うららかな昼下がり





地球に差し込む太陽の光は大気を通って青くなる。海の色が青いのは空が青いからだと教わったが、アムロが見上げる空は青くなかった。くすんで濁った色は、やや青みがかった灰色というべきだろう。気がついたときからそうだったので、空色といえば青と灰色の入り混じった、そんな色だと思っていた。
だからコロニーの空を初めて見たときは、それは驚いたものだった。人口の空のほうが美しいだなんて。はるか宇宙から眺める地球でさえ赤茶けた地表面ばかりなのに。

今、アムロの目の前には青がある。
子供の頃の夏、近所の海に遊びに行った。思い切って海中に潜り、そこから見上げた青に似た色だ。キラキラと光を湛えた深い青。空の色とはまったく違った。父と母がいたうららかな昼下がり。


でもその2つの青もやがて濁っていき、アムロの見ている前で閉ざされた。