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この一冊で企業がよみがえる
第五章 企業再生の実際を学ぶ
「理屈だけでなく実際を」の声に応えて松下の中村改革をとりあげます。本章では「あなた自身の目」で松下の中村改革を評価出来るように、改革の着手からの経過をまとめて見ました。中村改革をひとつの生きた事例として、あなた自身が毎日の新聞・雑誌の中から松下の経営を見つめながら、中村改革の評価をあなた自身で行ってください。
039 聖域となっている一番抵抗の強いところから改革
さらに松下の中村社長の言葉に耳を傾けましょう。日経ビジネスから引用します。
僕が松下で一番変えたい部分は、創業者の理念を基軸にしながら、それでも変化に対応し、変化を先取りする社風にしたいのです。ところが偉大な創業者を持つ企業には誤解されることが多いですよ。「これは創業者が作り出した仕組みだから、ちょっと聖域にしておこう」とかね。でも今後は聖域なし、タブー無しでやらねばいかんと思っています。
松下では幸之助さんが確立した販売制度が聖域視され、三十五年間手がつけられていませんでした。それに対し中村社長が改革に手をつけました。ここで誤解のないように言っておきますが、創業者の精神を無視せよといっているのではありません。
現在のような競争の厳しい時代こそ、創業者の精神に立ち戻って「誰も知らない企業を現在のような大きな会社に育てた」創業者の努力を見直し学ぶべき時なのです。多くの大企業では創業者の精神はいつしか「額の飾り物」となってしまい、創業者の残した「かたち」だけを金科玉条のように守る弊害が多く見られます。
IBMの再建にガースナが乗り込んで最初に実行したのが「創業者の精神に戻る」ことでした。
これは何も創業者だけではありません。「中興の祖」と呼ばれる偉大な経営者についても同じことが考えられます。創業者なり中興の祖が偉大であればあるほど、素晴らしい仕組みを残します。その後に続く人たちは自分で考えることなく盲目的に「創業者の残した仕組み」を守ろうとします。
いつしか時代は移り変わり「創業者の残した仕組み」が機能しなくなっても「聖域」として残り、変えることに大きな抵抗が生じるのです。中村社長の言うように「創業者の理念を基軸にしながら変化を先取りする」ことが一番大切です。そのためには創業者の理念を完全に理解し自分なりに「考えに考えて」日々行動しなければなりません。
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