私の短歌ノート
(2015年10月10日)
平和なる世に生まれたる幸せを噛みしめながら今日も飯食う
(2014年12月27日)
衆院の選挙投票会場に向かう人らの胸張りて見ゆ
(2013年9月30日)
戦世(いくさよ)を知りし父逝く大腿火傷(だいたいかしょう)負いし身のまま
(2008年5月31日)
人の世のいとなみ超えて寄せ返す波風うけて浜に我立つ
(2003年1月)
ささやかにあしなが募金にお年玉さしあげ今朝の足どり軽し
(2002年12月)
穏やかに年は暮れゆくしみじみとこの幸せを噛みしめて寝る
(2001年8月)
憲法に命を懸けし人達(ひとら)あり民権の碑(いしぶみ)訪ひてあらためて知る
(99年5月)
苦労して書きし我が本仕上がるを分身のごとく手に取りて撫づ
(98年11月)
やわらかな秋の光にまどろみて日がな一日バロックを聴く
(97年8月)
山すそに連なる葡萄の棚陰でさらさら流れる葉音に聞き入る
(97年2月)
寒風の中を熱海に訪ひ来れば谷一面に梅の香は満つ
(97年1月)
我もまた娘の親なり沖縄の暴行事件に怒りこみあぐ
(96年10月)
中秋の空一点の曇りなく月静かにて心を照らす
(96年7月)
明け初めし稲村崎より仰ぐ陽の波涛を渡る一筋の道
(96年6月)
一億の民の願ひを積み上げて議事堂高く天にそびゆる
(96年5月)
わだかまる心をうつす濁り酒しばし見つめてぐひと飲み干す
(96年4月)
英虞(あご)湾の眺めしずかに絵のごとく潮風のみが心地よく吹く
(96年3月)
陽溜まりのモンマルトルの絵の市で女流画家より小さき絵を買う
(96年2月)
幾百年大地を見おろす大欅下を朝夕我は行きかふ