この一冊で企業はよみがえる 旅のことならあっぷる旅行

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

この一冊で企業がよみがえる

第五章 企業再生の実際を学ぶ

「理屈だけでなく実際を」の声に応えて松下の中村改革をとりあげます。本章では「あなた自身の目」で松下の中村改革を評価出来るように、改革の着手からの経過をまとめて見ました。中村改革をひとつの生きた事例として、あなた自身が毎日の新聞・雑誌の中から松下の経営を見つめながら、中村改革の評価をあなた自身で行ってください。

043 経理の改革

松下社内における経理は特別の存在で、一旦経理に配属されると他の部門に回されることがなく、事業所に配属されていてもその所属は本社経理であり、一種のエリートと見られていました。事業部がどのように変わろうと、それを評価する経理が変わらなければ改革が進んでいるとは言えません。経理も一種の聖域であったわけです。そこへも中村改革は例外なくメスを入れました。

従来の経理システムの弊害の一つは事業評価が国内単独であったことです。そのために松下で偉くなろうと思えば事業部長は国内の成績を上げなければなりません。松下幸之助時代は期末恒例の営業本部長会議で直々に売上の成績を電話で聞いたそうです。そこで営業本部長は期末には成績を上げたいために販売子会社や海外に在庫を移して売上をたてて成績の嵩上げを図ろうとしました。

結局は松下グループ全体(連結決算)としては在庫が移動するだけで、売上には何ら変化が無いばかりか、不良在庫の温床になる危険性があります。中村社長は営業本部長に対して「在庫を増やすな」と指示して連結重視とキャッシュフロー重視の経理システムへの変更を命じました。

そのためには諸悪の根源である海外における事業部の解体に乗り出さねばなりません。松下の海外子会社は約二百もあり、それぞれの事業部や関係会社が独自に海外に進出し、中国では五十もの拠点が乱立していました。そして海外子会社同士の横の連携は全く無く、同じ国でも事業部が違えば人員や資材調達など全く関連無く運営され、いわば国内事業部の植民地となっていました。

そこで多くの反対を押し切り海外子会社に抜本的改革を進め、事業部の植民地から海外子会社を解放することに踏み切ると同時に経理システムにも大改革を実施しました。(詳細を記載することはしませんが)

その結果ドメイン責任者が最も注目する業績評価を次のように変えました。

1.ドメインごとに連結経営責任を追及する。

2.事業の評価を従来の売上、損益から「いくら手元にお金があるか」のキャッシュフローと「投下資本に対して十分な利益を回収できているか」を重視する。

いくら改革を標榜しても、正確に評価出来るシステムがなければ精神論で終わってしまいます。その意味で、中村改革の神髄を的確に評価出来る経理システムの改革は不可欠の要因でした。評価システムが数値的に確立されれば、今後はその結果を淡々とフォローするだけで改革は進みます。


 前の頁 > 現在の頁 < 次の頁

WEB管理人 藤原雄一郎 fuji@inox-m2.com
技術指導 by Ivy SOHO
Copyright (C) 2004 iNOX Media Mix All Rights Reserved.