではこの一番重要な課題に真っ正面から取り組みます。
057 トヨタと日産
日産のゴーン改革は多くの日本企業にとって共通の問題解決の指針を示すものです。しかし日産における企業再建は今まで何もやってこなかった企業が始めて真剣に、そして基本に戻って「やるべきことをやった」結果の成功であり、この成功が日産の遺伝子に刷り込まれるのはこれからです。ゴーン思想が正しく遺伝子に刷り込まれるか否かで日産の今後が決まります。
私の良く知っている企業での実例ですが、いわゆる「中興の祖」と呼ばれる立派な社長がおりました。彼のおかげで、目の覚めるような素晴らしいコスト低減が実現し、一挙にシェアを拡大して行きました。いつしか社内では神話が確立し、未来永劫コストの半減が成功するものとの意識が浸透して来ました。それが出来ないのは無能の証拠という雰囲気すら醸成されたのです。
最初の成功は「本来やるべきことをやらずコストが高くなっていた」ものを、経営者の号令のもと超重点管理に指定されたために目覚しい成功を勝ち得たのでした。最初のケースでコストが半減したからと言って、次もその半減したコストから更に半減するわけもありません。
しかし社内では成功のプロセスを注視することなく「全てのコストは未来永劫に半減するのが当然」との認識のみが行き渡りました。悪いことに「中興の祖」のような卓越した能力のない人間が「中興の祖」の形だけ真似をして「中興の祖まがい」の行為が跋扈した結果、「コスト低減の先取り」と称して大幅な安値で受注し、シェアを急拡大したものですから、その会社は史上最高の利益を上げてまもなく、無理な受注がたたり目もくらむような大幅な赤字に転落しました。
日産はまさに最初の成功を勝ち得た段階です。日本の企業の中でも改革に立ち遅れていた日産が、ゴーン革命でスタートラインにつくことが出来ました。ハードルは次々と高くなります。ゴーン社長が日産を去った時「日産の社員は本当にゴーン思想を理解しているか」がわかります。
一方トヨタは、世界中にトヨタ方式を広め、なおかつ長期にわたって素晴らしい業績を示し続けています。日本の企業はまず日産方式で立ち直り、トヨタ方式でその強さを万全にし、世界規模での弱肉強食の社会で生き延びなければなりません。
無敵のトヨタにも弱点はあります。トヨタの素晴らしさの原点は人にあります。事業規模が拡大し、十分な人材を確保出来なくなった時点でトヨタには地獄が待っています。
経営とはまさに芸術です。表面ばかり真似をしてもその神髄はつかめません。多くの実例を学びながら、さらに深く考えて深層まで突き止めることが必要なのです。
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