関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ 日本型経営の研修に最適 大阪藤原雄一郎の時事通信 2005年12月号 |
激変の2005年、今度はコンビニが百貨店を呑み込む? 12/30今年も終わりになって大きなニュースが飛び込んできました。スーパーとコンビニで圧倒的強みを見せるセブン&アイが西武・そごうを傘下に持つミレニアムの株を買い取り、両者が統合するというものです。実質的にはセブン・イレブンをゼロから育て上げた鈴木敏文会長が、スーパーのイトーヨーカ堂に加えて百貨店の西武・そごうまで手に入れて流通業界に君臨することになりました。 私は直感的に、イメージを大切にする百貨店で、「百貨店として一流と思われていない西武・そごうがこれで決定的に三流イメージになった」と思いました。多くの人がそのように思ったのではないでしょうか?そのような考えをする私が、完全に時代から取り残されているのでしょうか?とても不安になります。 今年はライブドアや楽天さらには村上ファンドなどによる敵対的企業買収が大きな話題になりました。今回の流通大統合にも、この影響が見え隠れしています。世の中は完全に変わりました。 政治の政界も今年は小泉首相のバクチとも言える乾坤一擲の衆院選勝負ですっかり変わってしまいました。これが小泉退陣までのつかの間の変革か、あるいは大きな変換点であったのかは現時点で知るよしもありません。 民主党では前原代表が孤軍奮闘です。衆院選の劣勢を挽回すべく苦し紛れに打ち出した「国家公務員の総人件費を3年で20%削減」が働かない組合である官公労の激しい反対にあって立ち往生しています。「変わりたいけれど変われない」民主党の姿が露呈しています。 変わることが良いことか悪いことかはわかりません。しかしダーウインの進化論にみるように「変化に対応できたモノが生き延びる」こともまた事実です。変化に対応できず絶滅種になるのか、見事に変化に対応して進化種になるのか?自分自身に問いかける2005年でした。 今年一年、ご愛読頂き誠にありがとうございました。心から感謝いたします。どうか皆さん良いお年を!! 郵政民営化のあと小泉改革は本気か? 12/28小泉首相はライフワークの郵政民営化達成で燃え尽きて、あとは抜け殻ではないかと一時囁かれました。これは多分に興味本位のマスコミと舞台の主役の座を追われた人たちの期待を込めた、意図的な情報発信だと当時私は思いました。マスコミは意図的にこのような情報を発信し、少しでも関心を引けば一瀉千里にその方向へと誘導してゆく、きわめて危険な存在です。 マスコミの特性を熟知した、したたかな小泉首相は、小泉退陣後を狙って、小泉路線を逆回転させない手法を繰り出してきました。「なかなかやるなあ」といまいましげにつぶやく声が聞こえて来そうです。その手法を説明しましょう。 来年1月の通常国会で「行政改革推進法案」を成立させることをこのほど閣議決定しました。ここで決定する改革10分野は小泉退陣後に法案化や実施が義務つけられることになり、後継者の手足を縛ることになります。直ちに具体的な事柄が法案化されるわけではありませんので、骨抜き名人の官僚にしてやられる懸念は大いにありますが・・・ その内容は「政府系金融機関の統合」「公務員の人員削減」「特別会計の数を半減以下に」「独立行政法人の整理統合」「社会保険庁改革」などまことに当を得た、そしてどうしてもやらねばならない項目が目白押しです。そしてその推進役を首相の信任あつい中川政調会長を後見人に安倍官房長官に命じる様子です。 首相後継者候補には、このような土俵を設定し、改革競争を競わせる心憎いばかりの手法です。早くも一部からは小泉横暴との声がわき上がっていますが、このように国民の誰もが賛成する土俵を設定されては、小泉横暴の声も拡大しにくい状況です。 先日来「消費税を増税する前に、行政の効率化による無駄の排除を」と言っていた小泉、中川、安倍連合による「単なるかけ声だけでなく、具体的事例の表示」です。上にあげた項目はお役人の天下りを難しくする「官僚にとっての死活問題」だけに今後、官僚を含む反小泉連合による激しい権力闘争が展開されることになるでしょう。 私たちは注意深く権力闘争の推移を見守らなければならないと思います。 民主党前原代表ガンバレ 12/26民主党の前原代表の言動が民主党内で物議をかもしています。