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関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ 日本型経営の研修に最適 大阪

藤原雄一郎の時事通信 2005年11月号

 官業と民営化 悩ましい選択 11/30 

耐震設計偽造問題はとても深刻な問題です。そしてその被害の輪が大きな広がりを見せそうな気配です。このような不心得者が存在することを前提として、建築確認申請制度が決められており、強度計算書は事前に審査されることになっています。

ところが本件に関しては、実際に審査する部門が民間に委託されており、現時点で断定することはできませんが「まともに審査していなかったのでは」との疑惑が持たれています。この業者は「どこよりも安くて仕事が早い」との評判であったとのことです。本来なすべきことをしないで早いのであれば「何をか言わんや」です。

そこで「民間委託とか民営化はどうしても利益至上主義となり、このようなことが発生するから問題だ」との声が大きくなりそうです。確かにそうでしょう。しかし官業ならば社会保険庁のように「厚生年金の受給資格があるのを知らないで、あわてて申請したら、実際に入金したのは6ヶ月後」というようなことになります。全く時間の観念がありません。とても悩ましいことです。

現在政府系金融機関の統廃合が大きな話題となっています。特に中小企業の人たちにとって、銀行の貸し渋りでひどい目にあっている時に「政府系金融機関はまるで神様のようだ」と感謝されたこともありました。だからこそ「目先の利益に左右されない政府系金融機関が必要なのだ」と大きな声で主張する人たちがいます。

このような局面をとらえるとまさに「その通り」と言わざるを得ません。しかし神様のようだと感謝された結果どのようなことが発生したでしょうか?1998年の貸し渋り対策で政府系金融機関合計で6兆円ものお金を使いました。しかしその殆どは焦げ付いています。

またこの時期「金融安定化特別保証制度」が出来ました。企業が返済不能に陥った時、各地の信用保証協会が全額肩代わり(代位弁済)し、最終的な損失も協会や国がかぶるのが信用保証制度です。その審査基準を緩め、最終的に30兆円の保証枠を大盤振る舞いしたのが特別保証でした。 そして2001年3月末までに29兆円分が使われ、代位弁済総額は約2・2兆円に達し、その9割近くが焦げ付いたのです。

結局これら焦げ付きは国民の税金でまかなわれます。民間委託や民営化をすれば利益至上主義で手抜き審査が出てくる。官にまかせると「親方日の丸」で税金で尻ぬぐい。そして官の仕事は時間の観念がない・・・・

官業と民営化 本当に悩ましい選択です。

 メガバンク合計で1兆7千万円の利益 11/28 前回 11/25

このところ景気の良い話題が新聞紙上をにぎわしています。今年の冬のボーナスはバブル期以来の高い伸びとなり、個人消費を刺激するだろうと言われています。

そして、つい先日、三菱UFJがトヨタの利益を抜く好業績であることが発表されたばかりですが、このほどメガバンクの9月中間決算が出そろいました。その結果メガバンク合計で1兆7千万円の利益が予想され、昨年同期の20倍以上の好業績です。

このような好業績の原因は不良債権処理が終了したことにつきます。いままで「思い切った不良債権処理をしない」と散々叩かれた「不良債権処理費用」がここに来て劇的に縮小し、結果として不良債権処理費用を多く見積もりすぎたために、必要のなくなったこれらの費用が利益となって業績を押し上げる大きな要因となったようです。

メガバンクだけでこの10年間、何と60兆円もの巨額の費用を不良債権処理のために費やしてきました。その間銀行に対しても、貸し出しを受けた企業に対しても、その乱脈経営のツケがこのような天文学的数字となって経営を圧迫したのです。多くの企業では経営陣が追放され、また銀行自身も、前の名前を誰も知らないほどの再編成を余儀なくされました。

このように一応経営陣は責任を取ったとはいえ、その穴埋めは低金利となって、私たち国民の犠牲を強いています。経営が健全化しつつある銀行は、今度こそ私たち国民への恩返しとして、サービスの向上にに努めて欲しいものです。利益は株主に還元するのではなく、「営業時間の延長」「ATM利用手数料の無料化」「待ち時間の短縮」など私たちの利便性の向上のためにこそ使って欲しいものです。

さて次は政府系金融機関の不良債権問題です。現在政府系金融機関の統合が最大課題となっていますが、このどさくさに紛れて巧みに税金で尻ぬぐいをすることによって、不良債権問題をウヤムヤにして欲しくはありません。

