総帥のつぶやき
彼は画面にある小さなボタンを押した。画面に新たな窓が現れて、彼に再確認を要求する。『はい』のボタンを押すと、再び画面が切り替わり、ぱちぱちと小気味良い音が、スピーカーから聞こえていた。
「……ふむ…」
彼はどっしりとした椅子の背凭れに体をあずけると、少し不満気に息を吐いた。傍らの美人秘書がどうかしましたか、と訊いてくる。なんでもないと答え、彼は画面を眺めた。
画面には、彼が今まで閲覧していたWEBサイトのマスターからの、感謝の言葉が連ねてある。
昨今流行の、WEB拍手ボタン、というものだった。どういう仕組みになっているのか、きちんと拍手の音までする。別バージョンとして「へぇ」と言ってくれるものもあるらしい…なんだかバカにされているような、からかわれているような気がするのは、邪推だろうか。
「………」
しかし彼は不満だった。ものたりない、というよりは、どうしてだ、という憤りのほうが強い。
彼は手元の電話をとり、開発部への直通ボタンを押す。
「―――私だ。大至急、これの開発者に伝えろ」
彼は軍の、というよりは国の支配者だった。命令は速やかに伝わり、必ず実行される。
「WEB拍手に『ジーク・ジオン』バージョンを作れ」
有無を言わさずそう命ずると、ギレンは満足そうに指を組んだ。
訂正・加筆 2004/12/19
ギレン総帥はゲームの影響もありますが好きです。
かっこいいと思います。あーゆーわかりやすい悪役。
WEB拍手ボタンをつける時、ジークジオンでないかなー、と
かなり本気で思いました。