とても良いことではありませんか。代表就任後始めての党大会では憲法改正や「中国脅威論」に言及した米国での講演や自民党との「大連立」騒動をめぐり、前原氏への批判や懸念が相次ぎました。このような思い切った発言は従来の民主党代表にはとても出来ることではありませんでした。民主党には旧社会党系の人たちが根強い影響力を持っています。憲法改正や「中国脅威論」など言おうものなら党内が大混乱に陥るために、結局「事なかれ主義」になっていました。 党大会では予想通り、厳しい批判が相次ぎましたが、前原代表がひるむことはありませんでした。「前原代表は小泉首相と同じく日中関係をこじらせた」との発言には「単にトップに会って、それで良かったというのが真の日中関係ではない」と切り返しました。 本当にそうではありませんか。過去幾多の政治家が「中国首脳との面談という勲章」を目指して、中国のいいなりになったことでしょう。あたかも北朝鮮の代表のような旧社会党もいたではありませんか。日本の国益を第一に考える前原代表に拍手したい気持ちです。 民主党にとって「党内融和」が最大関心事であるかぎり、永遠に政権にはつくことは出来ません。党内に大いに風波をたて、誰が政権奪取のための抵抗勢力であるかを浮き出させることが大切です。 前原代表には民主党最大の抵抗勢力である「働かない公務員組合」である官公労と劇的に決別し、今や破綻状況にある財政の政権への確かな道筋を示し、この前の衆院選で自民党から押された「民主党=抵抗勢力」の烙印を見事に跳ね返すことを期待しています。そしてお役人に牛耳られている自民党に対して颯爽と改革競争を挑み、国民の心をとらえて欲しいのです。 そして与党にも野党にも真のリーダシップを持った指導者があらわれて、国民に信を問う競争をするのが私たちの夢です 小泉予算ガンバレ 12/23小泉政権最後となるかもわからない、来年度予算が決定しました。小泉首相が「改革締めくくりの予算」というだけあって、「何年ぶり」の項目がたくさんあります。小泉首相の公約である「国債発行30兆円」を達成しましたが、これは5年ぶりです。予算80兆円を切ったのは実に8年ぶりであり、毎年増加しつづける予算が前年度より減少したのも4年ぶりです。また特別会計のカラクリで余剰金としてため込んでいた12兆円を膨大な国の借金である国債の一括返還にまで踏み込みました。 今年の衆院選で小泉圧勝があったからこそ達成できたことです。本来「やれば出来る」はずのものが、亀井静香など抵抗勢力が必死になって既得権益を守ろうとしたために出来なかったことです。もしこの四年間の小泉政権がなかったならば、今頃は財政破綻がもっと鮮明になっていただろうと思うとゾッとします。 しかしながら、膨大な金額にのぼる特別会計の伏魔殿をはじめとして、行政の非効率は数多く存在しています。財務省やそのお先棒をかつぐ評論家やマスコミの一部は「消費税を上げない小泉無責任政権」との非難を広げようと躍起です。 不良債権処理で地獄の苦しみを味わい、やっと重い腰をあげて合理化に取り組んだメガバンクは見事に立ち直りました。お役人の世界にも地獄の苦しみを与えないことには、いつまでたっても行政の非効率は手つかずのままになります。増税せず、行政の徹底した合理化で財政再建への厳しい道を歩むべきです。 ここで消費税を増税すれば、今までの努力が水泡に帰します。しっかりと踏みとどまらなくてはなりません。 それにつけてもポスト小泉が気にかかります。小泉退陣後は今までの不満が一気に吹きだして、時計の針を逆に戻す危険性があります。小泉首相は現在国民的人気の高い安倍官房長官にしっかりと宰相教育を施しているように見えます。しかしながらあの小泉さんですら、支持率が唯一の頼りでした。 私たち国民の一人一人が真剣にお役人たちの税金の無駄使いに目を光らせて、中央官庁である霞ヶ関だけでなく、日本全国にわたって「大阪市職員厚遇問題」が無いかと絶えず注目することが唯一日本の財政破綻を救う道だと思います。 「行き過ぎた価格下落は品質を危うくする」とあなたは思いますか? 12/21今や絶大なる権力を握った小泉首相の「鶴の一声」で平成十八年度の診療報酬改定が過去最大の引き下げ幅で決着しました。このことに関して、日本医師会の植松治雄会長は十八日の記者会見で「財政主導のみの方針は反対だ。医療の質や安全を維持できない」と言っています。同時に植松会長は「無駄でない医療も削る可能性がある」との見解も示しました。