藤原雄一郎の経営最前線
藤原雄一郎政治と経済を語る 2003年12月
改革は進んだか?  12/30
今年も最後の藤原通信になりました。

党内基盤の弱い、小泉首相が、今年もしぶとく生き残りました。従来の自民党の常識からいえば奇跡的なことだと思います。また小泉内閣の支持率も、何度も「これが最後か」と思わせながら、何とか沈んでは浮き上がりを繰り返して来ました。イラク問題で下がった支持率が、年が明けてから再び上昇するかに改革推進の成否がかかっていると言っても過言ではありません。

小泉首相は本心ではイラクに自衛隊を出したくないのが、ありありと伺えます。その逡巡がますます事態を悪化させています。小泉首相の頭の中はイラク問題で一杯で、その他の重要案件に対して、集中力が切れているために、大切な案件でバタバタと後退している印象は否めません。

それほど、既得権益を必至で守ろうとする政治家と官僚の壁は厚いということです。そして小泉さんには、「命をかけて守ってくれる親衛隊がいない」ことも明確になりつつあります。今や小泉首相にとって唯一の親衛隊が「移り気な支持率」でしかないのは寂しいかぎりです。

国民である私たちも大きく反省しなければなりません。小選挙区になって益々、議員の重要な役割は、地元への利益誘導になっています。鈴木宗男に未だに地元での根強い人気が残っているのは、彼が「極めて強引に」地元に仕事を持ってくる、その実力に期待しているからです。このような現状では天下国家を論じ、日本全体の国益を重んずる政治家は「夢見る空想家」として歯牙にもかけられません。

よく言われる言葉に「猿は木から落ちても猿だが、政治家は選挙に落ちればタダの人」があります。選挙に当選するためには、政治家を当選させる力を持った人の希望をかなえることです。その結果、各種団体が大きな力を持ち、いわゆる浮動票と称する一般庶民の声は抹殺されてしまいます。そして国民の貴重な税金が一部団体の要望と、その要望をかなえる大きな力を持つ官僚によって、ドンドン無駄使いされ、国家財政の破綻を来します。

このような強固なシステムを打ち破るのは並大抵ではありません。小泉首相の集中力が切れたら必ず失速します。一旦閣議決定に持ち込んでも、実際に法律を作るのは官僚ですから、巧みに骨抜きにして、相変わらず、税金の無駄使いにあけくれることになります。

このような政治家と官僚を支える利益誘導勢力(既得権益を守る抵抗勢力)と「税金の無駄使い」の配分にあずかることの出来ない多くの国民(主として大都市の住民で浮動票の大部分)の比率が、ここに来て大きく崩れようとしています。その結果がいつまでたっても「落ちそうで、落ちない」小泉内閣の支持率となってあらわれていました。

ところが、抵抗勢力のあまりの強さに、一般庶民の期待している税金の無駄使いに十分にメスを入れきらず、増税や年金問題で一般庶民の懐に小泉内閣は手をつけだし始めました。その印象が高まったのが年末の三大改革(年金、地方分権、道路公団)の決着です。漠然とした期待を抱いていた一般庶民の心が、密かに離れつつあります。

「小泉内閣の支持率もこれまで」という予感がしてなりません。来年になれば小泉内閣の支持率の低下と共に、せっかく進みかけた改革が次々と骨抜きになる不吉な予感がします。この予想がはずれることを強く望みたいものです。

小泉首相は自民党の基盤を次々と破壊してきました。抵抗勢力が小泉降ろしに成功した時、世の中の大きな変化に気がついていない自民党の本当の崩壊が始まります。もう政治には期待出来ません。「自分の身は自分で守る」そのような年に来年はなると思います。

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このような時、藤原雄一郎の経営最前線シリーズをご活用下さい。
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皆様、どうか良いお年を。 来年もよろしくお願いします。
クルーズ初体験 12/28
このところ堅い政治ネタが続きましたので、本日は今年最後の日曜日でホッしておられることでしょうから、楽しい旅の話をさせて下さい。

12月23日から二泊三日で「にっぽん丸」による「瀬戸内一周サンタクルーズ」なる催しに夫婦で参加し、ここ何十年と、ほとんど記憶にない「クリスマスの楽しみ」を満喫して来ました。

まず最初の驚きは、元気な熟年で溢れていたことでした。私は64歳ですが、若い部類で、平均年齢は恐らく70歳に近いのではないでしょうか?皆さん「とことんクルーズを楽しむぞ」との雰囲気に満ちあふれていました。

それもそのはずです。合計6回あった食事の時にお隣に座ったご夫婦と(合計6組)親しく会話を楽しませて頂きましたが、私たちのようなクルーズ初体験のご夫婦にはお目にかかりませんでした。今年これで5回目というご夫婦もおられました。皆さんクルーズのベテランで、「クルーズの楽しみ方」を良く心得て、乗船のその瞬間から、楽しいクルーズの雰囲気を、参加者自らが醸し出している、そのような印象を受けました。

中にはお見かけするところ80歳台くらいのご婦人が、お一人で世界一周100日のクルーズを二回経験して、三度目に挑戦したいと目を輝かせておられたのには驚きでした。懐の寂しい私としては費用が気になりますが、一人の場合は通常料金の1.6倍になると、そのご婦人はおっしゃっておられましたから、恐らく500万円近く費用のかかったことでしょう。それだけの魅力がクルーズにはあるのでしょう。

お金の話ばかりで恐縮ですが、ご主人が奥様と同じ部屋だと良く眠れないからと、夫婦別々に、最高級のスイート二部屋で世界一周したご夫婦に出会った時には、思わず仰け反る思いがしました。この場合恐らく3千万円くらい費用がかかることになります。(特別割引があるのかとても聞き出せませんでしたが)

一人旅のご婦人も、この豪華なご夫婦も、外見は「ごく普通の庶民」といった印象で、皆さんの楽しみの輪に自然にとけこんでいました。皆さん異口同音に「一度クルーズを経験したら病みつきになる」と言っています。一体どこにそのような魔力が潜んでいるのか、二泊三日のクルーズでは秘密の解明にまで行きませんでした。

普通の旅行と異なっている点は、「クルーズ側が色々としかけ、乗客が全てを忘れ、非日常的生活にはまりこんで、存分に楽しむ。その基本に人と人の楽しい交流がある」ことでしょう。一流ホテル並の豪華な施設と雰囲気に加えて美味しい食事、夜はショウや数々の楽しいイベントに、きらびやかに着飾ってダンスを楽しむ等々、通常の日本人の生活に無い「社交の場」があることかも知れません。

また日常生活ではかなわない、思いっきり派手な衣装や、大げさなアクションなど、およそ非日常的な経験が存分に楽しめて、それを眺めているこちらまで楽しくなってくる。私たち夫婦のように、ごく普通の平凡な服装でも、思いっきり派手な服装でも、一向に違和感のない不思議な空間と不思議な体験でした。