政府系金融機関の不良債権の穴埋めは明確に税金で補填されます。これから密かに処理しようとする、政府系金融機関の不良債権処理を、明るみに出して、キチンとお役人に責任を取らさねばなりません。ますます私たちの厳しい監視の目が必要だと思います。

 政治は変わるか? 小泉首相に余裕が出てきた 11/25 

朝日新聞に面白い記事が出ていました。安倍官房長官の言葉です。

「かつては年末の予算編成をして総選挙というパターンが多かった。必ず前年度よりも来年度の方が予算が増え、それをリュックサックに入れて選挙区に帰って自慢ができる。あれ取ってきた、これ取ってきた……」

まさに自民党政治の基本中の基本でした。「あれ取ってきた、これ取ってきた」の源泉となったのが族議員でした。それが衆院選の小泉圧勝を受けて、「族議員をぶっ壊す」方向に進んでいます。少なくとも自民党政治は変わらざるを得ません。しかし次の方向はなかなか見えて来ません。ポスト小泉で自民党はどうなるのか気が揉めます。

その一方で最近の小泉首相は落ち着いています。しかも不気味な力を持ち出しました。消費税問題で谷垣財務大臣と中川政調会長との間で「増税が先か、歳出削減が先か」の対立に対し、小泉首相が「いずれ谷垣さんや与謝野さんも私の意図がわかれば、中川政調会長と協力していくでしょう。私の意図が分からないから、ちょっと調子はずれのことをたまに言うだけでしょう」との言葉が波紋を広げています。

従来の首相なら力がありませんでしたから、自民党員は派閥の親分に顔を向け、首相のいうことなど気にもかけませんでした。ところが最近は政府系金融機関の統合や道路特定財源の一般会計繰り入れ問題など、「小泉首相の一言」が重みを持って受け止められています。道路公団民営化での首相権限のなさとは大きな違いです。

現時点で道路公団民営化を行えば、もっと内容の充実した改革になっていたのにと悔やまれてなりません。それと同時に郵政民営化で追放された抵抗勢力の力がいかに大きかったかが実感されます。

久しぶりに大企業での社長の言動を見るような気持ちがしました。というのは小泉首相が大企業の社長と同じくらいの権力を手に入れたことを意味します。「最近は小泉にお上手をいう輩が増えて・・・」という嘆き節も大企業そっくりです。

ここで社長が権力にあぐらをかき、自分勝手を行うと、会社がつぶれます。総裁に絶対権力を握らせた自民党にそのようなことが無いように祈ります。いよいよ後継者の資質が大切になってきました。

定年後人生 「緊張とリラックスの適度な調和」 11/23 

「還暦で赤ちゃんに戻る」とは良く言ったものです。最近は定年年齢も65歳に近づいていますので、さしづめ還暦は65歳でしょうか?大切なことは会社生活が終了したら、今までの人生を全てゼロに戻して、新しく人生をやりなおすことです。

日本人の平均寿命も大幅に伸びて、定年を迎えても20年程度の第二の人生が待っています。特に男性は会社生活の延長線上から抜けきらず四苦八苦します。それは「過去の栄光を捨てきらない」からです。会社も肩書きも全てを忘れ、ゼロからの出発へと発想を切り替えることです。

すでに十分な経験を積んで人生を生きていますから、「今までの人生をもう一度やり直すならば」との視点でスタートするのが良いでしょう。その時に大切なのは「緊張とリラックスの適度な調和」です。

今まで出来なかった趣味に没頭するのも良いでしょう。しかし毎日ゴルフ三昧で楽しいですか?忙しい毎日の寸暇を割いて、ゴルフをするから楽しいのです。旅行も良いのですが、毎日旅行で満足ですか?やがてお金と体力が無くなった時には「毎日ただ生きているだけ」の生活に陥るおそれがあります。

やはり「自分自身に負荷を与える」状態をある程度持った上でリラックスする生活とミックスしてこそ楽しい生活です。一度自分自身の能力の徹底的棚卸をして、新しい分野に頭をつっこむことです。そしてなにがしかの報酬を得ることが出来れば最高です。

今までの会社生活では生計を立てなければならないので自分の好みに対する選択の余地がありませんでいた。しかし年金生活に入れば、あなた自身の選り好みを大いに発揮すれば良いのです。複数の新しい分野に頭を突っ込み「新しいことを知る」「知的好奇心を満たす」ことに専念すれば、何事もすばらしく楽しくなります。どのようにつまらなく見えることも刺激の連続となるのです。

