接続法

接続法現在へGO! 接続法過去へGO! 接続法の用法へGO!

 

フランス語の文法もだいぶむずかしくなってきましたか?

ここでも「接続」・・・ 何かむずかしそうですねー

いままでにも直説、条件とか言うように「・・・」とか

いう文法用語が出てきてましたね

 

ここでポイントです

 

ことばを使って、相手に何かを伝えようとするとき、その文章のなかでは大体において動詞が使われますよね. その動詞によって、話者がどんな態度でその事柄を述べているかというのが表れます. それによって「法(叙法ともいいます)」が決まります. 反対にいえば、「法(叙法)」によって、話者の態度が決まります.

 

それでは今までにすでに学んだ「直説法」「条件法」をふり返りながら、「接続法」とはどんな「法」かをみていきましょう

 

つぎの各「法」のなかで使われている例文には、「彼女=幸せ」という意味の文が含まれています. 従ってêtre動詞が使われています. そして下線が付されています. その「法」に注意していてください.

 

直説法:ある事柄が事実であるという判断に基づいて述べる場合に用いる

 

      Elle est heureuse.

 

      彼女は幸せです

 

      話者は「彼女=幸せ」を事実として捉えている

 

                  (être直説法・現在)

 

条件法:非現実(現実にはあり得ない)の仮定の中で、ある事柄を述べる場合

に用いる。

 

   Si Paul était à Paris, elle serait heureuse.

 

   もしポールがパリにいれば、彼女は幸せだろうに

 

   <ポールがパリにいる>という条件の下でのみ「彼女=幸せ」

 

                                        (être条件法・現在)

 

さていよいよ「接続法」です. 同じように「彼女=幸せ」という意味の文が含まれていますよ

 

接続法:ある事柄を、話者の頭の中で、様々の感情や意志の中で捉えられた事

    として述べる場合に用いる

      この説明文はだんだん理解できるでしょう

 

     (1)Je veux qu’elle soit heureurse.

 

                              (être接続法・現在)

 

まず、vouloir que (...)は、

... であって欲しい」という意味

 

  ここら辺から本題ですよ!

 

  (1)の文の意味は、

 

  「私は彼女が幸せであって欲しい」となりますよね

 

  「彼女=幸せ」というのは、事実(現実)でもなんでもなく、

  「私」という話者が、そうであって欲しいと願っている

  願望でしかありません

 

 もう一つ例をあげましょう

 

  (2)J’ai peur qu’il y ait un tremblement de terre.

 

                          avoirの接続法・現在

 

¨         avoir peur que (...) ... を恐れる/心配する

¨         un tremblement de terre : 地震

 

  この文の意味は、

 

  「私は地震があるのが怖い/地震があるのが心配だ」となります

 

  「地震がある」というのは、事実ではありません

  「私」という話者が、恐れている(心配している)事柄でしかありません

 

  結局、(1)(2)の文は、

 

 (1)<私は><願う><彼女が幸せである>ことを

 

   <彼女が幸せである>は事実ではなく

 

   Elle est heureuse.の直説法を接続法に変えて

 

   Je veux qu’elle soit heureuse.

 

 (2)<私は><恐れる><地震がある>ことを

 

   <地震がある>は事実ではなく

 

   Il y a un tremblement de terre.の直説法を

                    接続法に変えて

 

   J’ai peur qu’il y ait un tremblement de terre.

 

 わかってきたでしょうか?

 

  <彼女が幸せである>とか<地震がある>という、ある事柄を

  話者が、願望や恐怖として(非常に主観的に)捉えているのです.

 

  そういう場合、<彼女が幸せである><地震がある>の文の中では、

  動詞に直説法を使うことはできないのです.

 

  接続法の大体の考え方は、

 

<主語> + <動詞> + que + <接続法の動詞が使われる文>

 

  というパターンをまず考えてください.

 

  大事なのは、

 

<動詞>願望・恐怖というような感情を表現する主観的な動詞

 

  ということです.

 

もう一言:大体において、queという接続詞が使われるので接続法といいます

 

  (注)ここでの説明はあくまで基本的なものです. その他の用法は

    用法のところで説明します

 

  用法へGO!

