ビジネス応援団藤原通信>藤原通信2004年八月号

関西経営コンサルタントの雄 藤原雄一郎の経営最前線シリーズ 日本型経営の研修に最適 大阪

藤原雄一郎の時事通信 2004年8月号

 

オリンピック終了 8/30

アテネオリンピックでの日本選手の大活躍は私たちを明るい気持ちにしてくれました。やはり勝負事は勝たないといけないものだとしみじみ感じました。

前回のシドニーでは金は柔道四人に高橋尚子選手で合計5、メダル合計で18、その前のアトランタでは柔道の金3が全てで、メダル合計14でした。ところが今回は金16、メダル合計37という大躍進です。どうしてアテネで日本が大活躍出来たのでしょうか?その理由を結果論でも良いからあれこれ詮索してみることも面白いと思います。

前回、前々回と日本経済がどん底の時はオリンピックも最低の成績。そして経済が上向いて来た今回に史上最高のメダル獲得と、なんだか日本経済とオリンピックが重なって見えたりします。日本経済も史上最高の躍進をして欲しいものです。

オリンピックでは、もはや個人の天才的能力で金メダルを獲得することは不可能になっています。背後に数多くのサポートするスタッフや設備があって、多額の資金をつぎ込んではじめてメダルへ近づける、そのような状況になっているのではないでしょうか。綿密な情報収集と考え抜かれた戦略に基づく果敢な挑戦。まさに国力が試される一つの大きなプロジェクトです。

天才的素質を持った人材を幼少の頃に見つけ、徹底した英才教育で鍛えて行く。水泳や柔道など学校教育とは別にスポーツを鍛える場が出来て来たのも一つの要因でしょう。また女子レスリングの浜口京子選手のように幼少の頃から親がピッタリ付いて育て上げる、まるで歌舞伎役者のように幼い頃からドップリと浸りこむ環境も勝利の大切な要因でしょうか。

前回のシドニーで高橋尚子選手が優勝し、国民的人気を得て、CMに登場するや巨万の富を勝ち得ることが可能になって、大金を投入して選手を養成しても立派に見返りがあることを実証したのも、このような壮大なスポーツプロジェクトの推進に拍車をかけたのでしょうか?

また北島選手をはじめ、国民の大きな期待に押しつぶされることもなく、偉業を成し遂げて「チョー気持ちいい」などの言葉を吐く新人類にとても頼もしさを感じたのは私だけではないと思います。日本人自体が変わっているのかも知れません。

しかし忘れてならないのは、偉業を成し遂げた選手達はその競技を心から好きで、凡人には出来ない厳しい試練に耐えながら、人生の全てを競技に賭けていることです。これは全ての原点ではないでしょうか?

日本企業が逞しく羽ばたくためには、自分の仕事をこよなく愛し、仕事に没入して、その結果が市場に受け入れられることに無上の幸せを感じる「NHKのプロジェクトX」に登場するような社員をいかに多く輩出させるかに尽きるのではないでしょうか。そのためには短期に成果を求めず、気長に熟成させる「経営者の懐の深さ」も必要です。

昨今、多くの企業が「CS(顧客満足)」を打ち出していますが言葉だけが走っているような印象を受けます。真の意味のCS活動は上に述べたような社員を育てることに尽きると思います。UFJ関連で現在話題になっている企業の最前線で働く人々にこのような社員が少しでもおれば、そしてそのような社員に活躍の場を与えることが出来れば、状況はガラリと変わっていたことでしょう。

経営幹部は絶えず最前線の人々の心の中をのぞき込むことが何より大切と思います。リストラで荒廃した最前線の人々の気持ちをどのようにして燃え上がらせることが出来るかに、日本経済の将来がかかっていると言っても過言ではないと思います。
 

住宅金融公庫の焦げ付きに税金投入? 8/27

オリンピック柔道大活躍の報道のかげにひっそりと「住宅金融公庫の焦げ付き処理に税金投入の検討を国交省が始めた」ことが今月20日に報道されていました。早速国交省のホームページをチェックしましたがこれを裏付ける資料は見つかりませんでした。

そこで報道の内容を紹介しますと、「住宅金融公庫の焦げ付きは数千億円もあり、来年度から年数をかけて税金で処理することを国交省が検討を開始したが、このように安易な税金投入は批判が出ることは必至で調整は難航が予想される」とあります。

もともと一般銀行より有利な条件で住宅資金を借りることが出来たので住宅金融公庫は人気がありました。しかし「世の中にうまい話は無い」わけですから、この「有利さ」は利子補填に税金が投入されていることによるものでした。まさに「親方日の丸」の無責任経営が可能なわけですから、彼ら官僚の頭の中は自分の勢力拡大しかありません。

そこで「住宅建設による景気対策」の美名のもとに、最初の五年間は返済が少なく、六年目から返済額が多くなる「ゆとり返済」というインフレ思考の典型のような制度をデフレの真っ最中に設定して融資の拡大を目指しました。(融資を拡大すると赤字幅が大きくなりますが、税金で補填してくれるので痛くもかゆくもありません)

当然国民は喜びますが、リストラの嵐が吹きすさぶ時代に、六年目を迎えて返済額の多さに愕然とした時は「後の祭り」です。収入は大幅に減少しているわけですから返済出来ず、焦げ付きが増加した一つの原因となっています。(焦げ付きの尻ぬぐいに税金投入は現状では認められていません)

このように明らかな「経営の失敗」に対して税金を投入することに私たちは目を光らせなければなりません。民間の銀行の経営トップはりそなでもUFJでも経営責任を取らされています。当然退職金もありません。しかし官僚は絶対に責任を取りません。