生活がかかっていませんから知的好奇心を満たすことが出来たと思えば、次の新しい分野に進めば良いのです。そして「知的好奇心の終(つい)の棲家」を見つけることです。たとえばそれが趣味の世界でもOKです。その世界では誰にも負けないレベルにまで到達しようとの意欲が沸いてきます。

インターネットの発達した現代では発表の場はいくらでもあります。このように意識を切り替えれば毎日が刺激にあふれた活気ある定年後の人生を歩むことが出来るでしょう。

三菱UFJ利益がトヨタを上回る 11/21

三菱UFJフィナンシャル・グループは17日、2005年9月中間期の業績予想の上方修正を発表しました。連結純利益は6350億円と国内最大のトヨタ自動車の5705億円を上回る好業績です。

少し前まで地獄のそこをはい回ってきた銀行業界がこのような好業績をあげるとは信じられない思いがします。まさに竹中−小泉ラインの不良債権処理ハードランディング政策のおかげと言えると思います。竹中大臣が銀行を締め上げて、追いつめた結果、銀行がたまりかねて企業合理化に邁進した結果だと思います。

一昔前までは銀行の給料は高すぎると不評サクサクでありました。それが地獄の底を見たために、店舗の統廃合、人員削減、給与カットなどの荒療治を行わざるを得なくなり、ぬるま湯から一転、厳しい合理化にさらされた結果スリムになったのも、業績回復の大きな理由であると思います。

長年、護送船団方式で、お役人のいうことを従順に聞いていれば経営できた銀行業界にとって、この2〜3年はまさに疾風怒濤の大変化であったと思います。ここまで銀行が立ち直るには、一般社員の大きな犠牲もともなったことでしょう。まだまだ経営陣が旧来の発想から脱却しているとは言えません。これから本当の意味での経営が始まると思います。

さて銀行員の給与レベルは一般並になりましたが、給与レベルが最も高いのはテレビ局の社員です。「電波は公共のもの」と豪語し、日本最後の護送船団で最も既得権益にしがみついているマスコミが、最高レベルの給与を得ています。それがフジテレビやTBSのように、給与レベルが半分以下のネット企業の攻撃を受けているのは皮肉です。

ネット企業がテレビ局を乗っ取れば、日本で最も遅れているマスコミ業界にも新風が吹くかもしれません。ネット企業は虚業で実力を磨けと言ったかと思えば、テレビ局を乗っ取れと言ってみたり、私も支離滅裂ですが、ふとそう思いました。

民間ではこのように「利益をあげる」という宿命が企業を変革に追いやります。しかし公務員の世界はこのような厳しいリストラとは無縁で、官製談合で天下り先を死守したり、一向に規律が働きません。1000兆円もの借金をどうするのかと圧力をかけるのは国民の声しかありません。とにかく政治に興味を持ち続けたいものです。

楽天のTBS戦略は予想外に苦戦 11/18

ごく最近、村上ファンドが高値でTBS株を売り抜け、巨額の利益を稼いだとマスコミでは話題になっています。お叱りを覚悟で申し上げますと、今回村上ファンドの行ったことと、いわゆる仕手筋の行っていること(株価を操作し高値で売り抜ける)との間に差が見いだせない私です。

村上ファンドは投資ファンドですから儲けるのが目的です。しかし今回のように話題を盛り上げて、その間に売り抜けるのは典型的な仕手戦とどのように違うのでしょうか?村上ファンドが買い進んだことがわかった瞬間に株価が大暴落するようにしたいものです。

さて楽天ですが、ソフトバンク、ライブドアと比較して、抜群に周到に政財界に食い込んでいる楽天が、フジテレビ事件を隅々まで研究し、熟考を重ねた結果、満を持して立ち上がったTBS統合問題が意外な長期戦になっています。

「放送とネットの融合」と言いますが、TBSは案外しっかりと考えています。楽天と同じ物販ではアマゾンと手を組み、「つたや」で有名なレンタルビデオのカルチャー・コンビネエンス・クラブとも提携しています。その上に今やライブドアに肉薄する勢いのネット企業であるインデックスとも提携の方向であると言います。提携相手はいづれも足が地についた実業の強者です。

