光と隣り合わせの闇
ローションで濡れたソレを、まだ乾いている彼の蕾に埋め込んだ。
壁に手をついて耐えていた角松は脅えきった瞳で振り返った。何を、とふるえる声で訊いてくる。答えなどわかっているだろうに訊かずにはいられなかったのだろう。草加はその顔を覗きこんでいやらしく笑った。あなたが気持ちよくなれるものですよ。ぐっとソレを奥へと押し入れると、きゅうと反射的に閉じた蕾から細いコードがまるでシッポのように伸びているだけになった。
スイッチを微弱で入れる。びくんと反り返った背がたちまち緊張し、角松は必死で壁にすがりついた。ともすれば崩れ落ちてしまいそうな体を懸命に支えている。
いやだと何度も訴えるが、自分で取り出そうとはしない。いや、できないのだ。草加に逆らえば後でどれほど酷い目にあわされるか、文字通り体に教え込まれている彼には。先生のくせに、我慢もできないのか。そう言ってされた「おしおき」は、まだ記憶に新しい。
がくがくとふるえながら許しを請う角松をまったく無視し、草加はスイッチを切った。彼の乱れた衣服を整える。ふふ、元気ですね。嬉しそうに笑って膨らみ始めた角松の股間を撫でた。だがすぐにそこもファスナーが締まり、まるで何事もなかったかのようにされてしまう。
最後に色気のまったくない濃紺のエプロンを彼に着せる。角松先生の仕事着だ。
さあ、これでよろしいです。お仕事頑張ってくださいね。草加の残酷なセリフに涙で潤んだ瞳でこくりとうなずいた。いい子でいたら、ご褒美をあげますよ。わななくくちびるにキスを贈った。抱き寄せて布地越しに双丘を撫で回す。逞しいとしか形容のしようがない体がふるえ、やるせないため息が耳元を掠めた。
「…洋介君のお父さん?」
「拓海です」
ハッと我に返った草加の前には淫靡さなど影もない角松先生の顔。自分の妄想とのギャップに草加は思わずたじろいだ。同時に強烈な罪悪感。いやな汗が噴き出す。
「どうしました?ぼぅっとして」
朝からお疲れですか。心配そうに気づかってくれるのがまた居た堪れない。ああ、先生ごめんなさい。
「だ、大丈夫です。今日も息子をお願いします」
「はい、お預かりします。お仕事頑張ってくださいね」
にっこり。太陽のように輝く笑顔がやたらと眩しかった。お仕事頑張ってくださいね。ごくありきたりのセリフを、自分はなんといういかがわしい使い方にしてしまったのだろう。
草加はとぼとぼと歩いていた足を止め、振り返った。角松先生は他の保護者にも園児にも変わらぬ笑顔を振りまいている。あの笑顔を歪ませ、あの体を組み敷き、犯してみたい。大好きなひと、大切にいとおしみたいひとを、これ以上ないほど辱め、貶めてやりたい。
願望は、嘘ではなかった。