|
この一冊で企業がよみがえる
第四章 まず徹底した意識改革から
「企業が蘇る」ために欠かせないのが徹底した意識改革です。組織の大部分を占める「権限のない社員」が火と燃えて立ち上がれば、風土は一変します。「意識改革なくして企業再生なし」と言い切っても間違いではありません。多くの業績不振企業は意識改革が出来ずに敗れ去っています。
035 意識改革は基本の実行から
構造改革(リストラクチュアリング)の段階で最も大切なのは意識改革(マインド・イノベーション)です。本章の初めで述べた兼松の成功例は「残るも地獄、去るも地獄」の大きなショックで、残った社員が経営トップの良き指導のもと、真に前向きな方向へ走り出したことにあります。ところが、民事再生法など経営破綻という大きなショックが従業員を襲っても、残った社員には不安感ばかりが募り、真の意味での危機感が盛り上がりません。
その理由は社員に成功体験が無く、どうして良いかわからないからです。兼松の社長のように、再生のための明確な処方箋を持ったプロの援助が必要になります。
その代表例がそごうの再建に辣腕を振るった和田社長でしょう。和田社長がそごうの社員に指摘したことは誠に基本中の基本です。日経ビジネスからその内容を拾って見ますと次のようになります。
一 改革にはスピードが命。抽象論でなく具体的行動を示せ
二 販売の専門知識を持て。商品も、販売も、管理もそごうの社員はしらんぷり。
三 お客様の欲しい商品を売り場に揃えれば商品は売れる
四 お客様に売り込む気概がない
どうですか皆さん、まさに基本中の基本と思いませんか。日産のゴーン社長がいうように「問題は外部にあるのでは無く内部にある」のです。組織の全員が「自分たちは基本的事項すら実行していない」と認識していないことに問題があります。そごうではこのような基本を徹底するために外部から人材を引き入れて、日常の業務の具体的な局面で、根気よく一つ一つ改善して行った結果、再建計画を前倒しして普通の会社に戻りました。
そごうでは地道な再建の過程で社員の多くが「指摘されたことを自分のこととして考えて、アイディアを出す。そしてそのアイディアが成功すれば、さらに勇気が出て、次の大胆な打ち手を自ら繰り出す」好循環を体験しています。
高度成長期のように「上から言われたことを実行して成果を出す」のではなくて「人から言われたことをヒントにして、自ら考えて成功体験を勝ち得る」ことが意識改革の最も大切なポイントです。
大量生産、大量販売の高度成長期に、皆さんが忘れていた「自らの頭で考えて、実行に移す」行動を、一日も早く取り戻さなければなりません。
意識改革などと難しいことを言わなくても、社員全員に次の三つを徹底させれば企業はよみがえります。
一 経営不振の原因は経営者にあるのでは無く、自分たちにあると認識させる
二 「基本中の基本を実行すれば成功する」との成功体験を持たせる
三 与えられたことの実行では無く、自分自身の頭で考え実行する
このレベルでよみがえる企業が多いということは「日本経済はまだまだ捨てたものではない」と自信を持ちましょう。
|