既に本四公団では赤字の尻ぬぐいに一兆円を越す税金の投入が決定していますが幹部が引責辞任したという話は聞いたことがありません。政府関係の不良債権が民間のように公開されずに、目立たない状況でドンドン税金が投入され、しかも誰も責任を取らないのでははたまったものではありません。

このように責任を取らない官僚がどうして自分の恥をさらけだすことを検討し始めたかというと、「住宅金融公庫廃止」の前提のもと平成十八年までに独立行政法人に移行することになっています。それまでに過去の不始末を綺麗にしたいとの思惑からの行動だと思われます。

過去に類似の事例があります。皆さんはもうお忘れかも知れませんが施設を千五十円や一万五百円でたたき売ったことで有名になった 雇用・能力開発機構のことを覚えておられますか。この組織は皆さんの批判も何のそので今年三月に見事に「独立行政法人雇用・能力開発機構」に衣替えしました。

この組織の前の前である雇用促進事業団は四千億円近い欠損金を出して事業団の廃止が決定しましたが、ほとんどそのままの内容で雇用・能力開発機構に移行しています。口の悪い人々は官僚が組織を変更するときは「経営の失敗隠しの組織防衛」と囁いています。

赤字が隠しきれないくらい増大すると、一旦組織を廃止して、その際赤字を税金で処理して身綺麗になって新しい組織に衣替えする。そして無責任経営を繰り返し危なくなると、また組織を廃止改変するとの意味です。

官僚の世界には失敗は無いことになっています。どれほど税金を無駄使いさせて国民に迷惑をかけようとも、一切責任を取らず、退職金を貰って次ぎ次と天下りによる渡り鳥で懐を増やす事例をいかにマスコミが取り上げようとも根絶した事例を聞いたことがありません。

横道にそれてしまいましたが、住宅金融公庫を廃止するなら、雇用・能力開発機構の事例を良く反省して、徹底的に廃止しなければ、組織を変えるごとに税金による救済が永遠に続きます。もういいかげんにこのようなことはやめて欲しいものです。そのためには何よりも私たちの強い監視が必要です。
 

オリンピック 日本大活躍 8/25

本日は一休みですが、連日の金メダルラッシュに睡眠不足の皆さんが多いことと思います。私は夜に弱いので、早起き習慣を活用して、朝起きたら一番にインターネットで成績をチェックして、午前六時のNHKニュースで感激を味わうのを日課としています。「どうして日本がこんなに強くなったの」と明るい気持ちになって嬉しいかぎりです。

さて金メダルラッシュの先駆けは日本柔道の人気者「やわらちゃん」こと谷選手と野村選手による三連覇の偉業でした。そして終わって見れば金メダルが何と八つではありませんか。お家芸柔道の素晴らしい復活ぶりです。しかしこの復活の陰には秘密があります。

前回のオリンピック柔道の中継を思い出して見ませんか?選手は防戦一方で何と面白くなかったことでしょう。ところが今回のオリンピックでは鮮やかな一本勝ちが目立ちます。それはルールが改正されたからです。

従来のルールでは「相手と取り組まず勝負を決しようとしないこと(約20秒間)。また、組んでも切り離す動作を繰り返すこと。」に対して指導が与えられていました。20秒もじっとしていて良いわけですから面白いはずがありません。ところがこのルールが「勝負を決しようとしない為故意に取り組まない(5秒)」ことに改正されました。5秒では従来のような持久戦の戦いが不利になり積極的にワザをかけるようになりました。

本来逃げ回る柔道など柔道でないと思っている人が多いと思います。ワザのかけあいこそ、日本柔道の極意ではないでしょうか。(柔道の門外漢ですので間違っていたらゴメンなさい)

柔道が国際的に普及するにつれて柔道運営の実権が日本から奪われ、欧州勢がルール決定の実権を握ったために、このような面白くない柔道がはびこりました。まさにグローバル・スタンダード(世界基準 国際標準)と称して欧米勢が自分たちに有利なルールを日本に押しつけて、日本経済がおかしくなった事例と二重写しになります。

しかし欧州勢もこのような「面白くない柔道」では柔道の普及に障害となると気づいたのかどうか知りませんが、ルール改正で本来の柔道に回帰し、そして日本のお家芸は見事によみがえってオリンピックに勢いをつけました。独断と偏見で言えば「柔道の心を知っているものこそが勝つ」正しいルールに復帰し、日本柔道はグルーバル・スタンダードという名の悪しき風潮に汚染されていなかったことを証明したことにならないでしょうか。

日本経済を世界第二に押し上げた日本固有の経済ルール(株式持合や終身雇用等)は今や完全に叩きつぶされています。しかし何と言っても日本経済の根幹は製造業の強さです。日本柔道が見事に蘇ったように、産業界も製造業の空洞化の大きな流れを見事に阻止して基本を大切にしたいものです。時代が大きく変化する中でも、基本を見失わないことの大切さを柔道から学びました。

また柔道で学んだことは「守りよりも攻め」です。同じく大活躍の女子レスリングで惜しくも金メダルを逃した伊調千春が涙ながらに妹の馨に「私は守りに入って敗北した。必ず攻めるように」と忠告し、妹は逆転で見事に金メダルを勝ち得ました。彼女は「お姉ちゃんの忠告がなければ負けていた」と述懐しています。

逃げ回ることが勝利を意味する時代は終わりを告げました。失敗を恐れず積極果敢に挑戦する気風が大切なことをオリンピックは教えてくれました。この他にもオリンピックから学ぶ点は数多くありますが、今日はこのくらいで終わります。
 