昼は昼でダンス教室とか手芸とか、ストレッチ体操に輪投げ大会など、どの行事に参加したら良いのか盛りだくさんの予定に嬉しい悲鳴で走り回っている人もおれば、私のように、この際、藤原通信の仕込みにと猪瀬直樹の「道路の権力」をプールサイドの日当たりの良いサンデッキに横たわって読む人もいる。忙しく過ごしたければ忙しく、何もしないでボケーとして退屈を楽しみたければ楽しむことが出来る仕組みです。

何人かの世界一周100日のクルーズ経験者に「100日も退屈しませんでしたか」と聞きましたら「いやいいや忙しくて・・・・」との回答でした。

一体どのくらいの人々がクルーズを楽しんでいるのかと調べて見ました。日本では年間20万人未満の人々がクルーズを楽しんでいるようです。海外旅行人口が年間1600万人程度ですから、ごく僅かな割合です。それでは全世界ではどうでしょうか?世界でクルーズ人口は年間1000万人で、そのうち北米が700万人程度ですから、アメリカ人が圧倒的にクルーズを楽しんでいます。

個人的な体験を長々とご紹介してもいけませんので、クルーズの話はこの辺で終わりますが「藤原さんは、またクルーズを楽しみたいですか?」との質問に対しては即座に「行きたい!!」との回答が口をついて出てきます。また体力が衰えて飛行機による海外旅行が出来なくなっても、クルーズなら楽々究極の旅を楽しめることを発見したのは収穫でした。唯一でかつ大きな問題は「どのようにして費用を捻出するか」ということではありますが・・・・(日本のクルーズでは1〜3泊の短いクルーズが圧倒的に多いのがその辺の悩みを示しています)

ご興味が湧いてきましたら下をクリック下さい。

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満身創痍 道路公団民営化 12/26
道路公団の民営化について一応の決着を見ました。その内容についてここで述べることは差し控えますが、正直に言えば、道路公団民営化促進委員会の結論から、かなり弱まった案に落ち着いたことは間違いありません。支持率が小泉政権発足時に比較して半減した現在、小泉首相には官僚と道路族の鋼鉄のような強い壁を打ち砕く力は残されていなかったようです。

道路とはまさに利権そのものです。政治家と官僚の命がかかっていますから、既得権益の強い壁をおいそれとは破ることは出来ません。道路を巡る争いは激しい権力闘争でもあるのです。小泉政権発足当時の驚異的な国民の支持率があったからこそ、極めて不満足であっても、民営化へ一歩前進したと評価しなければなりません。よくぞここまで来たものだとの感慨を強くしています。

道路公団の民営化とか日本道路公団の三分割など、従来なら想像だに出来なかった前代未聞の出来事が曲がりなりにも実現したのは、発足時の80%近い国民の支持に押された小泉首相の強い力があったからこそです。このように国民の高い支持は「不可能を可能にする」強い力であることを、改めて認識したいと思います。

ここで小泉首相の道路公団民営化にかかわる功績の部分をおさらいしたいと思います。

1)道路公団民営化促進委員会は道路公団の魑魅魍魎(ちみもうりょう)を白日のもとにさらけ出した。
今や「七人の侍」と呼ばれた委員は次々と討ち死にあるいは切腹して、とうとう、猪瀬直樹、大宅英子の二人になってしまいました。しかし彼らの功績には偉大なものがあります。優良と思われていた日本道路公団の半数以上の路線が本四公団のように通行料金では利子すら払いきれない赤字路線であること。ファミリー企業が甘い汁を吸って、公団を食い物にしている実情等々、これまで国民の大多数が知らなかった事実を公開し、その乱脈ぶりの実態を白日のもとにさらけ出しました。

2)日本道路公団の三分割に成功
道路族と官僚が何としても避けたかった「日本道路公団の三分割」を成し遂げたことはクリーン・ヒットだと評価すべきであると思います。日本道路公団は東名・名神というドル箱の存在のおかげで、大きなどんぶり勘定のもとに不採算路線を建設しても目立ちませんでした。それが三分割されれば、小さなどんぶりになりますので、本四公団のように赤字が目立つ傾向になり、不採算路線の建設にブレーキがかかることは間違いありません。これだけでも大きな進歩と思います。

3)民営化により採算が透明になる。
藤井道路公団前総裁のドタバタで明らかになったように、お役人の世界では金勘定が誠にルーズで、民間では常識の財務諸表すらありませんでした。民営化すれば株主総会で財務状況が明確になり、赤字が早期に明るみに出てきます。

以上参考三項目は小泉首相の改革の成果であると大きく胸をはることの出来る項目です。小泉首相の誕生が無ければ決して実行できなかった画期的出来事と私は評価します。

一方で、既得権益を侵害される、道路族と官僚はこのまま一方的に押しやられることは決してありません。虎視眈々と復権を狙っています。これは激しい権力闘争ですから簡単に負けるわけには行きません。すでにかなりの復権を成し遂げています。

1)政府直轄の高速道路建設で国交省は新たなる利権を手に入れた。
当初20兆円にのぼる新規建設を13.5兆円まで建設費を圧縮しました。(民営化論議の始まったころに国交省から20兆円の数字が出てきましたから、あらかじめ切り代を見た甘い数字であると勘ぐりたくなります)そしてそのうち3兆円は政府直轄として道路公団の範囲から切り離すことによって、国交省は3兆円の道路建設という利権を道路公団から取り上げることに成功しました。国交省による高速道路建設は長年の悲願であるだけに、今後民営化された道路公団が新規建設を渋ると、国交省分が増加することが十分に考えられます。

2)赤字路線が続々誕生
政府直轄工事の実現で、電光石火、3兆円のうち2兆4千億円分、27区間の建設を国交省は一次指定しました。評価手法委員会や民営化推進委員会でも建設優先度がDクラスに評価された路線が大部分で、無駄な公共工事の典型とも言えます。税金ならかくも安易にムダ使いが出来るものかと呆れます。

3)三分割の利点を削ぐ案を考え出した。
せっかく三分割して、不採算路線の赤字が顕在化することに成功しましたのに、不採算路線についてはリース料金を安くして目立たないようにする案が早くも頭をもたげています。これでは何のために三分割したのかさっぱり分かりません。

その他にも頭の良い官僚は分割民営化の効果を削ぐための必殺技を次々にしかけて来ます。支持率の下がった小泉首相にはもやこの様な悪智恵をはねのける力はありません。従来なら道路公団民営化推進委員会が智恵袋になってくれましたが、今や壊滅してしまいました。まさに満身創痍の道路公団民営化です。