 

さて、接続法の感じが大体つかめたところで、ハードな話ですが、接続法の動詞の形に移りましょう

 

◆◆接続法現在◆◆

 

□特殊形avoir, êtreは別格です)

 

 avoir 青字は動詞だけの発音)

 

j()aie()

nous()  ayons(ゼイオン)

エイオン

tu(チュ)  aies()

vous()  ayez(ゼイエ)

エイエ

il()  ait()

ils(イル)  aient()

elle()  ait()

elles(エル)  aient()

 

 être

 

je(ジュ)  sois(ソワ)

nous()  soyons(ソワイオン)

tu(チュ)  sois(ソワイエ)

vous()  soyez(ソワイエ)

il(イル)  soit(ソワ)

ils(イル)  soient(ソワ)

elle(エル)  soit(ソワ)

elles(エル)  soient(ソワ)

 

 □特殊形以外の動詞は?

 

ここでの説明は、基本中の基本です.

必ずマスターしてください.

後は辞書の巻末の動詞の変化表を見れば、

どういうパターンなのかは自ずと理解できるはずです.

ガンバってください!

 

  語尾は必ず次のようになる

 

  ○語尾○

 

je  e(-)

nous  ions(イオン)

tu  es(-)

vous  iez(イエ)

il  e(-)

ils  ent(-)

elle  e(-)

elle  ent(-)

 

¨         nous, vous以外では、直説法現在・第一群規則動詞の語尾

¨         nous, vous では、直説法半過去の語尾

¨         発音するのは、nous 〜ions, vous 〜iezの部分だけ

 

  ○語幹○

 

    規則的なもの・不規則なもの/1つの場合・2つの場合といろいろあります

 

u      語幹:1つ

 

¨     規則的なもの

 

直説法現在3人称複数(ils,elles)

の語尾―entをとった形

ils(elles) ent → の部分

 

  <chanter> ils chant/ent

je  chant(シャント)e

nous  chant(シャンテ)ions(ィオン)

tu  chant(シャント)es

vous  chant(シャンテ)iez(ィエ)

il  chant(シャント)e

ils  chant(シャント)ent

  <finir> ils finiss/ent

je  finiss(フィニス)e

nous  finiss(フィニス)ions(ィオン)

tu  finiss(フィニス)es

vous  finiss(フィニス)iez(ィエ)

il  finiss(フィニス)e

ils  finiss(フィニス)ent

  <partir> ils part/ent

je  part(パるト)e

nous  part(パるテ)ions(ィオン)

tu  part(パるト)es

vous  part(パるテ)iez(ィエ)

il  part(パるト)e

ils  part(パるト)ent

  <attendre> ils attend/ent

j’attend(ジャターンド)e

nous()  attend(ザターンデ)ions(ィオン)

tu(チュ)  attend(アターンド)es

vous()  attend(ザターンデ)iez(ィエ)

il()  attend(ラターンド)e

ils(イル)  attend(ザターンド)ent

 

¨     不規則なもの

    重要な不規則動詞がこのケースにあたることが多い

    覚えてしまいましょう!

<faire> → fass(ファス)

je  fass(ファス)e

nous  fass(ファス)ions(イオン)

tu  fass(ファス)es

vous  fass(ファス)iez(ィエ)

il  fass(ファス)e

ils  fass(ファス)ent

<pouvoir> → puiss(ピュイス)

je  puiss(ピュイス)e

nous  puiss(ピュイス)ions(ィオン)

tu  puiss(ピュイス)es

vous  puiss(ピュイス)iez(ィエ)

il  puiss(ピュイス)e

ils  puiss(ピュイス)ent

 

u      語幹:2つ

    語幹が2つあるというのは、

je  ***** e

nous  ***** ions

tu  ***** es

vous  ***** iez

il  ***** e

ils   ***** ent

    のように、

    nous, vousの以外の箇所の: *****

    nous, vousの箇所の: *****

    の2通りの語幹があるということである

 

¨   規則的なもの

 

   語幹 ***** = 直説法現在 ils  ***** ent

   語幹 ***** = 直説法現在 nous  ***** ons

 

<venir>

   語幹 ***** = 直説法現在 ils  vienneent

語幹 ***** = 直説法現在 nous  venons

je  vienn(ヴィエンヌ)e

nous  ven(ヴニ)ions(ィオン)

tu  vienn(ヴィエンヌ)es

vous  ven(ヴニ)iez(ィエ)

il  vienn(ヴィエンヌ)e

ils  vienn(ヴィエンヌ)ent

<prendre>

   語幹 ***** = 直説法現在 ils  prennent

語幹 ***** = 直説法現在 nous  prenons

je  prenn(プれンヌ)e

nous  pren(プるニ)ions(ィオン)

tu  prenn(プれンヌ)es

vous  pren(プるニ)iez(ィエ)

il  prenn(プれンヌ)e

ils  prenn(プれンヌ)ent

 

¨   不規則なもの

語幹 ***** = ここが不規則になる!

