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この一冊で企業がよみがえる
第六章 他社が真似の出来ない技術や製品をもつことが生き残りの道
企業蘇生の正念場は破壊の後に「創造」を可能にすることです。誰もが願う「世界で一つ」の差別化はどのようにすれば実現出来るのでしょうか。本章ではこの一番重要な課題に真っ正面から取り組みます。
055 「良い物を安く」から「欲しい物」へ
日清食品の安藤社長は日経ビジネスで消費者の論理について注目すべき発言をしています。
消費者の論理とは「いいものなら買いたい、同じものなら安い方がいい」ということです。「同じものなら安い方がいい」とすると、前の年より安くなるのが当たり前になってくる。人間の記憶や思考というのは、脳の神経回路を繰り返し同じ信号、刺激が走ることで作られます。ですから、同じ刺激を感じていると、連想ゲームみたいに次はもっと安くなるだろうと考える。安いのが当たり前じゃなくて、安くなるのが当たり前という思考回路ができちゃう。
安藤社長はこの負のスパイラルから脱却するには「いい物を安く」から「いい物を」「欲しい物を」という刺激回路に転換しなければならないと言っています。ユニクロが火をつけた「良い物を安く」「エブリデイ・ロープライス(毎日低価格)」の路線はもはや古い戦略であるとまで断言しています。その路線のもと日清食品が売り出したのが日新具多で高価格であるにもかかわらず「具が本物」との評判で大ヒットしました。
この傾向は各方面へ飛び火しています。ローソンでは新波社長が就任し業績好転のきっかけとなったのが、素材にこだわった高級おにぎり「おにぎり屋」シリーズでした。発売二ヶ月で一億個を売る大ヒットとなり快進撃を続けました。これに刺激を受け、各社とも高級路線にしのぎを削りだしました。外食産業での安値競争の火付け役となったマクドナルドは業績低迷からの脱却を高級路線に託す試みを行っています。
「良い物を安く」は大量生産、大量販売の高度成長の残渣を引きずっています。「高くても消費者の欲しい物を」という路線はとても困難な路線です。消費者は飽きやすく、新しい刺激を求めますので、成功の期間は短く移ろいやすいものです。消費者の意識動向をピンポイントで察知しなければならない機動性が企業に要求されます。日新食品の安藤社長は時代の流れを敏感に察知しましたが、同時に困難な道への船出をしました。
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