この顔ぶれを見ると、どうやら楽天はTBSにとって「実力もなく提携相手としての資格なし」と判断されているようです。

実はインデックスはライブドア騒動で有名になったフジテレビやテレビ朝日から出資を受けているのです。なぜライブドアや楽天が嫌われて、同じ業種のインデックスが出資を受けるのか?関係者の話にはとても考えさせるものがあります。

放送業界に話を持ってくる会社は星の数ほどあるが「投資してくれれば高値で上場出来る」とか「コンテンツを提供してくれ」とか自分たちが取ることばかりでウンザリする。その点インデックスはしっかりとした内容で相談を持ちかけ、「いかに放送業界の利益になり、そしてインデックスの利益にもなるかを説得性のある内容で提案する」のが魅力だと語っています。

どうでしょうか?ライブドアや楽天にこのような力がはたしてあるのでしょうか?両者ともに「放送とネットの融合」を標榜していますが「なるほど」という提案を聞いたことがありません。本当にしっかりとした戦略を持っているのでしょうか?彼らが虚業から実業へと転換したがっており、そのために豊富な札束で相手を威嚇するのでは、まとまる話もまとまらないことでしょう。

私たちには知らされないだけで、ライブドアも楽天もしっかりした構想を持っており、経営統合すれば世の中が大いに進歩するのだと信じたいものです。

スローライフを考える必要があるのでは? 11/16

この9月から、私は百貨店の店頭でクルーズ販売に従事しています。まさに雑巾がけの丁稚奉公で、開店前の掃除で床にはいつくばったり、展示物の磨きから始めています。開店当初は連日10日間働きづめでしたが、土日、祝日出勤と減らしながら先週からは日曜日だけにしました。

店頭接客ではお客様と目線を会わせるために、床に膝をついて、お話させて貰ったり、とても新鮮な刺激を受けています。めったに経験できない百貨店の立ち上げや、裏側も見せて貰って、私にとっては貴重な体験です。

最近ショッピングセンターで困った事態が生じています。それは特徴のある老舗や誰もが望む店舗を百貨店やショッピング・センターが懸命に誘致しても入店して貰えないことです。そのためショッピング・センターは個性のない似たり寄ったりになってしまっています。その最大の原因が勤務体系にあるというのです。

時代の流れで年中無休、長時間営業がごく普通になってきました。そうすると勤務体系も「早番」「中番」「遅番」と複雑でそのうえ休みを入れると、非効率で店舗運営が極めて困難になります。

私が現在出ている百貨店は朝9:30〜夜20:45までの「早番」「遅番」勤務ですが、慣れないせいか随分としわ寄せが従業員に来ています。老舗や特徴のある店舗がテナントとして入りたがらない理由が良くわかります。このままでは全てに画一化されてしまい、「日本全国コンビニ化」のような味気ない社会になるのではと思います。

JR西日本の尼崎脱線事故はスピード優先が招いた事故でした。年中無休、長時間営業も「日本人のせっかちと我が儘」から来ています。お正月の三が日はどこも店が開いていなくて、昔ながらの「おせち料理」で家族の団らんを取り戻す。そんな日本にたまには戻っても良いのではとしみじみ思いました。

特に深夜営業の店の前は青少年のたまり場となり、非行の温床となっています。週に一度は百貨店もショッピング・センターも休み、夜の10時を過ぎれば、どこも全て閉まっているようなスローライフを取り戻すことも良いことではないのか?そんな感慨に思わず引き込まれました。

六カ国協議 いつまで北朝鮮につきあうのか? 11/14

六カ国協議はさしたる進展もなく終了しました。北朝鮮の強気が目立っただけの会議で終わりました。「いつまでだだっ子の機嫌をとるのか」との腹立たしい状況です。

北朝鮮は先の六カ国協議の合意で非常に良いポジションを獲得しました。それは議論の争点が「軽水炉の提供の解釈」となっている点からも明かです。従来の北朝鮮にとって最大の希望は「金正日独裁政権の体制保証」でした。それを先の合意で見事に獲得したのです。

イラクで泥沼にはまりこんだアメリカの現状を見るときに、アメリカが北朝鮮を攻撃することも現実味が無くなってきました。「圧力と対話」はあきらかに対話先行状態になりました。