これが激しい権力闘争の現実であることを私たちは認識しなければなりません。
不満だけれど小泉さんだから出来た予算 12/23
平成16年度の一般会計予算の概略が決定しました。新聞やテレビで大きく報道されていますので、皆さん良くご承知のことと思います。概して評判は良くありませんが、それは当然だと思います。

国家予算82兆円のうち、税金による収入約42兆円に対し、借金である国債発行額が過去最悪の約37兆円です。家計の半分近い借金をしている一般家庭にはあきれ果てて誰も相手をしませんし、そのような家庭にお金を貸してくれる人もいないのが普通です。

それでもこの予算は三年連続の緊縮財政であるといわれているのです。亀井静香などの抵抗勢力に「経済無策の小泉内閣。景気対策に大型予算を」と叩かれ続けたこの三年間。年末には「景気対策のための大型補正予算を」の大合唱が年中行事になっていました。

ところが今年は例年の合唱が聞こえて来ません。そして「借金なき補正予算」を実に13年ぶりに成立させるという快挙を静かに成し遂げています。しかし誰からも良くやったという声は聞こえてきません。この三年間、もし抵抗勢力が政権を握っていたならば、どれほど多額の借金が積み上げられていたか、恐怖の思いがします。

このような緊縮財政でも国と地方の借金の総額は、16年度の借金が加わって720兆円にも達する巨額なものとなりそうです。平成16年度予算も「変人小泉」だからこそ、この程度に収まったのです。当初は借金の金額は40兆円を超すと予測されていました。収入以上の借金をするという瀬戸際を何とか踏みとどまって食い止めることが出来ました。(いろいろ細工をして辻褄をあわせた数字ではありますが)
半分近い借金で不満の予算だけれど小泉さんだから出来た予算と言えるでしょう。

大切な私たち日本国の予算ですから、退屈なのを辛抱して、予算の概要だけでも頭に入れておいて欲しいと思います。
大口では予算の21%(約18兆円)は借金の返済と金利の支払いに当てられ天引きされます。また20%(約16兆円)は地方交付税として、約19兆円が国庫補助分担金として地方自治体に支払われ、何と予算の約65%が国の手に残りません。一般家庭の給与明細表なら「手取り35%」しかないことになります。

その上、一番の問題は24%(約20兆円)を占める社会保障費です。15年度は約19兆円、10年前には約14兆円でしたから、その伸び率には恐ろしいものがあります。今後も増加し続けることでしょう。「手取り35%予算」「社会保障費の急激な増大」この二つのポイントだけでも頭に入れておいて欲しいと思います。

このような厳しい状況ですから、私たち国民は「国に何を望むか?」をはっきりさせなければならない時期に来ました。治安も悪くなって来ていますし、北朝鮮の脅威で軍事費も大切です。あれもこれもでは国はいつまでたっても破綻状態から抜け出ることは出来ません。私は政府の役割は「国民の福祉と生命の安全」に絞り、「民間で出来ることは民間で」「地方で出来ることは地方で」に大きく舵を切るべきだと思います。

景気対策のための財政出動があっても無くても自然の摂理で経済は循環することが小泉内閣によって証明されました。「小泉経済無策が景気回復の特効薬」であったという人さえいます。

「無い袖は振れない」わけですから、このような方向に大きく舵を切って、ムダ使いの温床である特殊法人、公益法人の全廃。さらに国と地方のお役人、すなわち行政組織に大規模なリストラと再編成を実施して行政のムダ使いに大ナタを振るうべきだと強く思います。公務員の費用は半減くらいの大目標を掲げて、その範囲で何が出来るかを今こそ論じる時だと思います。民間では当たり前のことを国もやるべきではありませんか。皆さんのご意見はいかがですか。

国民年金に消費税投入? 12/21
前回説明しました厚生年金とは別に、国民年金に相当する基礎年金の国庫負担率が従来の三分の一から二分の一に増加させることに決定しましたが、そのための財源、約2兆7000億円の捻出に政府は四苦八苦しています。公明党は現在の定率減税を廃止して、その額約2兆5000億円を財源に充当するように強く訴えています。

平成十六年度の税制改正の骨子が自民党税制調査会でほぼ決定しましたが、富裕な年金受給者からの増税とか、国民から税金を取ることばかり考えています。そして遂に消費税の増税まで視野に入れ始めました。国民年金の国庫負担率をあげる2兆7000億円の捻出のために消費税を上げるとしたらとんでも無いことです。

この程度の金額であれば、国家予算82兆円の中から特殊法人や公共事業など政治と官僚が支配する世界の放漫経営にトヨタ式とまでは行きませんが、せめて民間企業の一般常識を適用して、ムダの排除に努めればすぐに捻出出来るはずです。国民の誰もが「渇いた雑巾をさらに絞る努力をした結果、もうこれ以上はムリ」と認めるまでは徹底的に政治と官僚の世界に巣くう放漫経営にメスを入れ続けるように厳重な監視をしなければなりません。

前回の藤原通信に述べましたように、年金制度は早晩破綻しますので、複雑な各種年金制度をまず一本化する必要があります。そして40%もの人が支払っておらず、現実的に空洞化している国民年金を、民主党のいうように税金で負担して、全ての日本人に対して、老後は必要最低限の保障をすべきだと思います。その上で、人並みの生活の保障を得るために、各人の報酬に応じて年金を積み立てるような抜本的な年金制度改正に踏み込むならば、そのための原資として消費税を引き上げることに国民は賛成するかも分かりません。

しかしながら民主党が総選挙で消費税に言及して一定の反応を得たことを幸いに、その本質(年金制度の抜本的改革)から目をそらし「年金制度の抜本的改革には全く手をつけず、今回決定した国民年金の国庫補助引き上げに必要な2兆7000億円の捻出のために消費税を増税をする。」と言った言葉だけ取った、議論のすり替えに国民は手もなくだまされてしまいます。

民主党の「年金に消費税を充当」の意味と与党の「年金に消費税を充当」は言葉は同じでも中味には「天と地」ほどの違いがありますが、余程注意しなければ理解出来ません。消費税の増税は何のために使われるのか?私たち国民の鋭い監視と追求が必要です。

政治家の得意な、このような論議のすりかえの見本を紹介しましょう。

「高速道路の建設には税金は投入しない」との取り決めを全く無視して、「道路のような公共財に採算性を持ち込んではいけない」などと政治家と官僚は巧みに論議をすりかえています。

もともと道路のような公共財は「採算性で建設の可否」を決定するような性質のものではありません。従って税金で建設されるべきですし、事実建設されています。しかしそれでは旺盛な道路建設需要に追いつかないので、「採算のとれる道路」については通行料で道路を建設する高速道路方式が採用されました。従って高速道路建設には税金をビタ一文、投入しない固い約束です。

