優しい指先






シャアはギレンが嫌いだ。

もっと詳しくいうなら、ギレンと体を重ねる、つまり抱かれることが嫌いだった。

傲慢な瞳。皮肉に歪んだくちびる。威圧的な声と、投げつけられる卑猥な言葉。どれをとっても、この男にはおよそ良いところという箇所が見つからない。だからシャアは、ギレンと寝る時はいつも眼を開けている。

睨むように。挑むように。

そうでないと、錯覚しそうになるのだ。優しい指先に。愛されている、なんて、まさかそんなことは―――