まさに恫喝以外のなにものでもありません。また先日紹介した耐震強度偽造問題で建設業に従事する真面目な読者からも「行き過ぎた価格下落では品質を保つにも限界がある」との言葉を貰いました。世界規模の厳しい生存競争に身をゆだねる製造業の人たちはこのような言葉を聞いてさぞかし驚いたことでしょう。資本主義の根底を覆す意見だからです。 建設業界も医師会もまさに世界的にも希な「成功した社会主義」にどっぷりと浸かっていた何よりの証拠です。資本主義の世界では「お客様の決める価格が適正価格」なのです。市場価格がいかに行き過ぎであろうとも、市場価格に適応出来ない企業は退場するのが資本主義の掟です。 この過酷な掟のもとに多くの企業は適応できずに消えてしまったのです。そして見事に勝ち抜いた企業だけが生き残り、時代は進化する。すなわちダーウインの進化論です。もちろん今回の耐震強度偽造問題のような不正に走るヤカラも多く出てきましたが、それらは厳しい市場の反撃にあって次々と没落してゆきました。 その何よりの証拠が「安物買いのゼニ失い」なる格言です。消費者も同時にひどい目にあったことを雄弁に物語っています。だのに今回の耐震強度偽装問題だけ、どうして国や地方自治体が救済の手を差し伸べるのか理解に苦しみます。 小泉改革に対する怨嗟の声は日本中に満ちています。それもまことに当たり前で、長い間世界にも例を見ない社会主義が日本に存在し、医師会や建設業界はその恩恵を存分に享受してきたのです。弱者保護は麗しいことです。しかし一旦保護下に入ったならば、保護無しでは生きてゆかれないこともまた真実です。 「艱難汝を珠にす」のたとえのとおり、たとえ行き過ぎた価格であっても、市場がそれを求めるかぎり、困難を克服する懸命な努力から技術革新は生まれるものです。誤解のないように申し添えますが、私は技術者崩れです。建設業界の実態は良く理解した上での発言であることを申し述べて、賢明な皆さんの反論を待ちます。 第三のビール増税 技術の進歩を阻害する税制 12/19耐震設計偽造問題のように、コスト低減のために本来必要な品質を犠牲にする悪質な人々がいる一方で、「消費者に安くて美味しいビールを」と懸命に技術開発に努めるビール業界の技術の進歩をストップさせる官僚がいます。酒、たばこ、ガソリンは税金の多い代表です。その税制の網と格闘しながら、消費者に「安くて美味しいビール」を提供することに成功した発泡酒は大当たりしました。発泡酒こそ、「味という品質を大切にしつつ値段を下げた典型」だと思います。 このとき私は「税制が技術革新を生む」という新鮮な驚きを感じました。技術立国日本にとって、他の分野でも、税制をうまく設定すれば、技術革新が生まれるのではとさえ思えました。「通信業界のような規制緩和」と「発泡酒のような重税の網を逃れる技術開発」で日本が二十一世紀に技術大国として世界に君臨出来ないか・・・そのような夢さえ持ちました。 ところがご承知のように、発泡酒は増税となり、それではと第三のビールを開発したら、今度はこのような意欲を根底から削ぐ税制改悪です。今回の改正のポイントは第三のビール増税は消費者の反発を恐れ小幅にし、そのかわり「今後新しい税金逃れビールの開発を許さない」ことにあります。 何という近視眼的な見方でしょうか。「税金は取りやすいところから徴収する」そのような思想の塊です。私自身は第四、第五のビールを開発するような現行税制を残し、ビール業界での開発競争を続けさせれば、案外予想もしなかった新しい技術が生まれるのではないかと楽しみにしていました。 そして例年のごとく「開発と増税のいたちごっこ」を繰り返すことで、国民の怒りを煽れば、国民の税金に対する関心も高まり、税金のムダ使いや、行政の効率化への声も大きくなるのにと残念至極です。 今回はお役人の悪知恵が勝利したといえるでしょう。 耐震強度偽造問題 読者からのメール2 12/16耐震強度偽造問題については国会の証人喚問でさらに注目を浴びています。今回は大手ゼネコンに勤務する若い人からメールを貰いましたので紹介します。引用開始--- 12/12の藤原通信で、親からの教えを守り、真面目に建設業に取組んでおられる方の報告を見て、私なりの所感を述べたいと思います。 私も、「検査を厳しくするという体制だけでは直感的にこの問題は解決できないのでは」という風に感じています。