必要ではあるが採算に合わない道路は堂々と予算を取って税金で建設しなければならないのに、本四公団のように「採算がとれて黒字になる」と国民をだましたあげく、莫大な赤字高速道路を建設し、「赤字が出たから税金で補填する」ということを堂々と実行しています。

そしてこのような明快な前例があるにもかかわらず、政治家と官僚は全く反省もなく、本四公団並の赤字高速道路を建設しようとしています。

年金でも必ずこの手を使ってきます。この論理にだまされないようにしなければなりません。国民年金の国庫補助引き上げ2兆7000億円の捻出のための消費税増税には断固反対しましょう。
年金問題一応の決着 12/19
まず最初に、皆さんの給料明細書を、この機会に良く見て下さい。注目点は社会保障の金額です。まず税金の額を頭に入れておきましょう。所得税と住民税の合計を計算して頭にたたき込んで下さい。

次に社会保障費です。厚生年金、介護保険、失業保険、健康保険の合計を電卓で出して下さい。恐らく税金と比較してその多さに驚くことでしょう。年収700万円の人でも、軽く税金の倍以上の金額を徴収されているはずです。年収1000万円以上の人の場合は税金がグンと多くなりますから、社会保障費は目立ちませんが、年収500万円以下の人であれば、社会保障費の割合の大きさにため息が出ることでしょう。

さて前置きはこのくらいにして、三位一体改革に続く、小泉内閣の重要課題の一つである年金問題が一応の決着を見ました。マスコミでは厚生年金の負担と給付の問題が大きく取り上げられています。負担については、現在の13.58%(労使折半)を毎年0.354%引き上げ、最大18.35%にするかわりに、給付を現役収入の50%は確保するというものです。

少子高齢化が現実のものとなった現在、このままでは従来通りの年金を維持することは困難であることは明確です。時代の大きな変化に制度がついてゆけない典型例です。今回決定した負担と給付も、人口比率や国民経済状況などに仮定が入っていますので、将来、計画通り実施出来るか誰もわかりません。

厚生年金の根本的な問題は、現役世代のお金で、年金受給世代の年金を負担する制度にあります。昔のように、人口構成がピラミッド型で現役世代が、年金受給世代より圧倒的に多い社会でのみ成立する制度です。このモデルをそのままにしておいて、現行制度の負担と給付を机上の計算で辻褄合わせしても、計算の前提が狂えば、貰えるはずの年金が大幅に目減りすることもあります。(官僚は数字の辻褄合わせで通りの良い案を作成するのは得意中の得意です。そして結果が間違っても知らぬ顔です)

年金問題は複雑で理解しがたいにもかかわらず、別の話を持ち出して恐縮ですが、国民年金・厚生年金とは別に、多くの企業では企業年金制度を持っています。この制度は退職金の一部、もしくは全部を拠出して貰って、退職後年金として給付する制度です。この制度が今、企業を大変苦しめています。

それは企業年金が「確定給付型」(あらかじめ予定金利を決めて、年金支払額を約束する制度)であるために、昨今のように金利が大幅に下がっても、あらかじめ支払額を約束していますので、逆サヤを企業が補填しなくてはなりません。そこで現在企業では「確定給付型」から「確定拠出型」に静かに変更作業が進行中です。皆さんは401Kなどという言葉を聞かれたことがあると思いますが、要するに「毎月一定の金額を積み立てて、受け取る年金は、運用の結果次第で変動する」のが「確定拠出型」の年金制度です。(つまり年金型の積み立て貯金のようなものです)

誰もが予測しなかった低金利時代の到来で企業年金に大きな矛盾が出てきました。民間企業では目立たないように、静かに、新しい時代への対応を進めています。
(確定拠出年金について分かりやすいホームページを見つけました。下のURLを見て下さい。)
http://www.kaigisho.ne.jp/money/401k/

日本の年金制度は複雑怪奇です。国民年金、厚生年金、共済年金など職業によってマチマチです。これらを一本化して新しい年金制度を考える時期に来ています。新しい時代には新しい制度をいち早く構築しなければなりません。その意味では民主党の「国民年金に相当する基礎的年金は税金で負担して、収入に応じて国民が年金資金を拠出して、基礎的年金に加えて積み立てた金額を年金として受け取る」との提案は、新しい年金制度を考える前向きの姿勢であると思います。

とにかく年金にしろ、医療にしろ、社会福祉にかかわる制度が複雑であるからと言って、官僚にまかせておくとろくなことになりません。頭を絞って、これらの制度を良く勉強して、大きな声をあげなければと思います。
景気は確かに改善 日銀短観 12/17
昨日、日銀短観の詳細が発表されましたが、イラクへの自衛隊派遣問題に引き続き、フセイン元イラク大統領の拘束など、世の中がイラクに関心を向けており、目立った報道はありませんでした。しかし昨日の日銀短観の内容は重要な意味を持っているように思えてなりません。

日銀短観とは全国8200社にものぼる企業に対するアンケート調査(しかも回答率が98%)で三ヶ月に一度調査が行われています。調査の対象になる企業は、製造業、非製造業、中小企業、中堅企業、大企業、主要企業と日本経済を担う、ほとんど全ての企業を網羅していますので「たかがアンケート調査」ではありますが、経済界に大きな影響を与えている指標です。

日銀短観では景気が「良い」と答えた数から「悪い」を引いた数字で景気を判断する極めて単純な指標ですからとても分かりやすいのが人気の秘密かも知れません。さて前置きが長くなりましたが結果を見てみましょう。

前回9月の調査では、長い間、全ての企業で「悪い」の方が「良い」を上回っていたのに、ごく一部、大企業の製造業だけが、わずか+1ではありますが、「良い」が「悪い」を上回ったことで評判になりました。今までの「マイナスの度合いがどの程度減少したか」の論議が、やっとプラスを論ずる段階になったからです。

今回の調査では「良い」が「悪い」を上回ったのは前回に引き続き大企業の製造業で+1から+11へと大幅躍進し、主要企業でも−3から+8へと伸びています。中小企業はまだまだですが、それでも製造業は−23から−13へと10ポイントも増加しています。前回調査から3〜11ポイント、全ての業種で好転しています。

リストラを中心とした大企業の業績回復から、デジタル家電という新しい金脈を掘り当てた電機業界、さらには中国で高まっている鉄鋼需要を始めとした建設ブーム等々、着実に景気は回復してきつつあります。ここに来て中小企業にも日がさし始めました。景気は気分に左右される傾向が大いにありますので、ある時点で急上昇する可能性もあります。

しかしながら、高度成長期のように「特段の努力をしなくても、物が売れる」時代の到来はありません。今年も押し迫って来ました。お正月休みには「来るべきチャンスをどのようにして掴み取るか」を考えて見てはいかがですか?「努力して、額に汗をかく、そしてチャンスをしっかりと掴む」人々だけが報われる時代が間近に来ています。ぜひチャンスを掴みましょう。