語幹 ***** = 直説法現在 nous  prenons

       <aller>

語幹 *****aill(アィユ)

語幹 ***** = 直説法現在 nous  allons

je  aill(アィユ)e

nous  all(アリ)ions(ィオン)

tu  aill(アィユ)es

vous  all(アリ)iez(ィエ)

il  aill(アィユ)e

ils  aill(アィユ)ent

 

      どれも日常よく使いそうな基本動詞だったでしょう.

 

◆◆接続法過去◆◆

 

  複合時制(助動詞avoir/être + 過去分詞p.p.)を使います

 

助動詞avoir/êtreの接続法現在 + 過去分詞(p.p.)

 

   助動詞avoir/êtreの使い分けは、複合過去の時と同じ!

 

 ◇chanter

 

j’aie(ジェ)  chanté(シャンテ)

nous()  ayons(ゼィオン)  chanté(シャンテ)

tu(チュ)  aies()  chanté(シャンテ)

vous()  ayez(ゼィエ)  chanté(シャンテ)

il()  ait()  chanté(シャンテ)

ils(イル)  aient()  chanté(シャンテ)

elle()  ait()  chanté(シャンテ)

elle(エル)  aient()  chanté(シャンテ)

 

 ◇aller

 

je(ジュ)  sois(ソワ)  allé(アレ)(e)

nous()  soyons(ソワイオン)  allé(アレ) (e)s

tu(チュ)  sois(ソワ)  allé(アレ)(e)

vous()  soyez(ソワイエ)  allé(アレ)(e)(s)

il(イル)  soit(ソワ)  allé(アレ)

ils(イル)  soient(ソワ)  allé(アレ)s

elle(エル)  soit(ソワ)  allé(アレ)e

elles(エル)  soient(ソワ)  allé(アレ)es

   *主語と過去分詞の性数一致に注意!

 

◆◆接続法の用法◆◆

 

1.   名詞節のなかで

 

接続法を使っている動詞は、●色にて表示

 

 @主節の動詞が願望・恐怖・様々な感情・疑惑などを表わす動詞の時

 

 Je veux que tu rentre.

 

名詞節とか、主節とかといった用語の説明をします

上の例文で説明します

¨         Je veux ... という部分が、話者の主観(今の場合、願望)を表わす導入部の主節の部分

¨         que 以下の接続法の動詞が使われる文、「私が願っている(Je veux)」事柄を表わす部分、つまりvouloirという動詞の目的語の部分で、かつ文が目的語になっているので、名詞的な文ということで、名詞節といっている

 

 結局、この

 

 (1)Je veux que tu rentres.(Je veux が話者の願望を表わす)

 

  という文は

 

  「私は願っている(Je veux ...)」

  「あんたが帰って来る」ということで、

 

  「あんたに帰って来て欲しい」となる

 

 (2)Je crains(あるいは J’ai peur)

 

     qu’il y ait un tremblement de terre.

 

    (Je crains/J’ai peur が話者の恐怖を表わす)

 

craindre:「恐れる」

avoir peur:「恐怖を持つ」→「恐れる/心配する」

 

  「私は恐れる(Je crains/J’ai peur)」

  「地震がある」ことを

 

  つまり「私は地震があることを恐れる」となる

 

コラム(最初は飛ばしていいよ)

日本語でも「私は地震があるんではないかと、恐れている」というふうに、あまり意味を成さない否定的表現を使う場合がありますよね.

上の例文の場合も、

Je crains qu’il n’y ait un tremblement de terre.

というふうに、フランス語でも、あまり意味を成さない否定のne(n’)が使われることがあります.

これは使う人もいれば、使わない人もいます. つまり在っても無くてもいいのですが、こういうne(n’)を虚辞のneといいます

 

 (3)主節にさまざまな感情表現のフレーズがくる時

 

  さまざまな感情表現とは、どんなものか? たとえば、

 

  a) Je suis heureux(se) ...  = I am happy ... (うれしい)

 

  b) Je suis triste ...  = I am sad ... (悲しい)

 

  c) Je suis étonné(e) ...  = I am surprised ... (驚く)

 

  このような主節に、次のような文が続くとしよう

 

  i) Il vient me voir. 彼が私に会いに来る

 

  ii) Mon petit chat est mort. 私の可愛い猫が死んだ

 

  iii) Elle se marie avec Michel. 彼女がミッシェルと結婚する

 

  i)ii)iii)の文は事実として述べられた、直説法の文であるが、

  それぞれの文の事柄を先ほどの、a)b)c)の感情で、

  「うれしい」「悲しい」「驚く」とか言うとしよう

 

  それを言うためには、

 

a)b)c)の後に、queを置いて、i)ii)iii)の文を接続法で続ける

 

  Je suis heureuse qu’il vienne me voir.

