ビジネス応援団藤原通信>藤原通信2004年4月号

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ 日本型経営の研修に最適 大阪

藤原雄一郎の時事通信 2005年4月号

JR事故 赤字路線を作った政治に責任はないのか 4/29 

JR事故は日を追うにつれその凄まじさが明らかになってきます。元気で朝出かけた人が夕べには帰らぬ人となっている、その家族の悲しみと怒りは想像を絶するものであると思います。言葉もありません。

またJR西日本では定時を保つために、運転士などに大きなプレッシャーがかかっている現状も少しずつ報道されています。JR西日本は赤字路線を数多く抱え、関西地区のドル箱路線から赤字を補填している構図も明らかになってきました。そのために関西地方の利便性を高め乗客を獲得するのは良いのですが、必然的に過密ダイヤになっているようです。

事故を起こした福知山線は昔は本当に田舎路線でした。それが今では幹線になるというめざましい発展ぶりです。しかし赤字路線がなければ、これほどまでに必死になって利便性を高め、過密ダイヤにしたでしょうか?

今でも整備新幹線など赤字路線の開通に政治家は必死になっています。出来あがった赤字路線の赤字の負担は一体誰がするのでしょうか?旧国鉄のように20兆円もの赤字を国民が負担するのですか?それともJR各社が頑張って利便性を高める経営努力をした結果、今回のような事故を招くのですか?それとも馬鹿高い運賃を利用者に負担して貰うのですか?

本四架橋の莫大な赤字は結局税金でまかなわれました。旧国鉄に多くの赤字路線を押し込んだ地元と政治家に今回の事故の責任はないのでしょうか?高速道路といい、鉄道といい、もういいかげんにこのあたりで赤字路線を作るのはやめようではありませんか?

もともと民間では採算性に縛られて建設できないが絶対に必要なものを税金で負担するのが国の役割です。しからば民間が立派に営業している分野に官が乗り出す必要はないではありませんか?田中角栄の提唱した日本列島改造論に一日も早く終わりを宣言し、少子高齢化を控え、医療・年金などの福祉分野に税金を回すべきです。

今回のJR事故は当然JR西日本に責任がありますが、野放図に赤字路線を作らせた政治に猛反省を促したいと思います。そして今からでも遅くありません、整備新幹線や無用の高速道路の建設は直ちに凍結すべきです。これが犠牲者に対するせめてもの償いではないでしょうか。

JR脱線事故とスローライフ 4/27

本当に痛ましい事故がおこりました。犠牲者の皆さんには心からの冥福を祈りたいと思います。

事故が発生したばかりで、その原因をうんぬんするのは早いとは思いますが、「安全と定時制維持」との間に何らかの関係があることは容易に想像できます。JALに対して業務改善命令が出された原因も「定時制を守るために安全性がおろそかになっている」と指摘されたと記憶してます。

会社の経営方針として何よりも安全を最優先すべきことは当然であり、経営上の諸問題が安全より上位にあることは許されるべきことではありません。この大前提にたった上で、日本人の思考パターンについて述べて見たいと思います。

飛行機にしろ、列車にしろ、たとえ台風などの自然現象が原因であっても、遅れると烈火のように怒り、関係者を怒鳴りつける人たちを時々見かけます。またJRの「世界に冠たる定時制維持」は恐らく乗客側がそれを要求し、企業側の懸命の努力の結果、達成できたのではないでしょうか?日本人の几帳面な性格あっての成果だと思います。

私自身も交通機関が遅れるとイライラします。待つことはどんなことでも大嫌いです。日本人は少しせっかちではないでしょうか?