参考書
http://park5.wakwak.com/~inox/smelma/melma0004HP.htm
三位一体改革:厚い官僚の壁 12/15
さて前回の藤原通信で述べたように、三位一体改革で、自分たちの権限を守るために死闘を繰り広げている官僚達に対し、小泉首相は今年の6月に断を下しました。それは「国庫補助金約20兆円のうち4兆円を今後三年間で削減する」というものでした。同時に削減額の8〜10割の税源移譲も行うことになりましたので、実際に費用が削減されるわけではありません。しかし中央の官僚の権限が4兆円分失われて地方に移譲されることになります。

さて問題先送りの得意な官僚たちがどのように行動するかを見極めるには、補助金削減初年度にあたる来年度の予算にどのようにこの計画を反映させるかを見ればわかります。来年度の予算の大枠を決める期限が12月ですので、いよいよ初年度の締め切りがやってきました。

当初官僚たちは、自分たちの権限に揺るぎのない数字会わせで、初年度5000億円程度でお茶を濁そうとしました。そこへいきなり「何事も丸投げで決断しない」と酷評されている小泉首相から「初年度1兆円削減」の大号令がかかり、霞ヶ関(官僚の本拠地)は震撼したと言います。

もともと国庫補助金は本来国がやるべき仕事を地方に依頼しているために、その費用を補助金として地方に渡しているケースがあります。たとえば生活保護費です。生活保護費用はルールで決まっていますから、特段の裁量が入る余地があまりありません。頭の良い官僚はそこへ目をつけました。

生活保護費用のような項目を国から地方へ移譲すると、官僚の力の源である「裁量」はそのまま残り、補助金の額が減少して、表面的には「地方で出来ることは地方で」との名目が実現したように見えますが、官僚の力は一向に衰えることはありません。当初予想していた5000億円程度ならこのような費用をかき集めれば達成できます。「来年末の次回の予算編成までには、来年の参院選の敗北で、小泉首相も失脚しているかもわからない。とにかく今年は被害最小限にしたい。」との官僚の狙いが明確に見えています。

ここで小泉首相は踏ん張りました。生活保護費用の地方委譲は認めませんでした。結局総額1兆円の補助金の削減と、5000億円程度のたばこ税の地方への移譲で決着を見ました。しかし削減1兆円に対して税源が半分ですので、不足分は別の形で地方に対して渡さなければなりません。その意味では財務省の税源移譲は目的の半分しか達成していません。また補助金を削除した1兆円の内容も、中央官僚の裁量権が縮減されることには余りなっていません。しかし官僚が考えていた5000億円程度が小泉首相の鶴の一声で1兆円になったことで、本格的な三位一体改革のスタートについたことは確実です。

官僚は補助金を少しでも多く抱え込むことによって、組織を拡大してきました。それだけに補助金の削減は官僚の死命を制する重大な権限侵犯です。命がけで守ろうとする高い官僚の壁を突き崩すことは並大抵ではありません。この官僚王国の壁を突き崩さない限り「税金のムダ使い」は永遠に是正されません。

小泉首相は闘っていますが、闘う相手は首がかかっているだけに極めて強敵です。小泉首相に力を与えることが出来るのは、あなたがた一人一人の支持しかありません。
三位一体改革:補助金1兆円削減て何? 12/13
自衛隊のイラク派遣問題で論議が盛んな間にも、長い間先送りしてきた重要問題に締め切りが迫って来ています。重要問題とは「三位一体改革にともなう補助金削減問題」「年金問題」「道路公団民営化問題」の三つです。いずれも理解することが非常に難しい問題です。

その中でまず一応の決着を見たのが「三位一体改革にともなう補助金一兆円削減問題」問題です。この問題に入る前に基本的なことをおさらいしましょう。

一般的に仕事の割合は国が四割、地方 が六割です。一方税収は逆に国が六割、地方が四割になっています。従って地方は与えられた仕事をするためのお金を国から貰わなければなりません。それが国庫補助負担金であり、地方交付税なのです。地方の仕事に見合ったお金を国から貰う訳ですから、国は黙ってお金を地方に渡せば良いのに、それこそ「箸の上げおろし」まで口をつっこんで、細かくお金の使い方を指示し、中央のお役人が地方に対して絶大なる権力を握る源泉になっています。多くのムダがここに生じ、税金のムダ使いの温床になっています。

全国に散らばる多数の地方自治体の間には、地方税による収入はそれこそ千差万別です。そのため税収の少ない、貧しい自治体では満足な行政サービスが出来ません。住む場所で、同じ日本国民であるにもかかわらず、行政サービスに差が出てくることになります。ところが実際には全国どこでも原則として同じサービスを受けることが出来ます。

その秘密が「地方交付税」という赤字補填の魔法の杖です。この赤字補填の仕組みも複雑怪奇で総務省の役人の胸先三寸で決まる、極めて透明性に欠ける代物です。その上、地方自治体は民間のように努力して経費削減に努めると補助金が削減されますので、「正直者が馬鹿を見る」ことになります。

さて国庫補助負担金は年度によりことなりますが約20兆円、地方交付税が約18兆円、合計38兆円にものぼる巨額なものです。国の一般会計予算約80兆円に比較すればその巨大さが良く理解出来ると思います。年金の財源不足の対策に私たちの懐を狙うより、ここに鋭いメスを入れてムダ使いを止めさせることが重要だという認識を待たなければなりません。

本来は地方の仕事に見合った税源を地方に渡せば(税源移譲)このようなムダはなくなるのですが、今度は財務省が権限縮小になると猛反対しています。結局「地方で出来ることは地方で」の小泉改革に対して「国庫補助負担金」を握っている、厚労省、国交省、文化省などの各省庁、「地方交付税」を握っている総務省、「財源」を握っている財務省の三者がガンとして小泉改革に反対しています。自分たちの権限を奪われると死活問題であるとの認識です。

そのようなわけで「地方で出来ることは地方で」の地方分権を進めようとする改革を、この三者の協力がないと進まないことから「三位一体改革」と呼んでいるわけです。今回の国庫補助金一兆円削減問題で、総務省は全くの無傷で切り抜けました。とても三位一体ではありません。

この続きは次回に。

イラクへの自衛隊派遣決定 12/11
12月9日、小泉首相は「自衛隊のイラク派遣」という大きな決断をしました。憲法第九条で戦争放棄を宣言した日本が、戦闘部隊である陸上自衛隊に重装備を持たせて派遣するという、歴史に残る決断であるだけに、皆さんそれぞれに想いは異なることでしょう。戦後永らく続いた「一国平和主義」の是非について真剣に考える時が来ました。

視聴率至上主義の民間放送のテレビはその影響力は大きいけれど、報道姿勢に問題があり論評に値しないと判断しています。そこでまず四大新聞の社説がどのような姿勢であるか見てみましょう。

