いつかの景色


憎みあっていた者同士が力の限り戦えば、そこには友情というものが芽生えなければいけないらしい。
1on1が終わり、結果は大方の予想通りシャアの圧勝だったのだが、ガルマの顔は晴れやかだった。なぜだかギャラリーの表情も。
納得がいかないのはシャアだ。
にこにこしているガルマやギャラリーの瞳の中には、あきらかに一種の期待が宿っていた。そしてその期待はシャアに向けられているのだ。
なんなのだ。なぜ、そんな眼で見るのだ。厭な予感に、運動後で汗をかいていたはずの体が急速に冷えた。
ああ、これはやはり、誰もが思い浮かべるアレを、この自分が演じなければならないのだろうか―――…

「君もなかなかやるな」

戦いすんで日が暮れて。固く握手を交わす2人。感動的なシーンだ。
約一名、その主役であるはずの人物だけは、いつかの光景のなかをキャラが違うと心のなかで叫んでいた。