魔女はここにいる
夜の森は暗く、道も見えなかった。一歩先を行くのも躊躇うほど暗いのに決して静かではなく、あちこちで夜を徘徊する動物たちの気配がする。それがまるで、自分たちを狙っているように思えて、泣き出したいほど恐ろしい。
それを耐え、なおかつ歩きつづけていられるのは隣の存在だった。彼がいるから不安も恐怖も半分で、彼がいるからしっかりしなくてはと思う。ひとりではない。それがこんなにも心強い。僕たちは進む。手をつないで、一歩一歩。
やがてお菓子の家を見つけたときは、2人して安堵した。たとえこの後魔女が現れたって構うものかと思えるほど狂喜した。今目の前にある甘い空間は、それほど魅力的だった。誘惑にあらがうことすら思いつかずに僕は手を伸ばした。君も同じ気持ちだと信じて。
「なんだ、魔女なんてどこにもいないじゃないか」
そう言って振り返ったガルマの胸に、そうかなと笑ってシャアは銃を突きつけて、そして撃った。
おとぎ話第3弾。
「ヘンゼルとグレーテル」
知恵は働くけどどこか中途半端な兄と、度胸が据わってる妹は、
なんだかガルマとシャアにそっくりだと思いませんか(笑)
比喩表現的に読んでください。