小泉首相の決断に大賛成で賞賛しているのは産経新聞です。そしてその対局にあって明確に反対を打ち出しているのが朝日新聞です。そして産経新聞ほどではないが賛成派が読売新聞で、朝日新聞ほどではないがどちらかと言うと反対派が毎日新聞と四大新聞の論調は真っ二つに分かれています。

小泉首相は、憲法の前文を読み上げ、今回の自衛隊派遣が「戦争のための派遣ではなく、人道支援の派遣である」ことを強調し、憲法の主旨に合致していると説明しています。またテロとの遭遇で交戦状態となった場合も「正当防衛であって憲法違反ではない」と社民党などの憲法違反論議に真っ正面から反論しています。

そして「(各国に支援を要請している)国連の要請を受けて日本は復興支援に協力しなければならない。危険であるからこそ日頃訓練を積んだ自衛隊を派遣する」と明快です。そして「危険だから金だけ出して人は出さないですむだろうか」とも反論しています。また「イラクの人道復興支援に日本がどのように取り組んでいくか。これはまさに、日米同盟、国際協調の両立を図る、口先だけではない、その行動が試されているときだと思ってお ります。」とも述べています。

北朝鮮の脅威が目前に迫っている時、「日本の平和と安全を確保するのは日本一国だけではできません。だからこそ、日米安保条約を提携し、日米同盟を、これを大事にしていかなければならない。」と本音も首相は漏らしています。これだけ率直に国民に対して語りかけた小泉首相に対し、反対する人たちは野党ではなく与党の立場に立って対案を明確にして(自分ならこうする。このように問題は解決出来る)語るべき時だと思います。

毎日新聞の社説のように「何事もアメリカのいいなりになるな。出来ないときは出来ないと言うべきだ」とか「テロには屈してはいけない。だからと言って自衛隊を派遣すると一歩対テロ戦争に踏み込むことになる。それより備えを固めよ」との意見はとても責任のある発言とは思えません。その結果どうなるかの明確な姿を示さない発言は無責任です。

自衛隊をイラクに派遣したからと言って、イラク復興に大きな力になるとは思えません。しかし一連のテロ事件で、イラクに軍隊を派遣している国々も本音では撤退したい気持ちで溢れています。「なぜ他国のために自国の国民が犠牲にならなければならないのか」という気持ちはどこの国でも同じで、日々その声は高くなって行きます。

このような時に、日本の行動はまさに「疲れ切って倒れる寸前のラクダに箸を一本積んだら倒れてしまった」例えそのものです。ここで日本が引いてしまったら、雪崩現象で他国も引き上げてしまうことでしょう。その結果イラクはテロリストの王国になって、世界中が混乱と不安に直面することになります。まさにテロリストの思うつぼです。自衛隊の派遣を先延ばしにしてきたばかりに、最近のテロの続発で、まさに最悪のタイミングで、そのような重大な局面が日本に回ってきたと考えなければなりません。

小泉首相の本音と思われる「 一般の国民にはできない、日ごろの厳しい訓練に耐えて、あえて決して安全ではないかも しれない、危険を伴う困難な任務に決意を固めて赴こうとしている自衛隊員に対しまして、私 は多くの国民が、願わくば、敬意と感謝の念を持って送り出していただきたいと思います。」の言葉に一人でも多くの国民が応えたいものです。

このような重大な問題に対しては日本国民が一致団結することが大切です。もちろん健全な議論は必要ですが、この際、野党も与党も、小泉政権打倒の手段として、党利党略、派利派略としてこの問題を取り上げることだけは絶対にして欲しくありません。民主党の管代表や亀井静香・古賀誠などが反対しているのは本当に国の将来を考えてのことだと信じたいと思います。彼らは反対表明だけでなく、現状の局面を好転させ、日本の安全を確保することが出来る案を必ず一緒に口にしなければなりません。

日本国内で安全に暮らしている私たちは、危険な所に赴く自衛隊員に対し、小泉首相のいうように、せめて「敬意と感謝の念を持って」送り出したいものです。

小泉首相記者会見内容
http://www.kantei.go.jp/jp/koizumispeech/2003/12/09press.html
真のエリートとは? 12/09
ベストセラー「バカの壁」の著者である養老孟司氏が日経ビジネスで誠に含蓄溢れることを述べておられます。

「エリートというのはどうしたって組織の上に行けば自分が何か決定せざるを得ないし、決定した時に必ず被害者が出るんですよ。それをいかに一生背負っていくか。それを心得ている人、それで狂わない人が本当のエリートですよ」と言っています。

誠に深い言葉です。「意志決定には必ず犠牲者が出る」「その責任の重圧に耐えられる人材の育成が急務」だと主張されておられます。昨今の責任ある地位にある人々が、このことをどれだけ自覚していることでしょう。認識していない典型はお役人の幹部です。道路公団の藤井前総裁に見るまでもなく、官僚のトップに「意志決定によって生じた犠牲者」などという認識があるとは思えません。そもそも官僚には責任の概念がありません。そのような人たちが国の大切な意志決定を実質的にしていることに日本の不幸があります。

先日イラクで痛ましい犠牲にあわれた奥大使の日頃の行動を、事件の後の報道で知るかぎり、「イラク復興に対する、熱い思いと強い責任感や使命感」を感じさせる内容ばかりです。奥大使も官僚の一人です。同じ官僚で、どうしてこのように大きな落差が生じるのでしょう。

それは「現場を這いずりまわる人」と「机上での情報だけで重要な意志決定をする人」との違いでしょう。養老孟司氏はこうも言っています。

「文科省の上の方の人はほとんど東大法学部卒でしょうな。東大法学部の卒業生は明治以来1万何千人になるけど、義務教育の教師になったやつは一人もいないらしい。それで教育行政が出来ると国民は思っている。変な国民だよ、そういう点では」

たしかに戦後教育は責任を感じない文部官僚の一貫性のない施策により、教育現場は荒廃し、そして社会の荒廃を招いています。もちろん教育の荒廃を官僚の責任だけにするのは間違いではありますが、文部官僚のほとばしる情熱で、教育現場が改善した事例を残念ながら知りません。(読者の中でご存じの方がおられれば教えて下さい)

現場を這いずりまわり、現場における人々の悩みも苦しみも肌身で感じることの出来る人間が、組織のトップとして重大な意志決定をする。現場を熟知しているだけに、その苦しみが手に取るようにわかりつつも、その責任の重圧に耐えながら、犠牲の出る辛い決断をし、その悩みを墓場にまで持って行く。このようなことの出来る真のリーダーを私たちは育てて行かなければなりません。