このような状況で、北朝鮮にとって「核は体制維持のための命より大切な武器」と信じて疑っていないフシがあります。ですから徹底的に時間稼ぎをして今度こそブッシュ政権の終了を待つ腹だと私は確信しています。ですから「軽水炉提供が先か、核廃棄が先か」などと角突き合わせ、あげくの果てに「在韓米軍を含む韓国への核査察や、米国の「核の傘」から韓国が離脱すること」まで要求をエスカレートさせています。

韓国も中国もここにきて大きく北朝鮮に傾斜しています。このことも北朝鮮を強気にさせている一因でしょう。このままではいつまでたっても平行線の六カ国協議が続くことと思います。その証拠に次の会議の日程も決まっていません。日米がしびれを切らせて日程を決めよと詰め寄るまでの時間稼ぎです。

完全に北朝鮮のペースになってきました。これ以上いつまで北朝鮮につきあうのでしょうか?拉致問題なども核問題が解決して、北朝鮮に莫大な経済援助が確約されるまで決して解決するとは思えません。この手詰まり状況をどのようにするのか?強い決断が必要でしょう。果たして出来るか不安です。

自民党・道路調査会長に石原伸晃氏 自民党も変わったものだ 11/11 

衆院選の自民党圧勝(というよりは小泉圧勝)の波紋は着実に広がりを見せています。自民党内の権力闘争もいよいよその最終段階に入ったようです。

従来、政官業の癒着で大きな力を発揮してきた族議員の勢力が決定的に削がれつつあります。それは族議員が力を発揮することが出来た、自民党内の92の調査会、特別委員会のメンバ、特に部会長の大幅入れ替えをこのほど実現したからです。

皆さんは鈴木宗男が部会で大声で叫んでいる光景をテレビで何度となく見たことを覚えていると思います。自民党では部会の承認なくては何事も進まず、大きな権力を持っていました。自民党議員は官僚と密接に結びつき、自分の担当部会での発言力を増すことで権力を高め、世に言う「族議員」としての基盤を堅め、利益誘導政治の根源になって来ました。

あらゆる分野での族議員を揃え、「族議員のデパート」と言われた旧田中派→旧橋本派が盤石の権力を握ることが出来た有力なシステムでした。

小泉政権は発足以来、この強固な基盤をぶっ壊すことに全勢力を費やしてきたと言っても過言ではありません。まさに高度成長期の体制をそのまま引き継ぎ、既得権益を必死になって守ろうとする抵抗勢力との激しい戦いにあけくれたのでした。別段「抵抗勢力が悪で小泉政権が善」と言っているわけではありません。凄まじい権力闘争が繰り広げられてきたと言っているのです。

郵政民営化でほとんどの有力な抵抗勢力は自民党を追放されるか、力を失いました。そこで一気呵成に調査会のトップを入れ替えたのです。その象徴が大きな力を持ってきた道路調査会長を古賀誠から石原伸晃にかえた人事です。衆院選前なら到底実現不能な人事であったと思います。

この象徴的人事は多くの人々に「自民党は変わった」と強い印象を与えました。ここにあれほど激しかった権力闘争も終わりをつげたことになります。

ところが小泉政権は強固な総理・総裁中央集権システムをも同時に作り上げました。この強固な城壁に例えば亀井静香が生還すれば、難攻不落の抵抗勢力城が出来上がります。それだけにポスト小泉の人選に国の将来がかかっているとしみじみ思いました。恐ろしいのは小泉独裁政治ではなくて、自民党の「総裁独裁システム」なのです。ここのところの論議をまちがわないようにして欲しいと思います。

時期総理・総裁レースが良い方に展開することを願う 11/09

小泉内閣の改造が終わり、次期総裁レースに早くも関心が移っています。一般的には安倍官房長官を筆頭に麻生外相と続き、一歩遅れて谷垣財務相と言われています。

その谷垣財務相が、消費税率の引き上げ時期について「平成十九年の法案提出」を繰り返していることに対して、自民党内から集中砲火が谷垣財務相に浴びせられています。政治家たるもの誰しも国民の好まないことを実行する勇気には欠けるものですが、その理由がふるっています。

「増税の前に歳出カット」が谷垣財務相に対する非難の理由の筆頭にあがっているのです。国民の誰しもが思っていることですからこれは大変に好ましいことです。「このような非難の声に見事に谷垣財務相が応えてこそ、次期総理・総裁にふさわしい」との流れが出来ることはとても良いことです。

