074 鍵鍛冶

絶えず流るる波には勝てず あてのない旅は続いてゆく
方位が正しいか分からぬまま 強固な綱を結んで

手持ちの鍵では 開かずに諦めきれず
削って磨いて 錯誤の日々は続く

辿り着いた場所さえ分からず 両手で灯りを灯し照らす
同じ箱舟にある何処かと この鍵は合うのだろうか

不器用な鍛冶屋は 鍵さえろくに作れず
今までどれだけ 得るもの逃しただろう

鍵のひとつも 削れもせずに
やっとできても 瞬く朽ちて
シナプスひとつ 唱えられずに
優しさだけは 勝ると思うのに

どれだけ強く念じたとして 鍵は何一つ姿変えず
シナプスを常に伸ばしたとて 受容の兆しは見せず

不器用な鍛冶屋は 頑固なのに臆病で
今 鍵回せば 開いたかもしれないのに

鍵のひとつも 削れもせずに
やっとできても 瞬く朽ちて
シナプスひとつ 唱えられずに
優しさだけは 勝ると思うのに
旅は続くよ 別れる前に
伝えられたら シナプスに乗せ

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