(同業だからというわけで、擁護するわけではありませんが・・) というのは、問題の本質は、以下の2点にあると私は思うからです。 1) 健全な業界の発展に対して行き過ぎた受注価格 2) 業界全体がイメージダウンしたことにより、お金が流れてこなくなったこと こういった問題に対する解決方法は、まずは「国民の皆さんにこの業界の現状を知っていただくこと」だと思います。以下に詳細を述べます。 ここ十数年建設業界に対する一連の改革により、大幅にシステムが改善され、業界にお金(税金)が流れてこなくなり、業界規模も縮小傾向にあります。これはこれで、良かった面も大いにあると思います。しかし、近年のこの業界は「安かろう悪かろうが淘汰される」が、「安かろう良かろうが評価されない」という現状があると感じます。 そもそも、お金が流れてこないということは、 ・建設業界の仕事に対する社会の価値感が変化し、相対的な価値が下がってきている。 ・建設業界の仕事に対する、社会の認知度が低く、その価値に気づいていない。などの理由があると思いますが、近年の受注価格は、健全な業界の発展に対して行き過ぎの感があります。 こういうと、 1)もともと、談合して高値でぼったくっていたんだから、ちょっとぐらい安くしたっていいんじゃないの? 2)安値受注して、困るんなら受注しなければいいじゃないか?という意見があるかと思いますが、 1)については、大きな会社は ・ダンピングには毅然とした態度を取るという方針 ・役所に対して、指名競争入札(一般入札)で入札者を特定する場合には、落札できない可能性があることを伝える。などの対応も出来ますが、小さい会社はそんなことを言っていられない会社が多いのではないでしょうか(寡占市場にしても良いというなら話は別です)。 2)については、以前は少々高かったかもしれないけれど、発注者側も行き過ぎなのではと感じ(全体的には普及されてませんが)国交省などを中心にプロポーザル(提案型入札)方式が増えてきています。(但し、これにより、国交省側の負担も増えたと担当官はいっています。) 今回の事件のように、安い金額で受注したからといって、不正を行うのは言語道断ですが、不当に安い金額で受注せざるを得ない環境は、構造的に不正を生みやすく、どこにしわ寄せが来て、自分にも返ってくることを国民の皆さんに知っていただきたいです(「安物買いの銭失い」です)。 その上さらに、今回の事件に対する対策として、検査体制を強くするということは、ひとつの有効な手法となりえますが、それだけコスト負担が、行政(発注側:国民の税金)にも民間(受注側)にもかかるようになります。 この業界では、「縁の下の力持ち」的な存在で目立たない部分が多く、業界内の人も表に出ないところを美とする気風もあったので、紙面を大きく賑わすときは、悪いことのほうが多かったように感じます。これからは、自分達から声を上げ、自分の身の回りの人に話すことなどの地道な活動により、一般の方にもう少しこの業界のことを認識していただく必要があると感じます。 この結果、少しでも、お金がスムーズに流れるようになれば、業界が健全になることにつながるのではないかと思います。 引用終わり--- 耐震強度偽造問題も大切だけれど・・・ 12/14耐震強度偽造問題は、いままで「構造強度は専門家にまかせておけば安全」と信じていた一般住民に大きな衝撃を与えました。マスコミはその心情をうまく伝え、「震度XXに耐えられない」などと危険性を強調し、さらに不安が増幅しています。しかしマスコミに取り上げられない心配な点もいくつかあります。それは「建築基準法改正前の建物は大丈夫か」「違法建築は野放しにはなっていないか」の二つです。簡潔に述べましょう。 建築基準法は昭和56年に新耐震設計法が導入され、平成10年には阪神淡路大震災の経験をもとに改正されています。改正以前の建築物は一体どの程度の地震に耐えられるのでしょうか?心配はないのでしょうか?人の命の危険性を論ずるマスコミが、目の前のものだけとらえて騒ぐ姿勢はいかがなものかと・・・ それからもっと恐ろしいのは違法建築物です。産経新聞には恐ろしいことが書いてありました。 「完成した建築物の耐震性などが適法か調べるため、建築基準法で義務付けられた『完了検査』が、平成十六年度は全国で73%しか実施されていないことが十日、国土交通省の調査で分かった。」というのです。 