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この一冊で企業がよみがえる
第五章 企業再生の実際を学ぶ
「理屈だけでなく実際を」の声に応えて松下の中村改革をとりあげます。本章では「あなた自身の目」で松下の中村改革を評価出来るように、改革の着手からの経過をまとめて見ました。中村改革をひとつの生きた事例として、あなた自身が毎日の新聞・雑誌の中から松下の経営を見つめながら、中村改革の評価をあなた自身で行ってください。
047 他社が真似出来ないブラックボックス
企業を蘇生させる方程式は「破壊と創造」であることに異論を唱える人はおりません。聖域にまで踏み込んだ徹底的な破壊で暴力的に新しい環境に放り出される過程で、社員の心に荒廃を生じさせるか、それとも新しい環境に見事に適合した風土改革に成功するかが第一段階での勝負の分かれ目です。
改革に踏み出す前に「破壊のあとに続く創造の姿」を明確にすることにより、風土改革は多いに前進するものです。将来に明るい希望があって、希望を実現するための方策がおぼろげながらも見えるならば、目前の厳しい試練に耐えることが出来ます。
松下の中村改革では「ブラックボックスを持て」との短い言葉で「創造」の方向性を示しています。世界一を目指すV商品の選定でその方向性を示し、「生き残るためのブラックボックス」を実現のための手段として提唱しています。
前章の冒頭に紹介した中村社長の言葉を再度引用しましょう。
「日本は知識労働社会に入ったわけです。この知識労働に磨きをかけて、他社にない強みや技術力をいくつ揃えるかで、企業の存続は決まると思います。最終的には知的財産権(特許)と生産技術だと思っています。僕はこれらをひとまとめにして『ブラックボックス』と呼びます。誰も中味を見ることが出来ないからブラックボックス。それをたくさん持っていないと、生産加工は全部、コストの安い中国に行ってしまう」
注目すべきは生産技術にブラックボックスを持つことを力説していることです。製造現場の空洞化が叫ばれるなかで、日本が二十一世紀に蘇るためには「モノ作りでのブラックボックス」を持つことはとても大切なことだと思っています。
本章では他社に真似の出来ない技術や製品を持つことの大切さとその事例について学びます。
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