話は横にそれますが、スタークルーズが日本で営業していた時代、台風で船のスケジュールが遅れたことがあったそうです。その時、大勢の日本人が「説明責任がなっていない」と船の責任者に詰め寄って大騒ぎしたそうです。しかし私がこの間乗船したクリスタル・ハーモニーは横浜寄港が14時間も遅れ、楽しみにしていた横浜での上陸がなくなってしまいました。

しかし米国人を中心とする乗客は少しも騒ぎませんでした。海が大きく荒れたので安全のために遅れたことを理解して、まるで何事もなかったかのように振る舞っていました。

最近日本でもスローライフとか田舎暮らしに人気が出てきています。私たち日本人はもうすこし、心の余裕を持つべき時代に来ているのではないでしょうか?

「時間を完璧に守る」ことが売り物にならなければ、定時制にこだわって安全をおろそかにすることは無くなります。もちろんだからと言って仕事をおろそかにして良いという意味ではありません。短い文章では十分に私の気持ちを表現出来ていないのですが、「もう少し心の余裕のある社会」にできないものかと、強く感じました。

日中首脳会談 またも日本が譲歩 4/25 

結局小泉首相はじらされたあげく、首脳会談を実現することが出来てご機嫌の様子ですが、結局中国の態度は全く変わらず、日本側が厳しく暴動に対して謝罪と、賠償を求めないまま終わってしまいました。

中国は日本に対しては一方的に叩けば良いとの態度を全く改めていませんが、面子を重んじる中国は特に北京オリンピックを控え、世界の中国を見る目には敏感です。「一方的な反日教育を実施し、しかも暴動を止めることもしない中国政府が、法治国家として国際社会の一員であると胸を張ることが出来るのか」という問題提起を、日本が世界に発信する以外この問題の解決は無いように思えます。

特に問題となっている歴史認識や教科書問題について、果たして中国に主張するだけの正当性があるのでしょうか?右翼の産経新聞の社説ではありますが次のように述べています。全く同感です。

「 中国各地で暴徒化した反日デモの背景には、江沢民・前国家主席の時代に一段と反日的になっ た愛国主義教育があるとされる。これに対し、歴代内閣はほとんど抗議せず、謝罪と反省を繰り返 してきた。

民間シンクタンク『日本政策研究センター』の調査によれば、中国の国定教科書には、明らかな誤りが多く含まれている。例えば、旧日本軍が中国人に細菌実験を行っている場面として掲載されて いる写真は、実は、昭和三年の済南事件で虐殺された日本人居留民を検視している写真だ。(他の事例も掲載されていますが省略します)

歴史教科書というより、一種の政治的プロパガンダである。 これに何も抗議しないことは、中国の一方的な対日認識を日本政府が黙認したと国際社会で受け 取られかねない。日本政府として、中国の誤った歴史認識には従わないという国の意思をはっきり 示すべきである。」

「主要欧米紙でも、中国の歴史教科書を批判する声が高まっている。ワシントン・ポストは、(1)毛沢東の提唱で行われた大躍進で三千万の死者が出たことが言及されていない(2)中国のチベット侵略やベトナムへの敵対行為を中国の子供たちは習わない−などを列挙し、「中国は歴史を直視 していない」とする論評を掲載した。世界の中国を見る目は厳しくなってきている。」

世界の中で経済面を除けば、日本はローカルな存在で、「中国や韓国の主張の正当性を判断できる国はほとんど無い」ほどの無関心ぶりです。いつまでも「物言わぬ日本」では「声の大きな方が例え誤ったことを言っていても勝つ」ことになるのは自明の理です。主張すべきは主張する日本でなければならないと痛感しています。

権限のない社員が会社を変える 4/23

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「自分には権限がない」との呪縛から開放された瞬間に、あなたは変わります。その時、あなたは「絶滅種」から「進化種」へと変身します。あたかもさなぎが蝶になるかのように成長するのです。

権限に頼っていては真の改革はできません。権限のない社員が立ち上がってこそ、本当の改革ができるのです。そして、そのことがやがて組織を大きく動かしていくのです。
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このたびインターワーク出版から新作を発刊しました。題して「権限のない社員が会社を変える」です。全国の店頭での発売は5月1日を予定していますが、発売に先立ちネットでの販売を開始しました。

