エンジンの定義は意外と広く、広辞苑によると「火力、電力、水力などのエネルギーを機械的エネルギーに変換して他へ送る機械装置」とされている。
エンジンには様々な種類があるが、大きく分けると2種類の分けかたがある。
さらに点火方式や燃料の種類で分類すると以下のようになる。
外燃機関 | 蒸気機関(容積型) | ||
蒸気タービン(速度型) | |||
スターリングエンジン(容積型) | |||
内燃機関 | 往復ピストンエンジン(容積型) | 火花点火式 | ガソリンエンジン |
ガスエンジン | |||
アルコールエンジン | |||
石油エンジン | |||
ヘッセルマンエンジン | |||
圧縮着火式 | ディーゼルエンジン | ||
焼玉エンジン | |||
ロータリーエンジン(容積型) | |||
ガスタービンエンジン(速度型) | ターボジェット | ||
ターボファン | |||
ターボシャフト | |||
タービプロップ | |||
ジェットエンジン(速度型) | ラムジェット | ||
パルスジェット | |||
ロケットエンジン(速度型) | 液体燃料ロケット | ||
固体燃料ロケット |
往復ピストンエンジンは英語のReciprocating Engineより、レシプロエンジンと言われる。
レシプロエンジンには2サイクルと4サイクルの区別があり、F1では4サイクルのガソリンエンジンの使用しか認められていない。
(過去にはロータスがガスタービンエンジンのマシンを走らせたこともあるが、現在は禁止されている)
内燃機関とは、「シリンダー内で燃料を爆発燃焼させ、その熱エネルギーによって物を動かすことの出来る力(動力)に変える機械」を指す。
現在の内燃機関の形を最初に考え出したのは1794年に揚水ポンプ用のガスエンジンを考案したロバート・ストリートと言うイギリス人だと言われているが、実際に作られ実用化された世界最初の内燃機関はフランスのエティエンヌ・ルノワールが1860年に制作したガスエンジとされている。
1862年にフランスのアルフォンセ・ボー・ド・ロシャという人物が、吸入、圧縮、爆発、排気という4つの行程を持つ「4サイクル」の原理を発表。
そして1876年にドイツのニコラス・アウグスト・オットーが4サイクルのガスエンジンで実用化に成功した。
ルノワールのエンジンは無圧縮式で内燃機関と認めない意見もあり、オットーが内燃機関を実用化した第一号になったとされている。
しかし当時は石炭ガスを利用するガスエンジンが主流で定置型のエンジンには使われていたが、自動車のような移動用のエンジンにするには問題が多かった。
ガソリンをエンジンの燃料に使おうとする試みが始まると、まず問題になったのはガソリンを気化し空気と適切な比率で混ぜシリンダー内に送り込む事だった。
これを克服したのがドイツのゴットリープ・ダイムラー。
ダイムラーはオットーの会社に勤め4サイクルエンジンの誕生にも一役かっていた。
その後独立しガソリンの気化器を備えた4サイクルのガソリンエンジンを開発し1883年に特許を取得、1885年にはガソリンエンジンを搭載した2輪車の特許も取得した。
翌年にはガソリンエンジンを搭載した4輪の自動車も製作するが、この年にダイムラーの目と鼻の先(直線距離で100キロほど)に住んでいたカール・ベンツがガソリンエンジンを搭載した3輪車の特許を取得し、これが実用的な世界最初のガソリンエンジン自動車とされている。
また、1887年にドイツのロベルト・ボッシュが磁石発電機を用いた火花点火装置を完成。
1893年にはダイムラーの良きパートナーであったウェルヘイム・マイバッハが現在の物とほぼ同じ機能を備えた霧吹き式の気化器を発明した。
この時期には2サイクルエンジンやディーゼルエンジンも発明され、現在の主だったエンジン技術の大半が1870年からの20年程で確立された事になる。