三井住友とライブドアー 8/23 

UFJと三菱東京FGの統合計画に強引に割り込もうとする三井住友FGの西川社長と近鉄球団買収にに名乗りを上げて断られても、近鉄とオリックスの統合により首になった選手で新球団設立を打ち上げているライブドアー。この両者に一体何の共通点があるのかといぶかしく思われるだろうと思います。

私はこの両者に「敵は本能寺」を感じています。はじめにお断り致しますが、正確な情報に基づく見解では全くなくて、マスコミ情報を鵜呑みにする一個人の率直な感想であることをご容赦下さい。(私の最も嫌う方式を本日はあえてやって見ます)

まず三井住友ですが、本気でUFJ取りを考えているのかとても疑問に思います。三井住友FGは本来の儲けである業務純益や経営効率化では他のメガバンクを凌駕する優秀な成績をあげています。その意味では素晴らしい銀行です。しかし政府による公的資金の注入は一兆三千億円にものぼっています。

その三井住友FGがUFJに対してどうして五千億円を超える資金援助を行えるのでしょうか?普通の経営者ならUFJの懐具合(資産査定)の調査を全くしないで経営統合を一方的に申し入れるようなリスクを犯すとは思えません。しかもあくまで新聞情報ですが、このような重大な決定が西川社長個人で行われ取締役会の決議を経ていないのです。本気なら当然事前に取締役会で議決するはずです。(事後承諾はあったかもしれませんが)

西川社長はマスコミを最大限に利用しました。UFJに対して経営統合を申し入れることを特定の新聞社のスクープに仕上げ、UFJが会談を断ると、今度はその提案内容を自社のホームページに公表するという意表を突く行動に出ています。それでも効果が無く、三菱東京とUFJの統合基本合意が成立すると、今度は統合比率を提案し、その内容を公表すると宣言しています。

UFJと三菱東京の株主に向けてマスコミを利用しながら懸命の訴えを行い、あくまで揺さぶるつもりのようです。このような事態は日本の銀行業界では前代未聞のことですが、欧米ではよくあることです。しかし本気でUFJを取りに行くのならTOB(株式公開買い付け)で行うのが普通です。

三井住友が近い将来TOB(株式公開買い付け)まで踏み出さなければ、単に三菱東京を困らせるだけの行動だったと判断すべきでしょう。三井住友の作戦は既に十分な効果を発揮しており、本来吸収されるはずのUFJが対等に近い立場まで持ち直しましたし、金融支援の金額も三井住友のおかげで随分と増額されました。UFJにとっては干天の慈雨です。

三井住友がUFJと合併する気持はなく、とことん競争相手の三菱東京をいためつけるのが目的であれば西川社長の一連の行動は明快に理解出来ます。一昔前の護送船団方式経営から考えると隔世の感があります。とにかく世の中変わったものだと痛感しました。

さて近鉄球団買収に名乗りをあげたライブドアーですが、何か胡散臭さを感じないわけには行きません。近鉄買収に名乗りをあげた時にはそれなりに本気かと思いました。悪名高い巨人の渡辺オーナの横暴ぶりを浮き彫りにさせ、退陣にまで追い込んだ功績の一端を担っているかもしれません。

そしてライブドアが門前払いを食うことにより、プロ野球界の閉鎖性を世の中に強烈にアピールしました。「プロ野球に新しい血を」との期待感まで抱かせました。しかし今回の新球団構想は誠にもってお粗末です。近鉄、オリックスを首になった選手を集めて興行的に成功するでしょうか。

構想の詳細は私たちの目にふれませんが、肝心の事業性については「別途検討する」とあります。本当に検討がまだなされていないとすれば企業人としてあるまじき行為です。事業性の検討はしたけれど、とても事業として成立しないので発表出来ないのではと思えます。

ライブドアーの社長はなかなかのやり手で頭も良い人です。むしろ狙いは知名度アップではないでしょうか。世間の反応が予想外に良かったので、この際一気に知名度をより上げようとの魂胆に見えてしかたがありません。

三井住友にしてもライブドアにしても、希望がかなったら本当は困るのではと邪推しています。まさに敵は本能寺では?
 

今こそ政治に注目を!! 8/20

政治の世界も夏休みで静かです。自民党の皆さんは九月と言われている内閣改造を心待ちにしていることでしょう。

さて参院選の自民党敗北で明らかに小泉ブランドは賞味期限を過ぎようとしています。しかしながら当面選挙が無く、理論的には、このまま小泉総裁は残り期限である二年間を全うすることが出来ます。自民党総裁の任期中は本人が退陣すると言わない限りやめさせることが出来ないからです。

森前総理の場合は、選挙が目前に迫りこのままでは自民党の大敗が目に見えているという党内の強い脅迫観念に負けて退陣しました。そしてご承知の通り小泉総理の誕生で自民党は見事にモデルチェンジに成功し瀕死の状態から立ち直ったのです。

賞味期限の過ぎた小泉自民党は2〜3年後に来る総選挙に向けて、今からモデルチェンジの準備をしなければなりません。本来なら参院選敗北の責任を取って政権交代し、盤石の体制で次の選挙に備えるべきです。しかしながら自民党も民主党もどのようにすれば国民の心を鮮やかに射止めることが出来るのか、新しいモデルの創造に苦慮しています。

小泉首相は公約通り「自民党をぶっ壊す」ことに成功しました。特に地方では「仕事を地方に回さない議員に価値は無い」との認識が行き渡り自民敗北につながりました。そしてその不安の受け皿として民主党が台頭してきたのです。

従来なら自民党に対する不満票は共産党や民社党に流れていましたが、これも地方に余裕があって「思い上がった自民党に少しお灸をすえるか」程度の批判票でしたので、自民党が軌道修正すればすぐに自民支持に戻りました。しかし今回ばかりは戻らない可能性があります。