キャッチコピーは次の通りです。

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「権限がないから」と、思考停止していませんか?その呪縛から解放された瞬間、新しい世界が開け、あなたは”絶滅種”から”進化種”へと変わります。

「自分には権限がないから」と上司をあてにしていては、あなたにも会社にも明るい未来はありません。企業の真の改革は、強力なリーダーシップや全社あげてのTOC導入、目先のスキルアップなどではなく、権限のない社員が踏み出す小さな第一歩から始まることに、まず気づいてほしいのです。本書は「権限がない社員」におすすめの一冊です。
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内容についてはこちらをクリック下さい。
http://inox-m2.com/fujiwara/fuji/kengen01.htm
またご購入はこちらをクリック下さい。
http://park5.wakwak.com/~inox/smelma/melma0004HP.htm

□■ まえがき □■

小泉総理が就任の挨拶で引用した言葉があります。それはなんと政治とは無縁のダーウインの進化論でした。

「この世に生き残る物は、最も強い者か。そうでもない。最も頭のいい者か。そうでもない。それは変化に対応できる生き物だ」小泉首相のこの言葉には強くひきつけられるものがありました。

46億年という長い地球の歴史を振り返ると、そこには想像を絶する大変化が幾度となくありました。そして、生物はその都度しぶとく生き残ってきたのです。でも、すべての生物が生き残ったわけではありません。大変化が発生したときに生物は2つの種にわかれました。

それは、大変化に対応できずに滅亡していった恐竜に代表される「絶滅種」と、進化して生き延びることができた「進化種」の二つです。 意外なことに、強い生物が生き残ったのではありません。我が世の春を謳歌して覇権を誇った種に「絶滅種」が多かったのです。 一方、弱い生物は生き残りました。生存を脅かされていた種は、生き残るために少しずつ進化して、大変化を乗り切ったのです。

「進化種」として生き残った最高峰が私たち人類です。私たちには「進化して生き残る」という、たぐい希なる遺伝子が身体の奥深く埋め込まれているのです。

さて、現在の私たちの環境に目を向けてみましょう。時代は地球の大変化にも等しい局面に直面しています。私たちは、いままさに人間社会の中で「絶滅種」になるか「進化種」になるかの正念場を迎えていると言っても過言ではありません。実は、「絶滅種」と「進化種」の分かれ道は、とても簡単なところにあります。本書ではこのことを皆さんにお伝えしたいのです。

皆さんは「会社の現状は大変悪く、改革の必要性は十分に認めている。しかし、私には改革を推進する権限がない」と思っていませんか。この思考こそが、あなたを「絶滅種」にします。

「自分には権限がない」というのは「住み心地の良い現状を変えたくない」「改革のような痛みのともなうことはしたくない」という気持ちの表れです。大変化への対応を拒否する深層心理を正当化しているにすぎません。

「絶滅種」はこのことを認めたがりません。断固として拒否します。これに対し、「進化種」は「ああそうだったのか」と素直に認めます。ここが勝負の分かれ目です。進化の必要性を素直に認めると、不思議なことにあなたの身の回りにいろいろな問題があることに気づきます。そして、「権限がなくてもできる改革」がたくさんあることにきっとびっくりすることでしょう。

あなたが改革に乗り出せば、最初は小さな点であったものが、あたかもオセロゲームの石のようにまわりの人に伝わっていくことでしょう。そして、「点」はやがて「線」になり、ある日突然「面」となって劇的な成果をおさめます。

「自分には権限がない」との呪縛から開放された瞬間に、あなたは変わります。その時、あなたは「絶滅種」から「進化種」へと変身します。あたかもさなぎが蝶になるかのように成長するのです。

本書を手にとったあなたは、すでに「絶滅種」から「進化種」への入り口に立っています。さあ、華麗に「進化種」へと変身しましょう。明るい未来があなたを待っています。

ほりえもん騒動も決着 4/22

この2ヶ月間、大げさに言えば日本国中を湧かせた「ほりえもん騒動」は和解というかたちで終わりました。「ライブドアの目的は一体何だったのか?」とか「ライブドアは勝ったのか負けたのか?」などと場外乱闘的な興味ばかり先行して問題の焦点がぼけつつあります。そこで私なりに総括したいと思います。

