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この一冊で企業がよみがえる
第一章 古い日本と新しい日本のせめぎあい
日本経済は長い間の低迷から一歩進んで、再生への道をようやく歩み始めています。そして今、古い日本と新しい日本のせめぎあいの真っ最中です。新しい日本誕生のための「産みの苦しみ」を味わっています。
007 「隠し事から社員を解放」することが再生への絶対条件
産業再生機構のもとで経営再建をはかるカネボウが過去の経営陣により2000億円を超す膨大な粉飾決算が行われていたことを発表し、旧経営陣を告発すると発表しました。本当に勇気あるカネボウ経営陣の決断だと思います。また三菱自動車が旧役員に対して13億円の賠償要求をすることを決定しています。このような行動は現在の経営陣が過去との決別を明確に行動に表したことを意味します。
同じく産業再生機構のもとで経営再建を始めたダイエーは中内氏退陣のあと、高木体制で懸命に経営再建に取り組んできたはずです。しかし実際は長年の課題であった「リベートの先取り」「現場無視の中央集権」といった過去の負の遺産との決別が出来ず、結局産業再生機構の支援をあおぐことになりました。
経営不振の企業には、長年にわたって蓄積された負の遺産が存在します。その事実を明るみに出して一掃しないということは、現場の最前線で働く多くの社員に「嘘をつき続けることを強要する」ことを意味します。三菱自動車や三菱ふそうのリコール隠しのように、何度も新しいリコールが出てくることは職場の最前線にまだ隠し事が存在することを意味します。
嘘をついたり、隠し事を続けるということは、経験した人でないと理解できない苦しさがあります。この苦しみから最前線で働く人々を解放して初めて、前向きの再建への意欲が出てくるのです。
しかし過去との決別には本当に勇気が必要です。もともと経営不振を極めているわけですから、債権放棄額とか赤字の額は出来るだけ少なくしたいのが人情です。また正直に発表すれば会社精算の道を歩まなければならなくなることもあるでしょう。また新しい経営陣が本当に負の遺産を一掃しようと思っても、大きな組織では疑心暗鬼で、現場の最前線で苦悩している人たちは恐ろしくて真実を告白出来ないこともあります。
そして新聞やテレビで自分たちの会社が負の遺産との決別を宣言したことを知り、その時点で真実を告白しなかったことで、さらに現場の最前線での苦悩が深くなることも理解しなければなりません。一旦発表した内容がさらに何度も悪化することを非難ばかりせず「真実を告白する機会が何度も与えられている」との見方をしてあげれば、再生への勇気も湧いてくるものです。
時代は大きく変わろうとしています。過去の負の遺産と決別する最後のチャンスがここ1〜2年かもわかりません。新聞やテレビでカネボウや三菱自動車のような事例が出てきた場合には、経営トップが本気で過去との決別に向かっているのだと解釈して暖かい目で応援することが日本経済再建への一歩ではないでしょうか。
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