この一冊で企業はよみがえる 旅のことならあっぷる旅行

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

この一冊で企業がよみがえる

第四章 まず徹底した意識改革から

「企業が蘇る」ために欠かせないのが徹底した意識改革です。組織の大部分を占める「権限のない社員」が火と燃えて立ち上がれば、風土は一変します。「意識改革なくして企業再生なし」と言い切っても間違いではありません。多くの業績不振企業は意識改革が出来ずに敗れ去っています。

030 「痛みの伴う改革」とは困難と真正面から対決すること

さて兼松の「痛みの伴う改革」の内容を簡単に説明しましょう。

固定費削減のために実施した希望退職に全従業員千九百人のうち五百人が手をあげました。多くは撤退を明言された部門の社員です。そして残った社員には年収の三割カットが待ち受けていました。労働組合との協議で「賞与の削減での年収カット」に合意したため、残った従業員はほぼ全額のボーナス返上で再建に立ち上がりました。

そして社をあげての全方位にわたる経費節減で例えば販売管理費は二年でおよそ三分の一の百四十億円にまで減らしました。

この改革で一番大切なポイントは不良資産の直接処理です。東京三菱銀行は兼松が実際に不良資産を処理したのを見届けて、その金額見合いの債権放棄に応じたのです。逆に言えば「実際に不良資産の処理が完了しなければ債権放棄はしない」ことになります。これには大きな意味があります。多くの会社では「そうは言ってもそのうち土地も株も上がるだろう」との思惑から直接償却をせず、将来損失が予想される金額相当分のお金をあらかじめ引当ておく、いわゆる間接償却を実施している例が多いのです。

しかし兼松は東京三菱銀行から不良資産バルクセールの専門家を派遣してもらい、思い切って不良資産を安値で叩き売り、バランスシートから不良資産を消してしまいました。多くの企業では思い切った直接処理を逡巡したばかりに、資産価値がさらに下がり、不良資産の額を増大させているのは皆さんご承知の通りです。

このように目前の困難から逃げずに「真正面から取り組む」ことにより、短期間に効果があらわれ、兼松の業績が回復して来ました。銀行主導の情け容赦の無い再建に批判の声もあがっていますが、東京三菱銀行から派遣された倉地社長は「中途半端な方法では全従業員が救われなかった」と反論しています。

まさにその通りです。問題の先送りではいつまでたっても解決しません。どんどん状況は悪くなるばかりです。ダイエーやカネボウは結局産業再生機構の手によってしか痛みの伴う再建に進むことができませんでした。

「痛みの伴う改革」とは、改革にあたって「一番厳しい道を真っ先に選択する」ことにあります。そしてその痛みを経験したあとに初めて「トンネルの先に明かりが見えて来る」のです。ところが実際は「問題先送り」の事例が何と多いことでしょう。


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