背中から抱きしめて・D
背中から抱きしめてくるのが、君のクセ。躊躇いがちに名を呼んで、振り返る前にするりと腕が伸びてくる。髪へのキスはひどく優しい。大切に想われている。それが、嬉しくて、くすぐったい。つい笑ってしまう。瞼へのキスをしてから、ようやく唇へ。
眼を開けると彼も眼を開けていて、泣きそうに潤んだ君の瞳とぶつかってしまった。
ああ、頼むからそんな顔をしないでくれ。
泣きたくなるほど愛していると、言葉にしないかわりに瞳で訴えたりしないでくれ。
置き忘れてきたはずの心が軋む音を、私に聞かせないでくれ。
言葉にできない代わりの想いを伝えるように、眼を閉じて唇をあわせた。
ガルマ視点のAと繋がっている、シャア視点の話。
このシリーズはこれが一番好きな話。