その理由は小泉政権での「バラマキ財政から痛みの伴う改革への転換」で自民党の「仕事を地方に回す能力」が落ちてしまい、自民党には復元力が無いと判断されはじめたのではないでしょうか。そして今回その復元力への期待が民主党に向かったことは明確です。いわば民主党の自民党化です。これは民主党にとって極めて頭の痛い問題です。

民主党は従来都市部に強く、しかも若手も多いことから結構天下国家を論じ、何かやってくれる?との期待を抱かせる政党でした。ところが内情は党内に「旧社会党や民社党をかかえた都市型自民党」と言った雰囲気でただでさえ問題が多いところに、今回の参院選で地方型自民党まで抱え込んでしまいました。

その結果、労働組合や地方型自民スタイルのいわゆる「変化を極端に嫌う抵抗勢力」の民主党に占める割合が多くなって改革への自由度が大幅に制限をうけることになりそうです。

日本の高度成長期には、産業が頑張って稼いだお金や、都市部で集めた税金を、あまねく地方へ分配する「勝利の方程式」で自民党は盤石の強さを誇っていました。日本が絶頂期にあった時はまさにこのような政策が可能だったので、日本は世界で最も豊かな社会主義社会の実現に成功しました。

この場合政策的な選択肢は一つだけですから政権を取った政党の勝ちです。自民党はどんどん強くなって行きました。

ところがご承知の通り千兆円近い借金をかかえ首が回らなくなると、従来のように地方に手厚い政策が打てなくなります。そこで都市部から「都市部から取った税金の地方に厚い配分(バラマキ財政)をいいかげんにやめろ」という強い要望が出て「都市と地方の戦い」の様相を呈して来ました。これが小泉ブームの火付け役であり、民主党に期待されている役割でした。

このような二者択一のパターンは良い悪いは別にして政策を考える上ではまだ簡単です。小泉首相は明らかに「打てば響く」都市型を目指して、そこで勝ち得た人気を地方へ波及させる手法で成功しました。(政策は不満だけれど小泉は支持するという奇妙な人気がその証拠です)

ところが最近、もう一つ複雑な要素が加わってきました。それは年金で代表される福祉の問題です。福祉は都市でも地方でも極めて関心の高い問題です。そうなると「地方」「都市」「都市と地方にまたがる福祉」の三つ巴の戦いになって、どこに焦点を合わせるかは極めて困難になって来ます。

限られた財源をどのように使用すれば大部分の国民の満足を得ることが出来るか?福祉に背を向けた小泉自民党は参院選で敗北したことを考えると、次は福祉に重点を置いた者が勝利する時代に来ているのでしょうか?

「三つの中からの選択」を迫られた場合、はっきりしていることが一つだけあります。それは「全ての人に良い顔は出来ない」ということです。自民党の中では参院選敗北で「やはり地方にいい顔を」の勢力が台頭してくるでしょうが、無い袖は振れません。人気を獲得しつつある民主党もこの選択を誤ると一挙にまた急激に支持は落ちてしまいます。

ここは慎重に全国規模での大調査を実施して「都市」「地方」「福祉」の優先順位を明確にして、どのような選択が自民党や民主党に有利かのシュミレーションを実行しその結果を尊重して思い切った手を打つことです。

産業界に要求されている「集中と選択」が政治の世界にも要求されて来たのです。私たち国民の一人一人が切り捨てられる側に入らないようにしっかり政治に注目しなくてはと思います。

「閑話休題」(話を本題に戻す)で力が入り文章が長くなってごめんなさい。
 

自己紹介 8/18 

前回の藤原通信のタイトルは「閑話休題」 またまた失敗してしまいました。「忙中閑あり」(忙しい中にも、わずかな暇はあるものだ)の閑をめざして柔らかい話題を!と思っている間にいつのまにか手のほうは「閑話休題」と書いている。

これに対して読者のかたからとても優しい注意を頂きました。「藤原さんは政治経済が専門と思っていましたが、本日の話題はオリンピック。そうするとスポーツ評論が専門ということになりますね」

なになに、私がスポーツ専門?そこで気が付きました。閑話休題とは「話を本題に戻すとき、または本題に入るとき(無駄な話はさておいて)」に用いる言葉でした。なるほどこれでは私の専門はスポーツ評論だ!!つい先日姑息や憮然の意味の取り違いを反省したばかりなのに、またやってしまった。一体「藤原雄一郎」とは何者だ!!

そういえば藤原通信で私は自己紹介をしていないことを思い出しました。ここらで正体を皆様に知って頂いた上でお付き合い頂くのも悪くは無いかもしれない。そんな思いで自己紹介をさせて頂きます。

私は工学部機械科出身で技術屋崩れの「たたき上げ経営」を専門としています。名前を聞けば誰もが知っている年商三兆円の大企業でサラリーマンとして過ごしました。私が会社人間として生まれ育ったのは三千億円規模、従業員三千人の事業部門でした。そしてそこで部長になって次の段階を目指す頃、上が詰まっていたのか千億円規模のより小さな事業部門のナンバー2へと転身命令を受けました。

やがてそこの部門のトップになって経営に携わることになりましたが、役員にも昇格し全社を見ると今までの風景とは一変しています。無我夢中で仕事をしているうちに、私の出身事業部門が火の車で全社で問題の重点管理部門になっていました。

