この一冊で企業はよみがえる 旅のことならあっぷる旅行

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

この一冊で企業がよみがえる

第六章 他社が真似の出来ない技術や製品をもつことが生き残りの道

企業蘇生の正念場は破壊の後に「創造」を可能にすることです。誰もが願う「世界で一つ」の差別化はどのようにすれば実現出来るのでしょうか。本章ではこの一番重要な課題に真っ正面から取り組みます。

051 守るブラックボックス

2004年早々にシャープが新設の亀山工場で世界最大のガラス基板による液晶の生産を開始しました。液晶に社運をかけるシャープが世界に問う技術のチャレンジです。技術の結晶がぎっしり詰まった、縦一・五メートル、横一・八メートルで厚み〇・七ミリの第六世代液晶の誕生です。

一時世界を席巻した日本の半導体(DRAM)が韓国の猛烈な追い上げにあって、凋落していったことを考えると、同じ系列上の技術である液晶がどの程度まで、韓国、台湾の猛追に耐えられるか、世界中が注目していると言っても過言ではありません。現在韓国のサムソンが液晶分野でも大きな力を持っています。

半導体や液晶分野で韓国がどうして急速に世界の覇者に近づいたか?その秘密は東京エレクトロンなどの半導体装置メーカにあります。半導体装置メーカは単に装置を提供するだけでなく日本の半導体メーカの中に深く入り込み、顧客と文字通り一心同体になって製造技術を磨いて来ました。そのため半導体装置メーカは門外不出の製造技術の極意を会得してしまったのです。

そして半導体製造装置を製造技術と共に技術的に遅れた台湾や韓国メーカなどに売り込み大きな成果をあげました。その結果技術的に遅れている会社も資本力に物を言わせて最新の半導体製造装置を購入すれば、一気にトップに躍り出ることが可能になり、莫大な金額の設備投資に逡巡した日本の半導体各社は遅れを取ってしまいました。

もちろん、装置を購入してもある程度の技術力が無ければ半導体を効率よく製造することは出来ませんが、一時期、日本の技術者が土・日のアルバイトで韓国詣でをしたことが週刊誌を賑わせました。しかしこの程度で、韓国は半導体のトップになれたのです。

このような過去の失敗にシャープは気が付きました。今回の亀山工場の建設にあたって、シャープは装置メーカに重要な製造知識を開示しないで、装置メーカの力を借りずに独自に製造ノウハウを確立しました。そのために他社が同じ装置を購入しても、高品質で歩留まりの良い液晶が製造できないようにしたと自信満々です。

このような成功事例は製鉄会社にあります。過去の一時期、製鉄会社は装置を購入すると、装置メーカを工場から閉め出して、装置メーカが一切運転ノウハウを持つことが出来ないようにして、世界一の製鉄技術の確立に成功したことがありました。

日本が世界一の技術を維持し続けるためには、このようなブラックボックス技術を多数持つことは当然大切なことですが、一旦手に入れたブラックボックス技術を必死になって守り通さなければ、半導体の時のように、瞬時にその優位性を失ってしまいます。ブラックボックス技術を守り通す重要性をしっかりと認識して欲しいと思います。


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