1.ライブドアのやったことはマネーゲーム以外の何物でもない。
ライブドアのやっていることはM&A(企業買収、合併)を繰り返すことにより「株式の時価総額という企業価値」をあげること、すなわちマネーゲーム以外の何物でもないという基本認識が必要です。過去においても株式の100分割という当時としては誰もが驚く手法を駆使して、株式の時価総額を上げる経営に狂奔してきました。もともと「法の網をくぐるきわどさ」がライブドアの身上です。

それが今回は古い体質の象徴である放送業界がその餌食となったために思わぬ場外乱闘に発展しただけの話です。ソフトバンク系列から「想定外」の横やりが入って、目的を達成することが出来ませんでしたが、見事な撤退劇で少なくとも投資金額以上のものは勝ち得ました。今回手に入れた豊富な資金でほりえもんは次なる餌食を狙うことでしょう。ほりえもんのマネーゲームはこれからも続きます。

2.古い体質に警鐘を鳴らしたことに意義がある
欧米であれば大騒ぎにならないことが日本ではこのような大騒ぎとなりました。「古い体質の経営者に欧米の現実を知らしめた」ことにライブドアの大きな功績があります。おかげで郵政の民営化でも、このような敵対的買収に備えるために黄金株(会社の合併などの重要議案について拒否権を認める特別な株券)の発行まで検討し始めています。また多くの国民に「敵対的買収」などという経済専門用語を浸透させた功績は大きなものがあります。多くの企業が真剣に対策を検討し始めました。

3.電波は公共財の欺瞞を暴く
いままで視聴率至上主義でロクでもない番組を垂れ流していたテレビ各社が急に「電波は公共財」などと言い出して多くの人々の失笑を買いました。そしてマスメディアこそが護送船団方式で既得権益にしがみついているもっとも古い体質の業界であることが暴露されました。これもほりえもんの功績です。

ともあれ昨年のプロ野球騒動と今回の騒動で、ほとんど誰も知らなかったライブドアが一躍有名になりました。ソフトバンク、楽天に大きく遅れていた知名度が抜群に向上したことは間違いありません。この点では大成功と言えます。同時に傍若無人ぶりの悪役イメージもしっかりとつきました。損得勘定はもう少し時間が経過しないとわかりません。

限られた紙面ですので、大胆に説明を省いて結論だけを述べましたので、舌足らずの誤解が生ずると思います。それは覚悟の上です。とにかく「ほりえもんご苦労様」という言葉で今回の藤原通信を締めくくります。

中国 反日デモで朝日が強硬意見を 4/20 

朝日新聞と産経新聞を読み比べると左翼と右翼の正反対の意見を知ることが出来て、とても参考になります。そして藤原通信でもたびたび正反対の意見を紹介してきました。ところが16日の社説から18日の社説まで連続3日間にわたって、あの朝日新聞が中国政府の対応を厳しく非難しています。

「まず中国側が投石事件への責任を明確に認めることが会談を進める前提になる。一国の大使館が夕刻から深夜まで被害にさらされていながら、警官隊は制止しなかった。それにもかかわらず、中国外務省が『責任は中国側にない』としていることに日本国民は憤っている。」というくだりから

「中国政府は日本側の歴史認識に原因があるといわんばかりの主張を続けている。日中間において歴史問題が重要であることは私たちも訴えてきた。だが、たとえ反日デモの背景に歴史問題があったとしても、大使館が被害にあうのを黙認した責任は免れない。

それさえも認めないようでは、中国側がどんな主張をしようとも、国際的な説得力を失うだろう。第三者の立場にある米国務省の報道官も『中国は北京の外国公館に対する暴力を防ぐ責任がある』と明言している。」