 

   私は彼が私に会いに来てくれるのがうれしい

 

  Je suis triste que mon petit chat soit mort.

 

「死んだ」という過去の意味を表わすため、接続法過去が使われている

 

   私は私の可愛い猫が死んだのが悲しい

 

  Je suis étonné qu’elle se marie avec Michel.

 

   彼女がミッシェルと結婚するなんて、驚いている

 

 (4)Je doute qu’il ait écrit cette lettre.

 

           (Je douteが話者の疑惑を表わす)

 

   私は彼がこの手紙を書いたことを疑う

 

   *douter = doubt

 

 A主節に話者の意志・判断を表わす語句がある時

 

 (1)Il faut que vous partiez tout de suite.

 

  *il faut que ... (接) ... でなければならなあい

                 (falloir)

 

   あなたはすぐに出発しなければいけない

 

 (2)Il est impossible que Marcel ait tué sa faemme.

 

  *il est (形〜) que ... (接) ... は〜だ

    tuer = kill

 

マルセルが妻を殺したなんてあり得ない

 

 B主節の動詞penser(think)/croire(believe)/dire(say)/

juger(judge)/voir(see) などが否定・疑問の時

 

 (1)Je ne crois pas qu’elle soit chez Robert.

 

   彼女がロベールの家にいるとは思わない

 

 (2)Pensez-vous que la police arrête le meurtrier?

 

   あなたは警察が殺人者を逮捕すると思いますか?

 

(1)の「彼女がロベールの家にいる」

(2)の「警察が殺人者を逮捕する」

  といった事柄の客観性(事実であること)は低いですよね

 

大体、ここまでが接続法の基本的な用法ですが、これ以降少し応用的な用法になります. 頑張りましょう

 

 

 

 

. 形容詞節のなかで

 

  形容詞節とは、関係詞節のことです

 

@先行詞が最上級・唯一を表わす形容詞をとる時

 

  (1)C’est la plus jolie fille que je connaisse.

 

    それは、私が知っている一番素敵な娘です

 

(2)C’est le seul chanteur qui puisse chanter cette chanson.

 

それはこの歌を歌うことができる唯一の歌手です

 

 A否定の意味の先行詞がくる時

 

  Il n’y a personne qui ait vu un OVNI dans cette ville.

 

  この街で未確認飛行物体を見たひとはいません

 

 B先行詞が仮定の対象の時

 

  Je cherche un appaartement qui ait trois pièces.

 

   私は3部屋のマンションを探しています

 

   *また3部屋のマンションは見つかっていず、

    「あればいいなあ」という仮定の対象なんですね

 

. いろいろな意味の副詞節のなかで

 

 Parlez plus lentement pour que je vous comprenne bien.

 

pour que ... (接続法の文) = ... するために<目的>

 

 あなたの言うことが理解できるようにもっとゆっくり話して下さい

 

 Nous allons faire un pique-nique demain

 

          pourvu qu’il fasse beau.

 

pourvu que ... (接続法の文) = ... しさえすれば<条件>

 

 天気さえければ、私たちは明日ピクニックしに行く

 

 Bien qu’ils soient riches, ils ne sont pas heureux.

 

bien que ... (接続法の文) ... だけれども<譲歩・対立>

 

 彼らは金持ちなのに、幸せではない

 

 Je t’attends jusqu’à ce que tu sois prête.

 

jusqu’à ce que ... (接続法の文) = ... するまで<時>

 

 きみが準備できるまで、きみを待っているよ

 

. 独立節において祈願・命令を表わす

 

Que ... (接続法の文) (!) という形をとります

 

 Que son âme repose en paix! Amen ... (祈願)

 

 彼(女)の御霊が安らかに眠らんことを! アーメン・・・

 

 Que tout le monde ne bouge pas! (命令)

 

 みんな、動くな!

 

(この接続法の文の形で、3人称に対する命令文が言えます)

 

  これで接続法の基本講座はおしまい!!!