さらに「国交省調査によると、建築に関する検査業務が民間に開放される平成十年度までは、完了検査の実施率はわずか30%台で推移。民間による建築検査業務への新規参入が相次ぎ、従来の『検査員不足』が解消されたため、以降の実施率は十一年度45%▽十二年度57%▽十三年度64%と伸びを示し、十六年度になってようやく73%になった。それでも建築確認が出た建築物の三割が、事前の申請通りの適法建築物かどうかのチェックを受けないまま、ユーザーに引き渡されていることになる。」とあります。 中には建築確認と異なる粗悪建築が露呈しないよう完了検査を避ける悪質な建築主がいたり、完成検査を受けた後で改造する例も後をたたないとのことです。特に外回りの構造物では、完成検査が終わってから完成させた経験を持っている読者もいると思います。 今回のように悪質さの構図が明確な時にはマスコミ特有の集中攻撃をかけますが、危険度から言えばもっと規模の大きな危険性については「知らぬ顔」のマスコミでしょうか? 耐震強度偽造問題 読者からのメール 12/12藤原通信で「建設業界に対しては従来から『値切ると手を抜かれる』との不信感が根強くありました」と書いたところ、建設業界の最前線で、苦しみながら真面目に戦っている読者から強い反論がありました。建設業界の実情を知る良い機会だと思い、読者の了解を得て引用させて頂くことにしました。引用開始--- いつも楽しくメールマガジンを拝見し、勉強させて頂いております。さて、12月7日付記事について、一言申し上げたいと思います。 「建設業者は値切ると手を抜く」というのは、甚だ不適切な表現です。中にはそのような者もいますが、大半の建設業者は良心的だということを声を大にして申し上げたいと思います。釈迦に説法のようで失礼ですが、90年代前半のゼネコン汚職事件に端を発し、今日までに入札制度の改革や公共工事のコストの縮削減等の様々な建設行政の施策が行われてまいりました。 不透明かつ公正さを欠く業界慣習や建設業を食い物にする悪徳政治家の存在はもはや国民が許すところではなく、また、税金の無駄遣いをやめさせること、「よい物をより安く」つくることは、多くの国民の要望でもあり、業界の利害に反する部分もありますが、これは時代の流れ。仕方のないことです。 しかし、これらの施策により、公共工事は必然的に減少し、結果としてスーパーゼネコン・地元業者入り乱れての民間建設工事の受注競争が激化し、良心的で真面目であればあるほど建設業者は倒産してしまうようになりました。「最悪でもトントン、できることなら少しでも利益を出そう。」多くの建設業者が、この十数年そんな必死の思いで仕事をしてきました。 最初のうちは下請業者をたたくことでしのいできたが、十数年もこんな状況が続くと、この方法も最早限界。あとは下請業者にタダで仕事してもらうしかなさそうだ。こうなってくると、もう赤字赤字の連続だ。それでも、「お施主様の信頼には必ずお応えしろ。」死んだ親父からもそう言われてきたとばかりに、工期も金額も契約通りに誠実に履行する。しかし、赤字はボディブローのように確実に効いてくる。ついに耐えられなくダウンする。やがてテンカウントが数えられる。 決して言葉尻をあげつらうつもりはありません。ただ、世間の人々に、多くの建設業者というのはこのような業者たちであるということを知ってもらいたいと思っているのです。 取り留めのないことを述べてまいりましたが、欠陥マンションを購入させられた被害者の方々の心中をお察しするにつけ、心が痛むばかりです。早急に支援のための施策が講じられることを祈念します。 しかし、この問題については、被害者の支援や関係者の処分、罰則の強化、検査体制の強化などばかりに目が行っていては、根本的な問題解決にはならないと思います。今回の耐震強度偽装事件は、前述のような近年の建設業界の構造的な問題が背景にあると考えます。様々な要因が建設業を締め付けることにより、却ってこのような事件が起こることは容易に想像できたことです。 そのような点で、このようなことを分かっていたくせに、危機感をもって世間に注意を呼びかけなかった全建や日建連などの建設業界団体には大きな責任があります。 今こそこれらの団体は、お互いに協力し合って、専門工事業者団体と連携するとか、建設業を出身母体とするクリーンなイメージの国会議員を巻き込むなどして、政治や行政、そして発注者たる国民に対しても、安値受注が大変な事故を生むということを真剣に訴えかけてほしいと、心から願う次第です。 