政治の世界ほど「本音と建て前」がことなる世界はありません。「谷垣おろし」のどろどろとした権力争いが本音のほとんどを占めていても、表に出てくる建前の世界では「増税の前に歳出カット」という耳に快い言葉が乱舞すれば、安倍、麻生の対抗馬も必然的にその方向に走らざるを得ません。

谷垣財務相の目前の課題としては、財務省の天下り制限の方向での「政府系金融機関の統廃合」があります。「税金の無駄使いにどれだけ汗をかいた」かが時期総理・総裁の条件になることはとても好ましいと思います。このような展開になったのも、従来の自民党派閥政治をぶち壊し、ひたすら国民の支持率を頼りにする「小泉ポピュリズム政治」のおかげです。

「国民の声を聞いていたのでは良い政治は出来ない」こともまた真実ですが、現在の日本は天文学的財政赤字をかかえ、古き良き時代から脱皮しなければならない時期に来ています。その意味では将来の増税は不可避であると誰しもが思っています。そこで安易な増税に踏み込めば、官僚による税金の無駄使いは改善されません。

「増税の前に歳出カット」の大きな声をいまこそ私たちは霞ヶ関と永田町に巣くう税金無駄使い族に届けなければならないと思います。その意味で時期総理・総裁の必須条件として「増税の前に歳出カット」のハードルを高く掲げたいと思います。

単純に喜んで良いのか株価上昇 11/07 

ここに来て、株価が1万4千円を突破しました。銀行が塗炭の苦しみを味わった時の7千円台から比較すると倍になります。日本企業の業績は、昨日今日良くなったわけではありません。ここ3年間、史上最高の利益をあげているのです。「明らかに日本の株は過小評価されている」と言われて久しかったのが、ここにきてその現実を市場も認めたのでしょうか。

新聞では色々と論評されています。「景気が回復軌道に入った」「小泉内閣に改革を期待しての株高」など色々と理由がつけられています。それも一面の真理でしょう。

「株価は景気の先を読む」と長い間、言われてきました。しかし金融緩和で世界的に「金余り」の昨今、もはや「株価が景気の先読みである」とは思えません。世界規模でのマネーゲームで、「どこにお金を突っ込めば一番儲かるか」との観点で、世界中をお金が回っています。ですから有り余る資金で「どこかでバブルを作り、うまく売り抜ける」ことを世界中のハゲタカが狙っていると考えるのが妥当でしょう。

あの手この手で多くの大衆の関心を集め、関心が集まったところにバブルを発生させて、うまく売り抜けて大儲けすることがそろそろ日本で発生しそうです。お金を儲ける人がおれば必ずそれに見合った損をする人がいるのです。好調な企業の影に、過酷な労働条件で必死になって耐えている数多くの人々がいます。必ずしも昔のような「全員が勝者」の景気回復ではありません。

ハゲタカはグローバル・スタンダードと称する欧米に都合の良いルールを日本に押しつけ、日本人がルールに不慣れでとまどっている間に、巨額の利益をむさぼります。これほど世界的な金余りですから、株価の上昇を従来の常識で推し量っては手ひどい失敗の憂き目にあうのではないでしょうか。

せっかくのバブルですから一般の人が参入して少しばかり儲けるのは良いでしょう。しかし手じまいにはくれぐれも注意が必要です。情報が極めて大切ですから、広い分野での情報収集に大いに力を入れましょう。

ライブドアも楽天も「虚業の世界から実業の世界への入場券」を手に入れようと必死です。彼らの動きを注意深く観察するのも一つの方法かもわかりません。

結構強力な小泉改造内閣の布陣 11/04

今回の内閣改造には得意のサプライズ人事はなかったというのがもっぱらの評判です。衆院選の圧勝を受けて、最近の小泉首相には落ち着きが出てきたように見えてなりません。

従来は党内基盤が弱く、唯一の頼りが高い政権支持率であったために、支持率向上のためにサプライズで国民の心を引きつけなければなりませんでした。しかし今回は小泉首相の足を引っ張る主要な人々を追放し、あるいはおとなしくさせる状況が来て、初めて「落ち着いて政策を実行する人材」による内閣改造が出来たのだと思います。とても良いことだと思います。

郵政民営化を片付けた後の課題は、公務員の改革を筆頭とする小さな政府への踏み込みです。いみじくも竹中総務相が「私は小さな政府担当大臣です」と言ったように、改革を終始リードしてきた竹中大臣を地方分権の要である総務相に任命しました。そして経済財政諮問会議を取り仕切っていた竹中大臣の後釜に政策通の与謝野大臣を起用しています。

