日時/平成20年11月22日~23日
場所/ 米子コンベンションセンター ビッグシップ
統一研修とは,全国の社会福祉士が同一のプログラムで,講義内容に一定の約束を持った講師陣によって行われる,各会場均質であることを目指した研修です。これは,職業・職種が広範に及ぶ社会福祉士の学びを縦割りでなく横割りで行うことで,異なる職種の会員が共通の基盤(いわゆる社会福祉士の6領域)に立って学びあうことを可能にしています。その意味では,社会福祉士会の研修制度の基礎に位置付けられる研修です。この研修が今年度で終了し,来年度からは支部単位で開催することとなって準備が進められているところです。この点については,今回開会式で鳥取県の松村支部長のあいさつでも紹介されました。
共通講座(プログラム詳細は会員送付物を参照ください)は花園大の福富氏が,6領域という構成を中心に話されました。会員は一度この講義を受けて,生涯研修制度の成り立ちと共通基盤について理解する必要があると思います。今回講義での福富氏の指摘は,「実践をしたらそれを話すことが大切。話し合って気づきを共有することが専門性を一段高めて行く。個人の蓄積だけでは単に個人の体験に過ぎない」というものでした。
シンポジウム「専門職倫理と権利擁護」では,社会福祉士の価値・倫理・専門性を考えました。コーディネーターの高山氏(タカは「はしごだか」)は冒頭,「一番近い人が権利侵害をする。権利擁護も一番近い人がする。侵害と擁護は表裏関係にあると言える」と話されました。続いてシンポジスト3氏の発表は次のとおりです。
地域包括支援センター勤務の小坂氏は,事例紹介を通じ,社会福祉士に望まれる実践を他職種との比較の中で考察されました。共同作業所「吾亦紅(われもこう)」の角氏は,共同作業所立ち上げから法人化の歩みを紹介され,日々の生活支援という寄り添いの中から,「仲間の願いに耳を傾けたい,仲間に一層寄り添いたい」と訴えられました。ぱあとなあ鳥取事務局長の出垣氏は,自らの補助・保佐の事例から,代理・同意・取り消しの判断についての専門職だからこその悩みを紹介されました。
高山氏から,各自の実践の中で判断がブレた時に,倫理綱領に立ち戻っているか,読み返しているかとの指摘がありました。そして,「ブレはジレンマであり,これを感じるのは当然。ブレる状態も,立ち位置は動かずに揺れるのはよいが,立ち位置そのものが動いてはいけない」と付け加えられた。成年後見については,仕事をしながら受任することは大変だが,社会福祉士への受任の要望は質的にも量的にも大変多いと話されました。
質疑では私も会場から「各自の実践の中での『価値』とは何か」を各氏に尋ねました。小坂氏は「そこ(実践)に自分の価値がある。何に価値を置いて実践しているかが大切」,角氏は「自分が同感しないと動けない」,出垣氏は「価値という言葉にも色々あり,多様な価値を認める。シンポ前に高山氏から,価値は平和に繋がるものだとあった」との回答でした。高山氏は「日本の教育は価値教育を行ってこなかった。人間や社会をどう見るか,根源的なことは大学で行うのではなく,義務教育で行うべき。IFSWの定義の「価値」テキストP178を参考にされたい。実践が価値につながっているかという視点を持つことが大事。ソーシャルワークの価値に権利擁護がある」「実践の中から価値を打ち立てていくことが重要。ソーシャルワーク実践の価値は共通でなければならない。今やっていることがどこにつながっているのか説明できるか」などと価値を考える視点を紹介された。最後に「社会福祉士は縦割りの世界にいる。だから存在感を示して行かなければならない。いい社会福祉士と出会うこと,これが大切」と締めくくられた。
その後,研修に参加された中国ブロックの各支部正副会長と代議員の情報交換会がありました。各支部の組織率や重点事業,今年度のブロック理事選出の経緯などの報告がありました。
夜は懇親会が開かれ,60数名が出席されました。受講者は120名(広島からの受講者は7名)で,半数以上が参加された大変賑やかな懇親会でした。立食ではなかったので,テーブルごとの会話が進みました。私のテーブルでは地域包括支援センター,障害者福祉センター(精神障害担当),養護老人ホーム施設職員,知的障害者施設長,定年後の資格取得者(独自の企画立案),MSWという構成で,本会ならではの面子だと思います。なお,鳥取の中村前支部長のハーモニカ演奏が好評でした。ブロック単位での統一研修がなくなると,こうした近県支部との懇親の機会が少なくなるのが寂しいと感じました。
2日目は3分科会に分かれ,私は「実践研究」に参加し,東海大の竹之内氏の演習を受けました。事例検討の意味・必要性・留意点などの講義を経て,午後は模擬会議の演習です。司会・助言者・事例提供者・その他参加者13名が模擬会議を行い,これ以外のメンバーは回りを取り囲んで見学する「金魚鉢方式」で行われました。基本は岩間伸之先生の叩かない事例検討で,40のポイントに沿って進行されました。竹之内氏の「記録に基づく事例研究という振り返りの中での「気づき」によって,スーパービジョン効果が得られる」という指摘は日々に活かしたいものです。
初日は早暁広島を発ち,雪の中国山地を越えて米子へ入りました。米子城址に立って町を一望しました。次いで山陰歴史館を訪ね,米子の豊富な古代遺跡・出土品に感嘆し,郷土の歴史・人物を学びました。会場はビッグシップという米子駅側の特徴ある銀色の建物です。