この一冊で企業はよみがえる 旅のことならあっぷる旅行

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ ビジネスノウハウ満載

この一冊で企業がよみがえる

第二章 一体何が変わったのか?

新しい日本と言っても特段難しいことではありません。皆さんが先刻承知のことを現実として認めればよいのです。現実とこれから直面してみましょう。

010 日本人は同じ失敗を必ず繰り返す

中公文庫から発行されている「失敗の本質 日本軍の組織的研究」という本を読むと、日本人の性格は今も昔も変わっていないことを痛感します。戦後六十年になろうとしている現在、私たちは同じ失敗をくりかえしています。

まず次の記述をご覧下さい。

「真珠湾攻撃は航空機がそれまでの戦艦にかわって海上兵力の主力になるということを明確に示すものであった。この奇襲成功の時点で、海軍は従来の大型戦艦同士による艦隊決戦思想、そのための大艦巨砲主義から脱却すべきであったにもかかわらず、伝統的な作戦思想を抜けきれなかった。反対にすばやく航空主兵への転換を行ったのは米軍のほうであった」という記述があります。

日本海軍は「航空機による真珠湾攻撃」という、世の中の大きな変化の先駆けを自ら創りだしておきながら「大艦巨砲主義という旧来思想」から脱却できず、時代の変革に取り残されました。

「大艦巨砲主義という旧来思想」を日本経済躍進の原動力であった「大量生産・大量販売という旧来思想」とおきかえれば、同じ失敗を繰り返す日本人像が浮かび上がってきます。

また情報と戦略の重要性について次のように述べています。

「事実を冷静に直視し、情報と戦略を重視するという米軍の組織学習を促進する行動様式に対して、日本軍はときとして事実よりも自らの頭の中だけで描いた状況を前提に情報を軽視し、戦略合理性を確保できなかった」 とあります。

現場の最前線で発生している諸問題を全く無視して、整流された都合の良い情報にもとづいた「頭の中で描いた実現不可能な経営戦略」を不思議とも思わず実行する業績不振企業の経営陣と全く同じではありませんか。

また米軍は各地の実戦経験を忠実に分析し情報に基づく戦略・戦術を次々に改良して強くなるのに反して「日本軍のエリートには、概念の創造とその操作化ができた者はほとんどいなかった」と述べています。

その結果「戦機まさに熟せり」「天佑神助」「神明の加護」などの精神論が前線で飛び交いました。そして「事実を正確かつ冷静に直視するしつけを持たないために、フィクションの世界に身を置き、本質にかかわりない細かな庶務的仕事に没頭することが頻繁に起こった」とあります。

日産のゴーン社長が「一番削減効果の大きな資材費には手をつけず、真夏に冷房温度を上げて電力費を節減するなどということは、従業員を拷問にかけているようなものだ」と驚いています。

まさに「日本経済失われた十年」と「失敗の本質 日本軍の組織的研究」の間に驚くべき共通点があることがわかります。


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