はじめに

 

 1999年5月14日、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」が制定公布されました。いわゆる情報公開法です。

 情報公開法によって、国の内外を問わず、また、個人や法人を問わず、誰でも国の行政機関が持つ情報の開示を請求できる権利が与えられることになりました。さらに、情報公開法は、このような開示請求に対して、行政機関は原則として情報を公開しなければならないとしています。これにより、行政のあり方が根本的に変わることになります。その意味で、情報公開法は歴史的な意義を有する法律であるといえます。

 情報公開法は2001年4月1日から施行されることになっていますので、間もなく、法律の運用が実際に開始されることになります。

 国の行政機関には、様々な分野の様々な種類の膨大な量の情報が蓄積されています。情報公開法によって、国民は、このような、いわば「情報の宝庫」の扉を開く鍵を手にしたと言えるのではないでしょうか。これは、企業にとっては、情報ビジネスなどの千載一遇のビジネス・チャンスとなる可能性を秘めていますし、また、研究者や学生にとっても、例えば、政府の重要な政策の形成過程についての情報などを入手して研究活動等に役立てる手段ともなります。もちろん、一般の市民にとっても、例えば、食品の安全性などの自分に身近な情報を知る手段として役立てることができるようになります。

 反面、情報公開法が施行され、政府の様々な情報に対して、開示請求がなされるようになると、誰もが、大きなリスクにさらされることになります。なぜなら、企業にとっては、ライバル企業や市場参入を狙う外国企業から、政府保有の自社情報が開示請求されたり、また、一般市民にとっても、自分に関する情報が記録された政府の情報に対して、他人から開示請求が行われる可能性が出てくるからです。つまり、情報公開法は、企業も市民も、皆、否応なく、このようなリスクの高い社会に身を置く結果をもたらすことにもなります。

 以上のように、情報公開法を十分に活用するためにも、また、情報公開法のもたらすリスクから身を守るためにも、いずれにせよ、これからの時代は、情報公開法について、ひととおりの内容を知っておくことが不可欠なのです。

 そこで、このような一般市民の皆さんや企業経営者、ビジネスマン、そして、様々な分野の研究者や学生の皆さんを対象に、情報公開法についての最低限必要な知識をまとめたのが本書です。そのため、本書では、全体を95の項目に整理して、わかりやすいように多くの図表を用いて、平易に解説するよう心がけました。(以下、略)