そこでその事業部門の生え抜きの私なら経営再建も可能であろうと、社長から二年間の期限付きで経営再建を命じられました。まさに壮絶な二年間でした。火が噴いて手のつけられない部門を「全員一致心を一つ」に再建に成功し、感激の涙にむせんでいたら、他の部門が火を噴く!そして余りに短い二年が経過して結局表面的な数値は以前と変わらず、四年前に私の会社生活は終わりを告げました。

当然のことながら無念の思いが後を引きます。そこで壮絶な二年間の経験を糧として、少しでも良いから「同じ苦労の仲間を救いたい」との大それた気持ちから藤原雄一郎の経営最前線シリーズを立ち上げました。

その第一作が「重役は裸の王様」です。初版以来およそ半年に一度、合計五回書き換えて現在に至っていますが、三菱自動車の人が見れば大いに参考になる内容だと思っています。また著作も「目指せ経営トップ」「目指せ乱世のリーダ」と増え、一番最近の改訂版が「この一冊で企業がよみがえる」です。
http://inox-m2.com/fujiwara/portal.htm

そうこうするうちに政治が経済に密接に関係していることに気が付きました。そこで政治には門外漢の私が、「企業で辛酸をなめた視点」を決して崩すことなく政治家や官僚の動向を観察するにつれ怒りがこみ上げて来ました。そこで「経済危機」と「構造改革」のつぼを発刊しました。

以上五冊の本を、内容が陳腐化しないように半年に一度書き換えている間に、世の中の動きの激しさにあらためて驚きました。半年に一度ですら既に内容が陳腐化しています。それほど世の中の動きは速いのです。そこで決心して「リアルタイムの情報発信」を目的とする藤原通信を発刊しました。

発刊してやがて一年が経過します。週に三回の発信は正直きついものがあります。しかし時々に頂く読者の皆様からのメールが大きな励みになっています。絶えず「独断と偏見」と断ってはいますが皆様の厳しいご指導を今後もお願いしたいと思います。

さてこれで私の正体も皆さんに分かってしまいました。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」(実体を確かめてみると 案外、平凡なものであるということ)にならないように気合いを入れますのでよろしくお願いします。次回は本当の意味での閑話休題にしたいと思います。
 

閑話休題 8/16 

お盆休みがまだ明け切らない頃ですので、本日は難しい話題はパスします。

世の中お盆で大変静かな環境になり、日頃たまっていた仕事を精力的に片づけています。集中出来るので効率が良いと喜んでいます。

さて待望のアテネオリンピックが始まりました。私は夜に弱いので臨場感溢れる同時中継を見ることが出来ませんが、読者の皆さんは昼夜逆の生活になっているのではありませんか。お盆休みも終わり、仕事が始まると昼夜逆生活も出来ないしと困っている姿を想像しています。

そしていきなり「やわらちゃん」こと谷選手が負傷を克服して二連覇の金メダル第一号、続いて野村選手が史上初の柔道三連覇の偉業を成し遂げるという明るいニュースが飛び込んで来ました。四年に一度のオリンピックで二連覇、三連覇はなかなか出来ることではありません。野村選手は8年間も世界の頂点に立ち続けたことになります。心から敬服の意を表したいと思います。

注目の北島選手も見事金メダルを獲得しました。大舞台で実力を思う存分発揮できる精神構造に感服しました。

録画ではありますが開会式をジックリと見ました。オリンピック開幕まで「果たして大丈夫?」と心配になるニュースが届いていましたが、開会式を見て「さすがギリシャ」と思いました。近代的な中にも深い歴史が感じられ素晴らしい開会式でした。

アテネオリンピックが迫るにつれてテレビではしきりにギリシャが紹介されました。紺碧のエーゲ海に白い壁の家!見ているだけで心が躍ります。まだ訪れたことの無い国ですが、是非エーゲ海をクルーズしてみたいと強く思いました。

つい先日私はクルーズコンサルタントの資格を取ることが出来ました。この資格は昨年から始まった新しい資格です。これから海外のクルーズに積極的に参加して三年後にはクルーズマスターに挑戦したいと思っています。(クルーズマスターの資格はまだ始まっていません。コンサルタント経験を三年積んだ人を対象にしていますので二年後に始まります)
http://www.jopa.or.jp/menu.html

毎年、一億八千万人の人が国内旅行を、そして千八百万人の人が海外旅行を楽しんでいます。そして旅を楽しむために八兆円もの費用を費やしています。それだけ旅には魅力があるということでしょうか。

私事で恐縮ですが、歩行が不自由で大好きな旅行を諦めていた私の母を二泊三日の飛鳥クルーズに強引に誘ったところ、すっかり元気を取り戻し、まさに身も心も軽くなったと大喜びしています。年末のクリスマスクルーズを指折り数えて待っている様子です。

また89歳になる家内の母を六月にハワイでの息子の結婚式に連れて言ったところ、存分にハワイを楽しんだばかりか、何不自由なくハワイに行くことが出来たという自信から日々の生活に前向きな姿勢が増して来ました。次はいつ行くかと催促があるくらいです。

この二つの事例から、年を経るにつれ、旅行は元気を回復する大いなる効果があることを確信しました。もちろん高齢者が安心して旅行をすることが出来る環境整備が必要ではありますが、高齢者は行動範囲も狭くなり、自分の周囲にしか目が行かないために思考まで後ろ向きになる傾向があります。

旅は視野を広げ、意識を前向きにする大切な効用があることを今年発見しました。クルーズコンサルタントで学んだセールストークではありませんが「旅は人々の心を癒し、健康回復の一番の早道である」「杖をついて乗船した人が下船する時には杖なしで歩いて降りる」もあながち嘘でないことを確認しました。