引用終わり--- 小泉改革 公務員の優遇年金にメスが入る 12/09新聞などに公務員の年金である共済年金の「追加費用」が廃止の方向との報道が出ました。しかもその金額が年間1兆8千億という巨額な数字にのぼっています。大部分の人々は「追加費用」とはそもそも何なのか理解出来ないと思います。真実を知ると怒りがこみ上げてきます。皆さんは「恩給」という言葉を聞いたことがあると思います。公務員の年金制度である共済年金が出来る前は恩給制度でした。今では恩給を受けていた人たちも少なくなり、実質上恩給制度はなくなっていると考えるのが妥当です。 ところがどっこい、その恩給に毎年2兆円近くの税金が投入されているのです。私たちの厚生年金の場合、本人が死亡したら、減額されて配偶者に遺族年金が給付されます。ところが公務員の共済年金の恩給部分は、本人が死亡しても配偶者や子供、父母や孫まで引き継がれる制度になっているために、百年間も支払い続けなければなりません。 厚生年金の場合、年金は現役世代が負担していますから、このような制度が温存されるなら、激しい世代間紛争がまきおこり、とても持続出来ないと思います。 ところがお役人の場合は、税金投入で2兆円近い費用をまかないますので「平気の平左」でいつまでもこのような「お役人厚遇」が続くわけです。このような理不尽をマスコミが騒がないのも不思議です。 政党も官公労に牛耳られている民主党は声をあげることすら出来ません。一方与党は公立学校の校長先生であった人とか役場の幹部OBなど地方での名士がこの恩恵を受けていますから、選挙での票田を失います。このような事情から今まで放置されて来ました。 本件に対して声をあげたのが、今や有名無実のYKKの一人の加藤紘一氏です。そして衆院選の自民圧勝を受けて、政府も重い腰をあげました。しかしその根底には法律を実質的に作成する官僚の激しい抵抗のために今まで手がつけられなかったと見るのが妥当です。 このような税金の無駄使いはまだまだ存在すると思います。消費税増税をする前に、徹底的に無駄使いを撲滅するのが絶対条件です。お役人に任せていたのでは、大阪市職員厚遇問題のように、いつまでたっても税金の無駄使いが修正されません。とにかく小泉首相に力を与え、改革、改革と叫び続けさせなければならないのです。 耐震強度偽造問題とリスク対応 12/07建設業界に対しては従来から「値切ると手を抜かれる」との不信感が根強くありました。それがここに来て「本当にそうだった」と多くの人々が確信する事態となりました。建設業界にとっては大きな打撃です。利益追求の企業経営にとって、コスト低減は至上命題です。そこで企業は必死になってコスト低減に努めます。ところがどうしても他社に勝てぬと、「安かろう悪かろう」に走り、挙げ句の果てに今回のような違法行為にまで走る危険性はどこの業界にも存在していると思います。 私たち消費者も「ただ安いだけに飛びついてはいけない」との大きな教訓を得たと思います。残念ながら「安いのはなぜか」まで追求しなければならない世の中になってしまいました。たとえば一世を風靡したユニクロは「製造小売り」という当時としては革新的なビジナスモデルで圧倒的な優位を築きました。 このように「なぜ安いか」の明確な理由が見つからない高額な買い物の場合、これからは「これは不良品である」との前提に立って、売り手をチェックしなければなりません。今回のヒューザの場合は「全ての物件の買い戻し」と言っても、その裏付けになるお金が調達出来ないのは誰の目にも明かです。 例えば有料老人ホームの場合、人生の最後に千万円を越えるお金をつぎ込みます。もし相手が倒産したらどうなるか?との観点で慎重に選ばなければなりません。そうなると信用が一番大切になります。大企業でも不祥事を起こして大事件になる例には事欠きません。 従って購入しようとする高額物件が、「もし違法な不良品であった場合、良心的な対応をすれば、売り手の会社は倒産しないか」「もし倒産した場合、自分たちはどうなるか」まで考えなければならないという教訓を今回の事件は引き起こしました。 今回の事件で建設業界では色々な規制が強化されるでしょう。しかし転ばぬ先の杖として、例えば高齢化社会を控え、今後数多く出来るであろう、有料老人ホームなどについて消費者保護の観点から法整備を急いで欲しいものです。 