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この一冊で企業がよみがえる
第三章 失敗から学ぶ蘇生への道
皆さんの目の前には失敗の事例が数多く横たわっています。これらの失敗から共通点を探り出し、的確な対策を打つことが蘇生への近道であることは間違いありません。本章では過去の失敗から貴重な教訓を学びます。
019 本当は「負の遺産の精算」が出来ていない
このことについてはすでに第一章で述べましたが、ここでさらに深くほりこんで見ましょう。
大量生産・大量販売の時代が過ぎ去ったわけですから、殆どの企業では過剰人員、過剰設備、過剰な借金をかかえています。過大な不良在庫もかかえていることでしょう。全社的に目に見えるこのような大きな問題点は経営トップも十分に認識しています。しかしその泥沼の深さを経営陣は把握していません。
「負の遺産」は職場のあらゆる階層に潜んでいます。全ての階層で「負の遺産」を公開することは非常に勇気のいることです。全社的に犯人捜しのように「負の遺産」狩りが行われているのが実情ですから、とても自ら告白出来る雰囲気ではありません。
不良債権問題やカネボウの粉飾決算、三菱自動車のリコール隠し問題など「負の遺産」は小さな内に処理しないと、次第に蓄積して雪だるま式に大きくなります。大きくなればなるほど顕在化するのが恐ろしくなり隠蔽体質が組織全体を汚染することになります。
例えばコストフォローが厳しくて、悪い結果を言い出すことが出来ず、毎日をまるで罪人のごとくおびえて過ごしている多くの担当者を私は知っています。私が全く新しい部署に異動した時に最初にしたことは、過去の負の遺産を総ざらいして顕在化させることでした。
この作業は本当に難しい作業です。人々の信頼を得なければなかなか「総ざらい」することは出来ません。職場に「本当のことを告白しても良い」との雰囲気をつくらなければ決して顕在化することはできません。そのためにはその職場で一目おかれて信頼されているキイマンを探し出して、必死になって彼を説得し、彼がリーダとなって「負の遺産の顕在化」を誘導して貰いました。
負の遺産を顕在化させた後の皆さんの顔色が何と明るくなったことでしょう。罪人の立場から解放されて初めて前向きの改善活動に取りかかることができるのです。
失敗の原因の二つ目は、多くの「権限の無い社員」たちの心の奥底に潜んでいる「負の遺産の精算」が完全でなく、会社を動かす原動力である人々を「罪人状態から解放していない」ことです。
しかしながらこのような負の遺産は絶えず発生するものですから、定期的に洗い出す習慣をつけなければなりません。一番良い方法はトヨタのように問題を人為的に発生させ、発生した問題を改善することを喜びとする風土をつくることが一番の解決策です。
「問題の発生が発展への礎になる」と喜ぶ姿勢があれば隠匿・隠蔽体質とは無関係な職場になるからです。
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