まるで産経新聞の社説を見るようです。

朝日新聞がここまで言わざるを得ないほど、日本国民は今回の中国政府の態度に怒っている証拠でしょう。また町村外相と中国の外相との会談に関しては産経新聞が18日の社説で

「中国には法も秩序もないのか。国家の責任と尊厳はどこにあるのか。」の書き出しから始まって「結局、町村外相が、会談に臨む前に述べていた中国側への謝罪と賠償要求は、あいまいなままに終わった。関係改善には、中国側の謝罪が前提だったはずだ。これでは日本国民は納得できない。」と結んでいます。

社説もこのようにつまみ食いをして読むと私たちの気持ちを代弁してくれているようで痛快です。しかし痛快がっていても事態は全く好転しません。またもや日本外交の「無用に相手を刺激しても益なし」の考え方からくる「事なかれ主義」が浮き上がっただけで終わってしまいそうです。

戦後長い間、冷戦の狭間で「米国一辺倒の外交不在」であったツケがここにきて、日本の尊厳をすら揺るがせる事態になっています。社会のそこここで新しい日本と古い日本のせめぎ合いや葛藤が渦を巻いています。「ことなかれ主義日本」の外交不在もまさに古い日本の象徴で、激動する世界の激しい流れの中で立ち往生しています。この混沌状態から早く抜け出して新しい時代に対応出来る日本を作らなければと焦ります。

ダイエー赤字5000億円で新体制発足 「新しい日本の旅たちの日」 4/18

ダイエーは産業再生機構の支援を受けて再出発していますが、このたび社長も決定し新体制が整いました。同時に5111億円という膨大な赤字額も明らかにしました。前回の藤原通信で述べた「過去の負の遺産」を少なくとも損益の面では一掃したはずの数字です。

新生ダイエーは500億円の在庫をかかえていますが、そのうちの1〜2割は売れない不良在庫であると見られています。皆さん覚えていますか、ダイエーは高木体制のもとに在庫一掃セールを実施して、不良在庫を無くしたはずです。それがリベートの先取りという麻薬を断ち切れず、もうこのように大量の不良在庫をかかえています。

さて今回の新体制は次の通りです。

林会長兼CEO(BMW東京社長)、樋口社長兼COO(日本HP社長)、高橋取締役(生え抜き)、中前取締役(生え抜き)、南取締役(丸紅経理部長代理)、岩本取締役(アドバンテッジパートナーズ・プリンシパル)、大西取締役 産業再生機構(弁護士出身)、松岡取締役 産業再生機構(アナリスト出身)

どうですか?ダイエー生え抜きは2名であとはスーパ事業素人の混成軍団です。それぞれに一騎当千の強者ではありましょうが、「船頭多くして船(ふね)山に上る」にならなければ良いがと思います。

ダイエーの課題は「誰もがわかっている問題に真っ正面から立ち向かう」「現場の最前線を奮い立たせる」ことにつきると思います。その意味では過去のしがらみの無い経営陣であれば思い切った手を打つことが可能でしょうし、またそうしなければ産業再生機構の支援を受けた意味がありません。

また幸い今回の経営陣の幾人かは「現場重視」の思想を持っていますので、現場の最前線と経営陣の距離をうんと縮めて、パイプの詰まりを無くして欲しいと思います。

一部にはスーパー事業に素人の経営陣に対して危惧するむきもありますが、ダイエーの病根は「誰もがわかっている問題点に正面から取り組むことが出来ない」ことにありますから、まず基本的なことから再建への一歩を踏みだして欲しいと思います。仮に再建に失敗しても、このメンバならば粛々とダイエー解体への道を選ぶことでしょう。

誤解のないように説明をつけ加えますが、高木前体制が問題点を放置していたと非難しているのではありません。ダイエー問題は不良債権問題の象徴的存在であり、「抜本的な手を打たなければならないことはわかっていても、その損害の大きさに目がくらみ、政府も銀行も一体となって問題先送りの対応を繰り返してきた」ことを言っています。