耐震強度偽造問題を他山の石とするのではなく、自分のこととして、他の分野でも至急総点検をするべきだと思います。 こんなにも違うのか! 小泉改革遂行 12/05郵政民営化達成の後の小泉改革に注目が集まっていましたが、このほど「政府系金融機関の統合」「三位一体改革」「医療制度改革」などの大物案件が静かに決着を見ました。重要な政策案件は予算の原案が決まる12月までに決めないと、予算の裏付けがないために、せっかくの改革案も絵に描いた餅になってしまいます。そこで毎年12月は重要案件の決定作業で騒々しい季節となります。族議員が官僚と密接に連絡を取り合いながら、激しい戦いが展開されます。 ところが今年は今までと雰囲気がガラリと異なっています。安倍幹事長、中川政調会長を中心に、背後に竹中総務相がひかえて、小泉首相の権限をちらつかせながら、大きな案件の骨子が決定して行きます。その間小泉首相は「谷垣、与謝野は調子はずれ」などの短い言葉を発するだけで、思い通りの方向に物事が決まって行きます。 今更ながらに郵政民営化で追放された「抵抗勢力」の力の大きさを思い知ることになりました。 この光景を見て、小泉首相も大企業の社長と同じになったと痛感しています。古くて歴史の長い大企業ほど、社長の胸の内を部下があれこれと忖度して政策を決定します。そして社長の御前会議でお伺いを立てて、その場での社長の短い一言を巡って、会議の後に部下たちは右往左往します。小泉自民党と全く同じではありませんか。 これというのも衆院選の大勝をうけて小泉総理・総裁が大企業の社長のように絶対権力の掌握に成功した何よりの証拠です。自民党も小泉首相の「改革競争」の一言に右往左往しているようです。今までのところ、方向性は間違っていませんから改革を進め、もはや後戻り出来ないように地盤を固めてほしいものです。 しかし官僚はしたたかです。面従腹背でがっちりと自分たちの権益は守ります。道路公団民営化のように羊頭狗肉の改革にしてしまいます。このようなことを無くす特効薬は「天下り禁止」です。「天下り」がなくなれば、行政の効率化は劇的に進むと思います。そのかわり高級官僚の早期退職の慣行も廃止し、高級官僚には大企業の社長と同等の給料を与えれば良いと思います。 彼らに高給を与えても、お役人の税金無駄使いに比較すれば微々たるものだと思うからです。 楽天対TBS 一時休戦 12/02注目の楽天によるTBSとの経営統合問題は、楽天が経営統合提案をいったん取り下げることになりました。そして保有するTBS株の一部を信託して議決権を持つ持ち株比率を低下させ、休戦状態としたうえで、「放送とインターネットの連携」を実現するための話し合いを始めることで合意しました。一応休戦ではありますが、楽天にとっては限りなく敗北に近い休戦です。ライブドアに比較して「老獪でしたたか」な楽天ですが、今回は終始苦戦を強いられる展開となりました。 「会社は株主のものでしょう」とうそぶくマネーゲームの猛者たちの言葉も、必ずしも正しくないという印象が、じわりと日本を覆っているような気持ちがします。政治もマネーゲームも国民という観客の合意を得ないとうまく作用しないように思えてきました。 昨年のプロ野球騒動では、国民という観客は古い世界の代表であるプロ野球オーナに果敢に挑戦するライブドアに拍手喝采を送りました。ライブドアは世論の大きな支持を受けながら想いを遂げることが出来ないで、老獪な楽天に「鳶に油揚げをさらわれる」ことになりましたが、「プロ野球新規参入」という歴史的な成果を得ることが出来ました。 村上ファンドは積極的なマネーゲームで阪神タイガースの上場を目指しましたがファンの総スカンを食い、思うように進展していません。力づくではうまく行かない実例が出てくる気配が見えはじめています。 そして「フジテレビとライブドア」に今回の「楽天とTBS」で「ネットと放送の融合」が大きなテーマとなりました。ところがネット側に、国民という観衆を唸らせることの出来る新しい提案が見あたりません。 しょせん、その辺の有象無象(うぞうむぞう)と同じで「テレビの持つコンテンツを金の力でもぎ取ろう」としか国民には見えず、楽天の場合は大幅な株価下落という判断を市場が下しました。 ここに「会社は誰のモノ」という重い質問を楽天はつきつけられたのではないでしょうか。「会社はその会社にかかわる全ての関係者(ステークホールダ)のモノだ」ということをマネーゲームの猛者たちは改めて噛みしめるべきだと思います。 |