自衛隊には先の大戦で「上官が部下の戦死した遺族に送った手紙」が沢山残っているそうです。小泉首相もまもなく苦しい決断を下すことでしょう。小泉首相の苦しみを私たち国民が分かち合わなければと思います。またそのような決断であることを望みます。
読者の手紙その2 イラク外交官事件 12/07
来週にでも小泉首相のイラク自衛隊派遣の最終決断が下ると予想して、マスコミ各社はその是非について激しく論調しています。中でも色々問題を引き起こしたテレビ朝日は「自衛隊派遣反対」のキャンペーンを異常なほどに盛り上げています。それぞれの思惑に満ちたマスコミの論調に影響されることなく、このような重大な問題は私たち自身の頭で考えなければなりません。

そこで昨日の女性のお便りに引き続き、本日は男性読者の骨太のお便りをご紹介します。掲載のお願いを申し上げた時、掲載についてはご同意頂きましたが、「私自身の中でまだ考えがまとまっていない点がありますが・・・」との言葉がありました。これだけの大きい問題ですから当然でしょう。私(藤原雄一郎)もまだ考えあぐねているところです。

−−−引用開始−−−(12月2日の藤原通信をご参照下さい)

今回のイラク自衛隊派遣の件、私見を述べさせていただきます。

最初に、藤原様はメルマガの文中でこうおっしゃっております。「イラク問題、なかんずく自衛隊派遣を論ずる時には、正義だとか大義などで判断しては国が滅びます」

私は自衛隊のイラクへの派遣は、我国が将来に向けて、自衛隊が「軍隊として機能する組織」になるための人柱の様なものだと感じております。しかし会社であろうと国家であろうと、いかなる組織においても中身は人であり、人を動かすのは心です。そして心を動かすものこそが「正義」であり「大義」であると思うのです。

藤原様は、自らの命を欧米諸国の権益争いやキリスト・イスラムの宗教戦争のもとに捧げることが出来るとお考えなのでしょうか?

日本人は先の大戦でそうであったように、「大義」のためならば命をかけることが出来る国民だと信じております。しかし、決して「えげつないほどの駆け引きで、自国の権益第一で各国は闘っている」現実を無視するわけではありません。大義と現実の間には、ギャップがあってもいいのです。

しかし現実の事象を理由にするのではなく、現実を冷静に判断した上で、未来に対するビジョンを小泉首相は国民に示すべきです。(多くの評論家が同じようなことを言いますが…)

藤原様のご意見は、政治家の主張と同様に、短期的な国益のみで判断されておられるように感じられます。しかも、国益の多くは経済的な利益のことを指しているのでは?

「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ」

憲法は我国の社是のようなものです。時代にフィットするように社是を作り変えていくのではなく、日本国民として、国際社会を憲法の掲げる理想に近づけるような活動に参加し、日本国民であることを誇りに感じたいものです。

最後になりますが、藤原様は他のメルマガではこうもおっしゃられおります。「戦後の厳しい競争を打ち勝って現在も一流の名前を保持している企業にはこのような、「顧客第一の精神」「公明正大」「信用第一」といった企業活動の基本中の基本をしっかりと社是・社訓の中に刻み込んでいることに注目しなければなりません」

イラクで亡くなられた外交官お二人のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。

−−−引用終わり−−−

どうも最近のマスコミ、特にテレビには大衆迎合・視聴率重視で、傾聴すべき論調が見あたらず、政治家と言えば、このような大切な問題においてすら、大義とか信念に基づかないで、党利党略・派利派略、政局がらみでの発言が多く、悲しいかぎりです。ご紹介した読者のような肝の据わった見識で物申して欲しいものです。私(藤原雄一郎)も、このようにメルマガを発行する以上、より自戒しなければと思います。
読者の手紙 イラク外交官事件 12/06 
二人の外交官の遺体が涙の帰国をしたテレビの映像を見た多くの人々は、遺族と同じ悲しみと、同時に怒りがこみ上げてこたことと思います。改めてお二人に心から哀悼の意を表したいと思います。

この事件が発生して、特にテレビ朝日の反政府姿勢は明確になって来ました。小泉内閣の支持率も急激に下がっています。そのような中で小泉首相は孤独な決断をしなければなりません。どのような決断をしても、賛否両論、非難ゴウゴウであることは明確です。

小泉首相とは責任の重さは比較にならないですが、私の現役時代、業績不振で、最高責任者として孤独な辛い決断をするときの重圧は言葉ではあらわせないほどのものがありました。小泉首相の気持ちはいかばかりかと、心からエールを送りたい気持ちです。

12月2日の藤原通信に対して読者の皆さんから複数のお便りを頂戴しました。その中から野見山 満知子様のメールをご本人の承諾を得てご紹介させて頂きます。

−−−引用開始−−−

今回のイラクにおける外交官の方の痛ましい事件は本当になんといってよいか解らないくらい残念です。

今国内では自衛隊の派遣を阻止しょうとしてい動きが活発です。 私は根本は戦争反対で「戦争は百害あって一利なし」と思っています。

しかし今世界の情勢を冷静に見ますと日本だけが、安全圏に置かれているとか、置いてもらえるなどと考える程事態は甘くないと思います。

今度のイラク戦争にドイツ、フランス、ロシア、が反対したのも、石油の利権を持っていたからだといいます。
お互い国同士の駆け引きなのですね。日本がアメリカに賛同したのは間違っていないと思います。勿論アメリカにも間違っている面はあると思いますが、今回少なくとも首相が協力すると申し出られたのですから、今更危ないから自衛隊の派遣は考えさせて欲しいなどといったら、世界中からなんと日本は腰抜けな民族なのかと笑われます。

少なくとも小泉総理は国民が選んだ自民党によって選ばれた総理大臣なのですから、その総理が決断した事は断行するのが当然です。アメリカでは女性の兵士も前線に出て戦っているのに大の男の自衛隊員が命の危険があるから行きませんなど恥ずかしくていえません。

戦争は本当に不条理なものですが人間の叡智がそれを乗り越えるまで進化していないのだと思います。戦争の犠牲になるのは何時も女子供です。第二次世界大戦の最中は日本にとっての敵である米英は鬼畜と言っていましたが終戦後、進駐してきた彼らのおおらかさ、特に女性に対する優しさにはそれまで男性優位の社会にならされた女性にとりまして驚きだったと思います。

昨日の敵は今日の友という諺のように血を流して戦った敵同士が戦争が終われば、うちとけあうのですから、何とも奇妙です。

ただ根底に宗教が絡んでいますとそう単純には行かない様ですが、中東も莫大な石油を埋蔵していなかったら、この様な戦争を招く事はなかったと思います。世界中が皆仲良くしていく事は、かなり難しい事でしょうが、これは今後の人類に課せられた大いなる使命だと思います。若い人達にその夢を託したいと思います。

