この一冊で企業はよみがえる 旅のことならあっぷる旅行

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

この一冊で企業がよみがえる

第五章 企業再生の実際を学ぶ

「理屈だけでなく実際を」の声に応えて松下の中村改革をとりあげます。本章では「あなた自身の目」で松下の中村改革を評価出来るように、改革の着手からの経過をまとめて見ました。中村改革をひとつの生きた事例として、あなた自身が毎日の新聞・雑誌の中から松下の経営を見つめながら、中村改革の評価をあなた自身で行ってください。

045 垂直立ち上げで一気にシェアを

中村改革で成果が目立つのはマーケッティング本部の活躍です。松下の全商品を二つのマーケティング本部が担当しますので、例えばデジタル家電と言った大くくりの市場で、従来の事業部制では考えられなかった発想による企画から広告・販売まで一貫して責任を持った商品開発が出来ます。DVDレコーダの「ディーガ」や薄型TV「ビエラ」やデジカメのヒットに結びつき今のところ順調に滑り出しています。

大量生産・大量販売時代の部分最適思想から解き放たれて、市場全体を見渡して全体最適を考えることが出来る場が与えられました。当分は新しい目で新しい着想が続々とでてくるのではないでしょうか。

その中の一つで成功している方式に「垂直立ち上げ」があり今や業界標準として広まりつつあります。「垂直立ち上げ」とはまず世界同時発売です。次に発売と同時に猛烈に攻勢をかけ、七週間以内にトップシェアを獲得することを意味しています。

そのためには開発のスピードと他社に負けない商品企画力が必要となります。「マネシタ電器と揶揄された松下が他社に先駆けて先行者利益を獲得する」という大きな飛躍です。そのためには従来の縦割り組織ではとてもスピードのある商品開発は出来ません。

まず発売時期を決めて、その時期から逆算して、誰が、何を、いつまでにという工程表を決定し、各部門が同時並行的に仕事をする、他の業界では「コンカレント・エンジニアリング」と呼ばれている方法を採用しています。一つのフロアで関係者が共に仕事をし、いちいち会議をしなくても、また上司に決済を仰がなくても、フラットな組織で物事がドンドン決定します。

その結果、シーズンに先駆けて商品を投入し、競争相手が相次いで商品を出すまでの間に、ガッチリと市場を固めてしまいます。このような努力の甲斐あって松下の商品は値崩れが少なくてすんでいます。

しかしこのような「垂直立ち上げ」方式の効果を見せつけられた競合他社は続々と「垂直立ち上げ」方式に加わってきつつありあます。そろそろ次の段階に進むことを考えなければなりません。それにしても後追いのマネシタ電器が中村改革によりこれほどスピードに溢れる会社に変貌したのは驚きです。


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