この一冊で企業はよみがえる 旅のことならあっぷる旅行

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

この一冊で企業がよみがえる

第四章 まず徹底した意識改革から

「企業が蘇る」ために欠かせないのが徹底した意識改革です。組織の大部分を占める「権限のない社員」が火と燃えて立ち上がれば、風土は一変します。「意識改革なくして企業再生なし」と言い切っても間違いではありません。多くの業績不振企業は意識改革が出来ずに敗れ去っています。

031 確かな戦略で蘇る松竹

瀕死の状態にあった映画界の名門松竹で役員会における緊急動議が発令され奥山社長と専務の息子を解任して世間の話題になったことを覚えていますか。その松竹が蘇りつつあります。その再生への軌跡を見てみましょう。

社長解任というクーデターを敢行した新経営陣が最初に取り組んだのは全社員との徹底的な意見の交換でした。多くの時間を割いて「生の情報」を真っ先に得ようと努力したのです。このような生の情報を分析し直ちに新しい戦略を打ち出しました。

その一つは安定経営の源泉と考えられていた「ブロックブッキング制度」の廃止でした。ブロックブッキングとは松竹が映画館に対して事前に年間12本程度の配給を約束する制度で、安定した収入が確保出来ると考えられていました。

しかし企画が乏しく予算が十分でない場合には粗製濫造に陥ってしまう傾向があります。結局経営の安定に寄与していると思われたシステムが、かえって安定によって緊張感を欠き、面白くない映画を供給することで観客を遠ざけてしまいました。

そこで洋画と邦画を供給する「フリーブッキング制度」に全面的に切り替えました。この場合は映画館側の意見が強く反映され、人気の度合いによって上映期間まで変わる厳しい制度です。しかも邦画の松竹が「人気のある洋画で稼ぐことを優先し体力をつけてから邦画の制作力を高める」という大胆な方針を打ち出しました。面子や伝統をここで捨て去ったのです。

つぎに「企画から配給までのプロセス」に大胆なメスを入れました。従来は一人のプロデュサーで担当していたのを、企画のスクリーニングに人手をかけて大幅な時間短縮を達成しています。その方法は数多くの企画をデーターベース化して、5〜6人が一週間程度で評価・分析し次々とスクリーニングします。そして合格した企画には予算をつけて脚本作成まで進ませて、脚本が完成した時点で売上げ見込みを予測して最終決定に入ります。従来は企画の決定まで一、二年かかっていたものを早い場合には数ヶ月で撮影に入ることが可能になりました。

また封切り後には他社作品も含めて出口調査を行い視聴者の反応のデータ収集に努めています。いわゆる一般企業で実施されているマーケッティングを映画製作に適用しているのです。

まさに社員の意識改革とプロセス改革を同時に実行し成果をあげています。情報の収集と正確な評価・分析により確かな戦略が立てられています。そして松竹は蘇りました。


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