体がだるい。熱があるようだ。風邪をひく前兆などまったくなかったので意外だった。念のため、今日は休むと言うと、アムロは神妙な顔つきで同意した。

「なんか最近気にかかることがあったから、自覚していたより疲れてたんだよ。ゆっくり休んだらいい」

 なるべく早く帰るよと言ってアムロは出勤していった。
 



 は、と吐く息が熱い。頭がクラクラする。どうやら眠っていたようだが、熱は下がるどころか上がったようだった。
 熱を測るようにひんやりとした手が額にあてられた。何度か髪を撫で上げられる…どこか懐かしい仕草にぼんやりと眼を開くと、白く細い指が視界に映った。

「…つらいかい?」

 尋ねられて素直にうなずく。指が目元をたどり、頬を包み込んだ。冷たくて気持ちがいい。

「ここにいてあげようか?」

 再度、うなずく。懐かしい声に安心していく。熱のせいもあるのだろうが、優しくされて涙腺が緩んだ。そばにいて。甘えた掠れ声で懇願する。
 冷たい手が首に絡みついた。
 ああ、それにしても白い手だ。まるで血の気などないような―――……