クルーズコンサルタント藤原雄一郎の作成したホームページをご覧下さい。そしてクルーズに参加して下さい。
私の母との同行記です。是非ご覧下さい。
http://inox-m2.com/apple/cruise/asuka002.htm
クルーズについてはこちら
http://inox-m2.com/apple/apsub20051.htm
http://inox-m2.com/apple/apsub2005.htm
 

関電事故と報道姿勢 8/13

今回の関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出事故については誠に重い気持ちになりました。亡くなられた四人のご冥福と負傷された方々の一日も早いご回復を祈ります。

私はこの事故が発生した時の報道姿勢に大きな問題を感じました。新聞各社やテレビは問題の本質を外した報道を行ったからです。このようなことが藤原通信で行われていないかと痛烈に反省しています。

相変わらずワイドショウで報道のかけらも無いテレビ朝日は報道ステーションでご遺族が土下座する関電社長に怒鳴りあげるシーンを執拗に長時間放映していました。遺族の怒りを報道するのなら短い時間で十分視聴者が理解出来るほどの衝撃的シーンでしたので、長時間の放映に一体何の意味があるのでしょうか。遺族の怒りと同時に極めて大切な「事故の広がりと再発防止」に対する注意喚起こそが報道機関の最大の使命ではないでしょうか。

大切なことはこの事故をあたかも「原子力発電所に固有の事故」のような報道をしていたことです。反原発の機運を盛り上げるならそれでも良いのでしょうが、ただでさえ一般視聴者に理解しがたい事柄であるからこそ、報道機関はそこのところを明確にする義務があるはずです。

例は悪いのですが原子力発電所のトイレに水が溢れたからと言って原子力発電所の事故と騒ぐでしょうか?それより一般家庭でこのようにならないためにはどのようにすべきかと報道するのが当然です。

今回の事故はそれほどの広がりを持っています。全国にある自家発電を含めた発電所の全てに発生する可能性のある重大な事故なのです。事故発生の時に真っ先に報道すべきは「全国に無数にある類似の発電所ではどのようになっているか」との問題提起であったはずです。それこそが遺族の嘆きと悲しみを少しでも和らげる再発防止策の第一歩でしょう。

一部のマスコミに「関電と同じ加圧水型原子力発電所の総点検」という誠にピントのはずれた報道がありました。もし原子力発電に限定するなら「沸騰水型原子力発電の総点検」の方が優先順位は高いはずです。(問題を複雑にしますのであえて理由は言いません)

恐らく関電の事故を知った日本全国の発電所の責任者は飛び上がって自分の発電所の点検を開始したか、あるいは「だからこそ自分の所の発電所は大丈夫」と胸をなで下ろしたかのどちらかだと思います。彼らは事故発生の事実だけで全てを理解しています。

この事故は不幸なことではありますが、今後このような悲惨な事故が発生する可能性を大幅に減少させ、多くの貴重な人命を救う結果になったと思います。被害者のお父さんの「このような事故は息子かぎりにしてくれ!」の叫びは全ての可能性のある発電所に届きました。(誤解の無いように申しますが、発電所の責任者は事の重大性を今回の事故で深く認識したと言う意味でテレビ朝日の報道が有効だったという意味では全くありません)

この点のプロである経産省は11日になって電力会社をはじめ、製鉄所、化学工場などの事業者に対し、全原子力発電所や主要火力発電所、大規模自家発電設備にある蒸気配管の点検状況を18日をメドに報告するよう指示しています。

今回の事故は発電にかかわる人々に大きな教訓を残しています。発電所には配管の集合体のように数多くの配管がはい回っています。その中で圧力も高く、温度も高い蒸気配管については細心の注意を払っていますが、今回のような圧力の低い温水の流れている配管に対しては、どうしても極めて安全な配管だという意識が拭えません。

このような安全と思っていた配管が適切な管理をしていないとこのような惨事を招くことを改めて認識させてくれました。今後は安全に対する優先順位が上がることでしょう。

問題は報道姿勢です。ここに指摘したことは特段難しい技術的問題ではなく、マスコミが良く使う専門家あるいは識者に聞けば実に簡単にわかることです。恐らく聞かれた専門家と称する人々は真実を述べているのに、話題を反原発に結びつけなければ視聴率が上がらないからとあえて採用しなかったとすれば大きな問題です。

そうではなく適切な専門家を見つけ出せなかったとすればもっと問題です。以上述べたようなことは教科書に記載があるような極めて初歩的なもので、全国の蒸気工学担当の大学教授なら誰でも知っている事実だからです。(当然学生も学んでいます)

報道とは物事が発生した時に真実の核心にズバリ突っ込むことではないでしょうか?あまりの偏向報道か不勉強報道ににあきれて物が言えません。

そして最後にひとつ申し上げます。関電のような加圧式でなく沸騰水型原子力発電の場合、今回の事故該当部分はどのようになっているか?当事者は十分認識していると思いますが、マスコミ特有の国民の知る権利から言えば真っ先に知るべき事項です。是非報道して欲しいものです。(私は知りませんので)
 

姑息が一時しのぎ? 8/11

文化庁の世論調査の結果が各新聞に報道されています。その中で姑息、憮然(ぶぜん)、檄を飛ばすの三つの意味の取り違えが話題となりました。皆さんは正解でしたか?次に示す%は回答率を示します。正解と間違いの中で回答率の高かったものを示します。

姑息
正解: 一時しのぎという意味 12.5%
間違い:卑怯なという意味 69/8%

恥ずかしながら私も間違いグループでした。「姑息な手段」とは当然「卑怯なことをして姑息だ」と思っていました。最近の世の中は真っ正面から困難に対決せず、いつも「一時しのぎの手段」で逃げ切ってしまう人々が増加したので私も含め姑息の意味を取り違えたのでしょうか。

