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この一冊で企業がよみがえる
第六章 他社が真似の出来ない技術や製品をもつことが生き残りの道
企業蘇生の正念場は破壊の後に「創造」を可能にすることです。誰もが願う「世界で一つ」の差別化はどのようにすれば実現出来るのでしょうか。本章ではこの一番重要な課題に真っ正面から取り組みます。
050 炊飯器に大河内賞
機械工学を学ぶ人々にとって大河内賞の受賞は大変な栄誉です。機械技術者として「世界の一流への仲間入りを認められる」それほどの権威ある賞です。
その大河内賞を松下電器の炊飯器部門が受賞しました。兵庫県加東郡社町に松下クッキングシステム事業部の炊飯器工場があります。恐らく国内で炊飯器を製造している工場としては唯一ではないかと思います。なぜ国内に炊飯器工場が生き残ったのか?それは中村社長の唱えるブラックボックス技術を持つことに成功したからです。
この工場では炊飯器のうち付加価値の低いマイコンジャーは海外に生産を移転しIHクッキングに絞って生産展開をしましたが、一向に生産が伸びませんでした。そこで「日本にものづくりを残す」ことを目標にブラックボックス技術獲得運動が始まりました。名付けて「ガチャコロものづくり改革」です。「プレス機でガチヤンと成形し、コロンと炊飯器の釜が出来上がる」ことを目指してこのような名前をつけたそうです。
このプロジェクトは文字通り非常識への挑戦の連続であったそうです。たとえばミクロン単位の精度を要求される銅メッキされたクラッド鋼板を四百トンプレスで一発加工して内釜を製作する量産技術や、加熱コイルの樹脂モールドを一体成型する量産化工法などの輝かしい技術の開発に成功しました。
これこそ中村改革で提唱されているブラックボックス技術です。その成果は機械工学分野で認められることとなり大河内賞を受賞する栄誉に輝きました。そして日本での炊飯器製造生き残りに成功したのです。
「ブラックボックス技術がなければ生き残れない」との言葉が、文字通り工場の存続をかけて闘っている現場にとって「天の声」のように実感を持って響いたのだと思います。その結果自分のやっていることは正しいと信じて一生懸命「不可能に挑戦」すれば道が開けた典型例であったと思います。
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