さらに政府系金融機関の統廃合に対する頑強な抵抗勢力である財務省に対しては、谷垣大臣に激しく叱責すると同時に次期総裁を匂わせる「アメとムチ」で留任させました。谷垣大臣には政府系金融機関の統合を達成できなければポスト小泉の芽はないと、世間に公言したようなものです。また何かと問題の多い厚労省には厚生族でない門外漢を持ってきて、医療費削減に圧力をかけています。

そして最大の目玉は国民的人気の高い安部氏の官房長官起用です。今回の大臣には南野前法務大臣のような首をかしげる大臣の数が減り、中川農水大臣や額賀防衛庁長官のような実力者を揃えています。ひょっとして、小泉首相は本気で構造改革を進める気持ちではないのかと期待を持たせる布陣です。

そしてとても爽やかであったのは民主党の前原代表が今度の内閣を評価してエールを送った談話でした。一瞬これで「民主党も変わる」と期待しましたが、翌日には党内で批判がでたのでしょうか、一転してトーン・ダウンしました。民主党の古い体質がかいま見えて残念ですが、「良い物は良い。悪い物は悪い」と明確な前原代表には頑張って欲しいと思います。

これからは個々の政策で小泉内閣の改革に対する本気度を注意深く見守りたいと思います。

偉大なるイエスマン 武部幹事長に竹中総務省の効用 11/02

注目の自民党人事と内閣改造が終わりました。今回の人事で武部幹事長が「私は偉大なるイエスマン」と発言したことが話題を呼びました。一般の会社では普通のことがどうして政界ではこのように話題になるのでしょうか?

私自身経営トップとして経験したことですが、トップを支えるナンバー2について3通りの経験を持っています。

1.肝心なところで反対
私が改革を推し進めようとするとき、推進役のナンバー2の頭がコチコチの守旧派で、何をしようと思っても「そうはおっしゃいますが、従来の常識では・・・」とことごとく反対します。経営の改革どころか、ナンバー2の説得に膨大なエネルギーを消費せねばならず辟易しました。これが「派閥論理が闊歩し総理・総裁に勝手なことをさせない」従来の自民党の姿でした。良いわけがありません。

2.トップの言うことをバリバリ遂行
私が改革の方針を示すとナンバー2が忠実に、しかも豪腕でブルトーザのごとく遂行します。トップとしては助かるのですが、時としてトップの考え方に対して理解不十分なまま暴走することもあります。しかし注意すれば訂正しますので、このようなナンバー2を持つことは悪いことではありません。さしずめ「偉大なるイエスマン」武部幹事長タイプでしょうか。

3.トップをうまくリードする
私の経営方針を素早く理解して、ナンバー2が鋭い頭でたちまち理論付けをしてくれます。時として私の方針はナンバー2が構築したものをそのまま借りることもあります。そして私が妙な方向に行こうとすると「そのようなことでは大きな禍根を招きますよ」と方向の修正までしてくれます。何だか「私がナンバー2のロボット」であるような気持ちさえしてきます。最高のナンバー2です。さしずめ竹中総務省でしょうか。

幹事長や大臣は総理・総裁の意向を受けて実務遂行をするのが当然ではありませんか?その意味では今回の人事は「自民党もやっとのことで本来あるべき人事が出来るようになった」との印象を受け、小泉首相の改革に対する本気度がうかがえます。日産のゴーン社長は全社をゴーン流に染め上げてもマスコミは賞賛するのに、どうして小泉政権だと何かとあげつらうのでしょうか?

小泉政権を「ヒットラーのような独裁政権」などと真顔でいう人は、小泉政権が国民の支持の上で初めて力を発揮するという事実を故意に隠蔽しています。会社なら誤った経営トップには市場による淘汰がまっています。

企業にしろ、政権にしろ、トップの意向を忠実に遂行する執行体制を築くのがあたりまえではありませんか。そしてトップの方針が間違っていれば市場なり選挙なりで手厳しい報復を受ければ良いことです。とにかくトップが信じる方向に向かって走り出す体制を組むのがあたりまえなのに、どうして政治に関してはこの当たり前のことが理解されないのか、とても不思議です。

ビジネス応援団藤原通信>藤原通信2005年11月号