檄を飛ばす
正解: 自分の主張や考えを広く人々に知らせて同意を求めること 14.6%
間違い:元気のない者に刺激を与えて活気つけること 74.1%

これも完全に間違って理解していました。この報道がなされた後も、新聞で「檄を飛ばす」の誤った表現を見ました。マスコミでも間違いの意味が定着しているように思われます。ここ十年間のように沈滞したムードをぶち破るために経営者として「自分の考えを広く人々に知らせて同意を求める(すなわち檄を飛ばす)」には声も大きく活気つけるように話さないと考えが広まらないので意味まで取り違えたのでしょうか。

憮然(ぶぜん)
正解: 失望してぼんやりとしている様子 16.1%
間違い:腹を立てている様子 69.4%

「憮然(ぶぜん)として立ち去る」の本来の意味は「悄然(しょうぜん)として立ち去る」としか考えられませんでした。いかがですか?私は全敗!しかし60歳以上の人々の正解率は20%近くになっていますので、私は物を書く資格無しだとガックリ来ました。

以前「情けは人のためならず」を多くの若い人が「人に情けをかけるとその人を甘やかせて良くない(人に情けをかけるのは良くない)との意味に解釈している」と報道され、若い人が全く正反対の意味に取り違えていると笑ったものでした。それが今回は笑われる側です。時代と共に世の中の常識がドンドン変化して行くことを身に染みて感じました。

同じ日本人でこれほどまでに完全に意味を取り違えているのですから、世代間の意思疎通が難しいのは当然でしょうし、自分たちが長年置かれている立場で常識も多いに異なることでしょう。

本当に「自分たちの常識は世の中の非常識」ではないかと常に自分自身を反省する大切さをしみじみと感じました。
 

日本国を破綻させないために 8/09

前回の藤原通信で与党も野党も「本気で日本国を破綻から救い出すことを考えていない」と指摘しました。それではどのようにすれば破綻が回避されるきっかけがつかめるのでしょうか?

それは多くの民間企業で実施されているように、官僚機構を徹底的にやりかえることです。つまり高度成長時代から高齢化社会への対応という、日本国のグランドデザインを根本から書き換えることに他なりません。

まず政治家と官僚の支配する行政の世界を徹底的に破壊し、新しい時代の要求に適した従来とは全く異なった世界を新しく創造しなければなりません。そのためには徹底的な規制緩和と既得権益の排除で小泉構造改革の主眼である

一 地方で出来ることは地方で
二 民で出来ることは民で 

の二大原則を軸に国と地方自治体の官僚構造をガラガラポンでやり直さなければなりません。

新しい日本政府のなすべきことは

一 既得権益の排除と徹底した規制緩和による自由競争で経済を活性化させること。 国交省、厚労省、農水省、経産省など肥大化した官僚組織を規制緩和というテーマで徹底的にスリム化し、省を廃止した上で必要最低限の機能に限定して局程度の組織に簡略化します。同時に特殊法人、独立行政法人、公益法人など放漫経営の典型で無駄の源泉は当初の目的通り、廃止か民営化を徹底することです。

二 中央集権から地方分権を目指し財源も権限も委譲する。 総務省、財務省などは廃止するくらい徹底した地方分権を推進します。全国を北海道、東北、関東、東海、近畿、中国、四国、九州など8〜9程度の道州制度に改め、その上で徴税権を地方が持ち(財布は地方が握る)、必要に応じて国に税金を上納すれば総務省や財務省は自然に崩壊し、無用な中央政府による税金の無駄使いは解消します。そして国民は税金を無駄使いしていない地方自治体に自由に移動すれば地方自治体の間で厳しい競争が始まります。

三 中央政府の仕事は国民の安全の確保と年金、医療などの福祉に絞り込む。

このような改革を実行すれば増大する高齢化社会への対応費用は従来分野の予算を充当することで十分に捻出出来るはずです。もし出来なかったとしても政府がこれほどの痛みをあえて受け入れるなら国民も多少の増税にともなう痛みを甘受することでしょう。現在囁かれている消費税の引き上げもこれほどの改革を成し遂げた後で論議して欲しいものです。
 

日本国は破産しないの? 十七年度予算概算要求 8/06

7月下旬に来年度の国家予算である平成十七年度予算概算要求が閣議決定されました。国の予算はこの時期に概算要求の内容が決まり、具体的な数値は十二月頃にまとまって、年が明けて国会審議を経て正式に予算が決定します。

予算の配分を受ける側にすれば概算要求に頭を出していなければ予算が通るわけもありません。そこで概算要求の内容がお役所で検討される4月から5月にかけて霞ヶ関や永田町には大勢の陳情団が押し寄せることになっていました。私も地方から財界人の代表として何度か陳情につきあわされたことがあります。(最近ではめっきり陳情も減ったと聞きます)

さて肝心の十七年度概算要求の内容は、十六年度と大差ない規模に設定されました。破綻しかけている財政を再建することは夢のまた夢です。今や皆さんの方が良くご存じの国と地方の借金の総額は700兆円を超えました。それに郵貯・簡保・年金資金などから借りたお金を積み上げると優に1000兆円を越す天文学的数字です。

このような大きな数字はピンと来ませんので私たちの家計に例えて説明してみましょう。年収400万円の家庭が年収と同じ400万円の借金をして年間800万円の豪華な生活しています。その結果借金はどんどん膨らみ1億円を超えてしまいました。そして毎年借金の返済と利息の支払いに190万円を支払っても一向に生活レベルを下げる気配のない家庭が思い浮かびます。