つまり過去の負の遺産のあまりの大きさに、政府も銀行も正面から対決することを恐れていたのです。従って「高木ダイエー」には問題処理能力が与えられていなかったと解釈すべきでしょう。今回のダイエー再出発で日本経済の持つ「負の遺産との決別」はほぼ峠を越しました。(今度再建に失敗したら企業解体が待っているだけです)新しい日本の旅立ちです。

カネボウの粉飾決算 過去との決別 4/15

産業再生機構のもとで経営再建をはかるカネボウが過去の経営陣により2000億円を超す膨大な粉飾決算が行われていたことを発表し、旧経営陣を告発すると発表しました。本当に勇気あるカネボウ経営陣の決断だと思います。すでに藤原通信で、三菱自動車が旧役員に対して13億円の賠償要求をすることについても述べました。このような行動は現在の経営陣が過去との決別を明確に行動に表したことを意味します。

同じく産業再生機構のもとで経営再建を始めたダイエーは中内氏退陣のあと、高木体制で懸命に経営再建に取り組んできたはずです。しかし実際は長年の課題であった「リベートの先取り」「現場無視の中央集権」といった過去の負の遺産との決別が出来ず、結局産業再生機構の支援をあおぐことになりました。

経営不振の企業には、長年にわたって蓄積された負の遺産が存在します。その事実を明るみに出して一掃しないということは、現場の最前線で働く多くの社員に「嘘をつき続けることを強要する」ことを意味します。三菱自動車や三菱ふそうのリコール隠しのように、何度も新しいリコールが出てくることは職場の最前線にまだ隠し事が存在することを意味します。

嘘をついたり、隠し事を続けるということは、経験した人でないと理解できない苦しさがあります。この苦しみから最前線で働く人々を解放して初めて、前向きの再建への意欲が出てくるのです。

しかし過去との決別には本当に勇気がいります。もともと経営不振を極めているわけですから、債権放棄額とか赤字の額は出来るだけ少なくしたいのが人情です。また正直に発表すれば会社精算の道を歩まなければならなくなることもあるでしょう。また新しい経営陣が本当に負の遺産を一掃しようと思っても、大きな組織では疑心暗鬼で、現場の最前線で苦悩している人たちは恐ろしくて真実を告白出来ないこともあります。

そして新聞やテレビで自分たちの会社が負の遺産との決別を宣言したことを知り、その時点で真実を告白しなかったことで、さらに現場の最前線での苦悩が深くなることも理解しなければなりません。一旦発表した内容がさらに何度も悪化することを非難ばかりせず「真実の告白の機会が何度も与えられている」との見方をしてあげれば、再生への勇気も湧いてくるものです。

時代は大きく変わろうとしています。恐らく過去の負の遺産と決別する最後のチャンスがここ1〜2年かもわかりません。新聞やテレビでカネボウや三菱自動車のような事例が出てきた場合には、経営トップが本気で過去との決別に向かっているのだと解釈して暖かい目で応援することが日本経済再建への一歩ではないでしょうか。

中国の反日デモ 4/13

北京における反日デモの暴動化が地方にまで波及しつつあるのは誠に腹立たしいことです。特に中国で仕事をしている日系企業の人々にとっては、自分たちではどうしようもない事柄で、身の危険や業務の頓挫に追い込まれることに、やりきれない思いをしていることと思います。

この事件に対して産経と朝日は際だった意見の相違を見せています。産経の社説では
「今回の中国側の反日デモは非道で無法な暴力行動による威圧である。日本側としては中国がなぜそんな行動を起こすのかを詮索(せんさく)するよりも、まずその違法や野蛮に強く抗議すべきである。国際規範に照らしてもこの種の破壊活動には代償が払われるものだということを、日本政府は改めて強く指摘しなければならない。」と指摘しています。