               野見山 満知子

小泉首相に届けたい言葉です。小泉首相ガンバレ!
足利銀行の破綻  12/04
イラクにおける日本の外交官殺害事件、H2Aロケットの打ち上げ失敗、足利銀行の経営破綻と大事件が三つも同時発生したために、本来なら重大問題として取り上げられるはずの地方銀行の経営破綻問題が霞んでしまいました。

大手都市銀行の九月期決算が発表され、各銀行ともりそなを除いては安定的な黒字を出し、ホッと一安心のムードが出ていました。このような好決算が出たのも、今年の三月に比較して株価が大幅に上昇した影響が大きいことは否めません。それほど銀行経営に対する株価の影響は大きいのです。

今年三月を底にして、株価が上昇に向かった原因の一つに「りそなへの資本注入に対する政府の姿勢」があります。今回の足利銀行のような破綻処理ですと、株の価値は一挙にゼロとなり、紙くずとなってしまいます。しかしりそなの場合は今回のような破綻処理をせず、政府は資本注入に留めたために、市場は「政府は銀行を潰さない」と判断して、一時は60円を切っていたりそなの株価が180円まで暴騰する一幕もありました。現在でもりそなの株は当時の倍以上である130円台を推移しています。

このような安心感が株式市場に戻って来たために、全体の株価が上昇したと言われています。本来破綻してもおかしくない銀行に、巨額の税金をつぎ込んで、りそなを救済し、その結果、全体の株価が上昇して日本経済を支えるという皮肉な結果になっていますが、政府としては注入したお金が生きたとも言えます。しかし世の中で言われるようにまさに「モラルハザード(倫理観の欠如)相場」です。

当然、今回の足利銀行の処理でも「りそな方式」で実施するようにと地元出身の国会議員を中心に相当な圧力があったと新聞等で報道されています。しかし今度は金融庁も本来あるべき「破綻処理」で一時国有化を決定し、株の価値はゼロとなり、厳しく株主責任を問うことにしました。まさに「預金者を救う」ことに徹したのです。破綻処理の金額は一兆円を超えるとも言われています。知事は「りそな方式なら2000億円で解決できたのに」と非難しています。

不良債権問題が騒がれているここ何年間は、本来退場すべき企業が、「破綻処理をすると銀行が危ない」との理由で延命処置を受けてきました。「企業の生死」が銀行の都合で決まるという変則状態が続いています。資本主義の原則は自然淘汰であり、しかも新しい企業がドンドン生まれる社会が健全な社会とされています。同じ努力をしていても、銀行の都合で延命されたり破綻されたりするのはモラルハザードを招くことになります。「正直者が馬鹿を見る」社会は健全とは言えません。

銀行を中心する民間企業の世界、政治と官僚の支配する公共事業や特殊法人の世界など、日本国中をモラルハザード(倫理観の欠如)が覆っている現状から早く脱却しないといけないと思います。今回の足利銀行では本来の姿に戻りました。懸念されていた株価も、今のところさしたる影響がありません。株式市場が正常な感覚を取り戻したのか、それとも地方銀行であるからと無視されたのか理由は分かりません。

イラク 外交官殺害に思う  12/02
ついにイラクで外交官二名の尊い命が失われました。お二人に対し、心の底から哀悼の意を表したいと思います。

さてイラク自衛隊派遣問題について藤原通信でも取り上げなければと思いながら、私自身の考えが定まらず、書けませんでした。現在もなおそうです。しかしながら私自身の頭の整理の意味でも書いてみます。皆さんのご意見をお寄せ下さい。本欄でご紹介したいと思います。

日本人のほとんどは「出来ることならイラク問題に積極的にかかわりたくない」と思っているのが本音ではないでしょうか?憲法九条が存在する以上、自衛隊の海外派遣には反対の人が多いはずです。特に女性にはその気持ちが強いことでしょう。そこに国民の人気が唯一の支えである小泉首相の苦悩があると思います。今回の事件で総理は憔悴しきっていたと、新聞報道にもあります。

戦後の日本は、アメリカの庇護のもと「安全と水はタダ」の思想で経済繁栄を謳歌してきました。そのようなことが今まで可能であったために「ナゼ今頃自衛隊の派遣か?」というのが国民の素直な気持ちであると思います。

しかし、長い間、東西冷戦が続いていたために、世界は自由主義諸国か共産主義諸国かという、極めて分かりやすい構造になっていて、世界中の国は、東西二大勢力のどちらかに属すれば、安全は確保されてきました。非常識を顧みずたとえて見ると、二つの巨大な暴力団が対峙し、もしチンピラが一人でも犠牲になると暴力団の総力を挙げて戦いを開始するために、オイソレとは手が出せなかった状態に酷似しています。

このような状態が長く続いたので、日本の平和憲法は素晴らしいもので、非武装であるからこそ日本は安全だという神話が確立しました。しかし東西冷戦の終焉で、このような時代は終わりをつげました。米ソの大きな締め付けが緩やかになると、世界各地で地域紛争が発生し、さらに宗教がからんで、テロが横行する時代になってきたのです。日本には北朝鮮という大きな脅威が存在することを国民の誰もが実感する時代になってきました。

日本史に例えると織田、豊臣、徳川にいたる戦国時代に突入したと言えるでしょう。そうすると、自分自身の主義主張とは関わりなく、自分たちを本気で守ってくれる強い力の親分につくことが生きながらえる唯一の策となってきます。この厳しい時代を生き抜いた前田加賀百万石が良い例です。政権の変わり目に機敏に勝ち馬に乗った前田家はしぶとく生きながらえることが出来ました。

現在唯一の大国、アメリカに小泉首相は賭けました。ところがドイツ、フランス、ロシアなどがアメリカに楯突いています。そこには世界正義も何もありません。従来イラクに大きな権益を持っていた独・仏・露が米・英にその権益を奪われようとしているために、激しい権益争いをしている状態がイラク情勢です。劣勢挽回のために独・仏・露が国連をフルに活用し、正義を振りかざしているにすぎません。

私も現役時代、各国と激しい契約での戦いに神経をすり減らして来ました。弁護士は正義の味方ではなく、金を出す人のために徹底的に相手を叩く職業であることを知ったのもこの時です。イラク問題、なかんずく自衛隊派遣を論ずる時には、正義だとか大義などで判断しては国が滅びます。えげつないほどの駆け引きで、自国の権益第一で各国は闘っています。

国民の支持が唯一の支えである小泉首相に対して、私たちがこのような現実から目をそらし、正義や大義論争で小泉首相を追いつめてはいけません。それほどに国家元首の責任は重いのです。ここで小泉総理が感情論に引きずられては、北朝鮮が暴発した時に、私たちは無防備で大きな被害を受けることを良く認識しなければならないと思います。将来に禍根を残さないような世論を盛り上げなければならないと強く思っています。

本当に真剣になって憲法の新しい時代におけるありかたを考える時期が到来しました。