一般家庭ならこのようなデタラメな状態でお金を貸してくれる人は皆無です。ところが国の場合はいくらでも貸してくれる人たちが存在します。代表例が銀行です。お客様から受け取った500兆円の貴重なお金の中から、いまや100兆円もの金額を国債等に投入しています。また郵貯や簡保も国債の大口消費先として政府から便りになる存在として喜ばれています。

また最近は個人向け国債が大人気で、郵便局などでは売り出し当日に完売するありさまでなかなか手に入りません。このように国や地方はいくらでも欲しいだけ借金が出来ますので一向に財布の紐を締める気配がないどころか「昨年並みの緊縮財政では景気に悪い影響を与えるからもっと積極的な予算を組むべきだ」と叫ぶ政治家が多いのです。

政治家や官僚には借金を真面目に返却しようという気持ちがあるとは到底思えません。彼らの頭の中から戦後長い間続いたインフレ思想が抜けきれないのだと思います。「1000兆円も10年、20年すれば100兆円くらいの価値になるのだから、目くじらを立てることはない」とでも思っているのでしょうか。

昔と今とでは環境は激変しています。今後10年、20年経過すれば年金生活者の数は飛躍的に増大します。そうするとそのしわ寄せは年金生活者を直撃することになります。年金はインフレ見合いで増加しませんから年金の価値が大幅に下落し、年金生活者は生活できないで大きな社会問題となることでしょう。

インフレが起こらなければ今度は税金で穴埋めすれば良いと思っているのか、あるいは日本人の得意中の得意である「問題先送りで何とかなるさ」で何も考えていないのかも知れません。その証拠に与党からも野党からも財政健全化を叫ぶ声は一向に聞こえて来ません。僅かに大新聞の社説で私と同じような意見の開陳があった程度です。

少しは真面目に国と地方の借金を減らすことを私たち国民も考えなければなりません。悪評の年金制度見直しどころでは無い深刻な問題を抱えているのです。だから余計に官僚による税金の無駄使いに「何とかしなければ」と強く思うのです。
 

最強軍団橋本派の崩壊 8/04 

世の中が変わった事例のもう一つが、かって自民党で最強を誇った田中派、竹下派の流れを継承した橋本派の凋落です。このたび派閥会長の橋本氏が日本歯科医師会(日歯)前会長からの1億円の“ヤミ献金”の 責任を取り、会長を辞任、派閥を離脱しました。次回の衆議院選挙では小選挙区からの出馬もしないと宣言しています。

自民党の派閥といえば派閥の後継問題で田中派を強引にもぎ取った竹下元首相の例を持ち出すまでもなく、後継を巡っての激しい権力闘争をいくつも私たちは見てきました。そしてこのような激しい権力闘争が自民党に活力を与えて来ました。ところが不思議なことに橋本派では一向に後継者が決定する気配もありません。自民党の変人小泉首相の登場により自民党の派閥も大きく変わりました。

絶大な力を持った派閥の力の源泉は「金と人事」でした。しかし肝心の金は多額の政党助成金が税金で投入される制度が出来上がり、次第に派閥よりも党が金の配分権を持つようになりました。それでも派閥の長は多額の政治資金を集め、権力を維持していましたが、鈴木宗男事件に見るように「政治と金」の問題が次第に衆目の一大関心事となるにつけ、かってのような強引な「金集め」が難しくなりつつあります。

丁度このような政治の流れの変わり目に、変人首相小泉純一郎の登場で流れは大きく変わりました。派閥の魅力の双璧である人事に対して小泉首相は派閥の長に相談することなく大臣や党の三役人事を強引な一本釣りで固める実例を作り上げました。従来の人事は派閥順送りで首相は指名権を持たず、派閥の長の推薦を採用せざるを得なかったために無能な専門性の無い大臣が数多く製造されたものでした。

一人でも多くの大臣を就任させるために一部の実力大臣を除いてはその任期も短いものでした。ところが小泉内閣では公約である「一内閣一大臣」の原則こそ崩れましたが、扇大臣、坂口大臣、福田官房長官、石原大臣、竹中大臣、川口大臣など随分長命な大臣のオンパレードです。

さらに決定的な点は小泉政権3年間の間に景気対策としての公共工事のバラマキを断固拒否したり、利権の中枢である道路公団民営化や郵政民営化などで、橋本派の牙城である強固な利権集団に一撃を加えています。

小泉政権三年間の成果は自民党随一の実力集団である橋本派から次々と権力の源泉である「金と人事」の決定権をもぎ取ったことです。その結果自民党は従来強固に自民党を支えて来た利益集団からの集票能力をそぎ取ってしまいました。既得権益をガッチリ守る組織にお金が流れないような施策を小泉首相が取って来ましたので、今回の参院選挙でも民主党にトップの座を奪われる結果になってしまいました。

その意味では小泉首相が元気よく立ち上がった時の有名なセリフ「自民党をぷっこわす」は案外嘘では無かったように思います。小泉首相による「自民党の破壊」はほぼその目的を遂げつつあります。小泉首相の支持率急落で次第に力を失いつつある自民党が、これからの「創造の過程」で「従来の道への回帰」を狙うのか、本当の意味での「破壊の後の創造」を成し遂げるのか橋本派の混迷と共に大きな注目点であると思います。

私の予感では力を失った小泉首相の呪縛から解かれ「従来の道への回帰」を自民党が目指すように思えてなりません。それが確実に「自民党の終わりの始め」になるのに、世の中の大局が見えず、あえて「終わりの道」を選択する自民党。時代の大きな流れに流されて行く自民党の行く末が見えてくるような気がしてなりません。
 

ビジネス応援団藤原通信>藤原通信2004年8月号