さらに「中国側が今回の暴力行動の理由としてまず掲げたのは、日本の国連安保理常任理事国入り問題だった。従来の糾弾対象だった小泉純一郎首相の靖国参拝など、いわゆる歴史問題にこじつけた「理由」である。この事実は首相がたとえ参拝をやめると言明しても、中国側の対日非難や反日行動は変わらないことを証したといえる。」

これに対して朝日の社説では、色々とこのような状況が発生する理由を詮索しつつ、「首相には大きな国益を考えてもらいたい。靖国神社に参拝し続けることに、どのような国益がかかって いるのか。譲るものを持たずに、どうして相手にだけ誠意ある対応を求めることができようか。」とまさに産経と正反対の見解を述べています。

私はここで声を大にして言いたいと思います。ビジネスの社会であれ、国際政治の社会であれ、「日々これ闘争」であることを肝に銘じて貰いたいのです。中国、韓国の領土問題にしても両国が着々と既成事実を積み上げ、戦後日本外交の「ことなかれ主義」により我が国固有の領土が奪い去られようとしています。

今回の中国における反日暴動にしても、国際法に照らし合わせて「非道で無法」な暴力行為は日本国として中国に対して厳正に抗議し、国際警察の無い現状では国際的世論を高めることにより、このような行為が国家にとって不利であることを知らしむべきです。朝日のように自虐的な事なかれ主義で、「物を言わぬ日本」に終始すれば、まさに「日本に非があって中国がこのような行為に出る」ことを「日本が世界に認めている」ことになります。

韓国との竹島問題にしても、「なぜ、いま、このようなことを」と島根県の決議を責める風潮があります。また韓国や中国の反日運動は国内政治に対する不満のガス抜きであるとの観測も根強くあります。しかしこのような詮索や事なかれ主義に終始して「これ以上相手を刺激しない」日本人好みの手法からはそろそろ日本も脱却しなければなりません。

国際社会では「沈黙は承認」であることを忘れてはいけません。「あうんの呼吸」とか「語らずともわかってくれている」などと言う言葉は日本固有の思考で、国際的には通用しないことをこの際はっきりさせるべきだと思います。その意味で産経に軍配をあげたいと思います。

このように新聞やテレビは必ずしも真理を報道しているわけではありません。朝日を正しいと思うか、産経を正しいと思うか?私たち一人一人がキッチリとした判断能力を持たねばならないことを痛感します。

プロ野球楽天 選ばれなかった人たち 4/04

昨年日本中の話題をさらったプロ野球騒動で誕生した楽天イーグルスがいよいよペナントレースに突入しました。初戦を岩隈の好投で球団初の勝利をものにした時には、恐らく日本国中のプロ野球ファンが「楽天でも勝てるのだ」と新鮮な驚きを感じたと思います。ところが、次の試合では歴史的敗北を喫し、さらに同じIT業界のソフトバンクに連敗すると、これでプロ野球の体裁をなしているのかとの不安を誰しもが描いたと思います。

プロ野球に詳しくない人のために解説しますと、経営難からパリーグの近鉄とオリクッスが合併して、合併球団が近鉄、オリックスの両球団から25名を優先的に採用し、その一軍の選定に漏れた人たちが楽天球団へと採用されたわけです。いわば一軍としての能力があると認められず、選ばれなかった人たちの球団が楽天イーグルスです。

その中で投手の岩隈と打者の磯部の二人は散々我が儘を言って、一軍の実力を持ちながら楽天に来ることが出来ました。この2名を除けば楽天とは「選ばれなかった人たちの球団」ということになります。しかし私は田尾監督の日経ビジネスでの記事を見て感心しました。長年管理者としての経験がある私としては田尾監督の人に対する考え方に優れたものを感じました。選ばれなかった選手と選手の心の痛みを良く理解した上で、厳しくしかも透明性を持って選手と直面する監督と「選ばれなかった選手たち」との組み合わせはとても面白いと思います。

ズルズルと敗戦を重ねると思われた楽天が本拠地で西武を相手に堂々たる試合を展開したことはとても嬉しいことです。特にオープン戦から全く打てなかった磯部を我慢して使い続け、奮起した磯部が本拠地初戦勝利の原動力となりました。また本拠地での昨年の王者西武に対する連勝は何よりも選手の必死の気迫が勝利を導いたとの論評が大部分でした。

しかし楽天と他の球団との実力の差はあまりにも歴然としています。気力と気迫だけで長丁場を乗り切ることができるでしょうか?これから敗北に敗北を重ねた時に、IT業界の新しい風は何か連敗を逆手に取った新しい手を打つのでしょうか?それとも田尾監督の人間操縦術が功を奏して「選ばれなかった人たちの球団」が思わぬ勝利を獲得して意外な人気を獲得するのでしょうか?

またライブドアがこの球団を保有していたら一体どうしただろうか?等々興味はつきません。昨年IT業界が古い体質のプロ野球業界になだれ込んだ、この新しい波を当面注目したいと思います。世の中は変化しています。プロ野球観戦ひとつをとっても従来の価値判断から離れた柔軟な目で見ることによって何かが見えてくるかも知れません。日本の将来に何かしら漠然とした期待を抱く昨今です。

三菱自動車旧役員に13億円請求 4/01

三菱自動車は三十日、リコール隠し問題に関して、国土交通省に社内調査結果の最終報告書を提出しました。さらに中村裕一、木村雄宗、河添克彦元社長ら三人の社長経験者を含む七人の旧取締役に総額約13億円の損害賠償を請求することも同時に発表しました。三菱自動車のみならず、三菱グループ全体にとっても前代未聞のことです。

この報道を聞いて、一般の人ならば、「格式と伝統を誇る三菱グループもついに時代の流れには逆らえないと観念した」と「古い体質の三菱に新しい波」のような受け取りかたをしたと思います。しかし三菱グループを良く知っている私としては、逆に「三菱自動車に対して三菱グループの基本精神に立ち戻る強い姿勢を示した」と思いました。

このような旧経営者に対する責任追及の事例は世間では良くあることです。しかしその場合はそごうやカネボウの例に見るように新経営陣が旧経営陣と全く関係のない、いわゆる「しがらみの無い」関係から旧経営陣を徹底的に追求するケースが大部分でした。しかし三菱自動車の場合はちがいます。西岡会長は三菱自動車の産みの親にあたる三菱重工の会長です。

三菱自動車の歴代社長、なかでも権勢を誇った中村裕一元社長は三菱重工の出身であり、いわば西岡会長の大先輩です。また経営陣は三菱グループ各社から派遣されています。世間の常識から言えば後輩が先輩に損害賠償責任を追及していることになります。ここが重要なポイントです。

三菱重工ではもともと技術的不都合が顕在化すれば「社運がかたむくほどの多額のお金が失われても、社をあげて、敢然と技術の信頼を取りもどす」道を選択する社風がありました。また不祥事に対しても、一旦経営トップがその事実を知れば厳格に処罰するのが慣例でした。このような姿勢が無いと百年間もの間、企業を存続できません。(最近もこの気風が継続されているかどうかは確認出来ていません。関電の事例を注意深く観察するつもりです)

ところが三菱重工から独立した三菱自動車は重工からの干渉を極度に嫌い、独立独歩で経営を進めてきましたが、「不都合や経営不振が顕在化すれば三菱重工の干渉を受ける」ことを恐れ、総会屋事件やリコール隠しなど、「ことなかれ主義の隠蔽体質」がいつの間にか浸透した結果、このような状況に追い込まれました。

また最近三菱グループでも世間を騒がす事例が起こっています。今回の旧役員に対する損害賠償請求は三菱グループ全体に対して「三菱の基本精神に立ち戻れ」との強いメーセージを「三菱が三菱に対して」発しているとしか思えません。このメッセージを三菱各社が受けてどのように対応するかで、「最後の財閥三菱」が二十一世紀に生き残ることが出来るかどうか試されていると感じました。
 

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